本居宣長 上 (新潮文庫 こ-6-6 新潮文庫)

  • 新潮社 (1992年5月29日発売)
3.72
  • (25)
  • (12)
  • (34)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 505
感想 : 17
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (482ページ) / ISBN・EAN: 9784101007069

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 名著にひかれ、読み開く。
    読破できなかった。

  • 40年以上ぶりの再読。
    熊野純彦を含め、近年の本居本に飽き足らず、小林に回帰。
    二十代で初読したときには、何ひとつ理解できていなかったことを痛感した。
    晩年の小林は、ここでも相変わらず、対象を語りながら自分自身を語ってしまうといういつものスタイルのように一見見える。しかし、よく読むとそうではない。
    あの自信たっぷりに断定口調でものを言う小林が、逡巡に逡巡を重ね、思索に思索を重ねながら、少しずつ本居に肉迫しようとするその執拗さが読むものに深い感銘を与える。この上巻では、22章における宣長の歌論をめぐる小林の語り口は実にためらいがちだ。もっとも、宣長自身が自分の見解の説明に苦労しているわけだが。
    この22章だけで、私は数回読み直した。
    全篇を読み終えた後、またここに戻ってくるだろう。

  • 読んでみたいと思いながら、後回しにしていた小林秀雄。
    没後40年にあたり、初めて手にした。

    学生時代に中原中也を好んで読んでいた頃の印象で、小林秀雄を「中也と女性を奪い合った」というエピソードでのみ歴史に登場する人物、と長らく思っていたが、違った。

    さて、本書『本居宣長』だが、そのスコープは、本居宣長が信じた「学ぶ力」「もののあはれ」「やまとごころ」にあると見える。

    江戸初期の林羅山から始まる当時の官学=朱子学=漢学をメインストリーム或いは「実用」とするならば、宣長はそこへ「理想」というコンセプトを持って学を提案する。

    儒教のような「海外の教え」を重宝がるばかりで、何故日本の心を学ばないのか、と宣長は問う。

    和歌の名作の含蓄を真似て作るのは容易であるが、言葉を真似る方が難しい。
    古典の解釈ばかりでなく、今の心をそのまま表すことが肝要、、

    彼はひたすら、長いものに巻かれることを拒否しているようだ。

    本居宣長という人は、歌人という肩書でありながら、現代にも通じる政治思想を形成した人物だと聞く。
    下巻の展開が楽しみだ。

    一つ自分自身へのメモとして。
    小林秀雄の主張は時折非常に観念的で、かつ詳細にわたり、どちらとも取れるような解釈や、そうとは言い切れないようなことなど、細い糸の上すれすれを歩くような感覚になる。
    勿論名著に違いはないのだが、この一冊だけを読んでいる間に、その深度故に、やや視界が狭まる感覚を覚えた。

    西洋思想に比較すると、言葉への拘りは日本独特のものと思われる。
    自国の思想史を学ぶことは尊いものだが、一方他国に広くある視点から離れすぎることには、やや危機感がある。

    自分は特定分野の研究者などではないため、同時に二冊以上の本を並行して読むなどして視点のバランスを保っていくことは必要だと、改めて認識した。
    勿論名著には違いないが。

  • まだ5分の1程度しか読んでないが
    少々抜粋→私が、彼の日記を読んで、彼の裡に深く隠れている或るものを想像するのも、又、これを、(中略)

    この人というか、一人では無いだろうけど、やはり宣長が初代天皇を創出したんだろうと思う。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    「とにもかくにも人は、もののあれはを知る、こと肝要なり…」。本居宣長七十二年の生涯は、終始、古典文学味読のうちに、波瀾万丈の思想劇となって完結した。伊勢松坂に温和な常識人として身を処し、古典作者との対話に人生の意味と道の学問を究めた宣長の人と思想は、時代をこえてわれわれを深い感動の世界につつみこむ。著者がその晩年、全精力を傾注して書きついだ畢生の大業。

    本の感想(オフィス樋口Booksより転載、http://www.books-officehiguchi.com/?p=16791

    この本の冒頭に、著者の小林秀雄氏が本居宣長について書いてみたいという思いや経緯について述べている。雑誌に記事を連載するにあたって著者自ら松阪に出かけて宣長の墓を訪ねたエピソードもある。

    全体的な感想として、原文(歴史的仮名遣いと漢文の書き下し文)をそのまま引用しながら解説しているので難しいと感じるかもしれない。

  • 「本居宣長(上)」小林秀雄著、新潮文庫、1992.05.25
    380p ¥620 C0110 (2018.11.18読了)(2001.03.19購入)(1999.03.05/4刷)

    【目次】(なし)
    本居宣長
    一~三十

    ☆関連図書(既読)
    「本居宣長」子安宣邦著、岩波新書、1992.05.20
    「万葉集」佐佐木幸綱著、NHK出版、2014.04.01
    「万葉集入門」久松潜一著、講談社現代新書、1965.02.16
    「万葉集」坂口由美子著・角川書店編、角川ソフィア文庫、2001.11.25
    「古事記」三浦佑之著、NHK出版、2013.09.01
    「古事記」角川書店編・武田友宏執筆、角川ソフィア文庫、2002.08.25
    「楽しい古事記」阿刀田高著、角川文庫、2003.06.25
    「日本書紀(上)」宇治谷孟訳、講談社学術文庫、1988.06.10
    「日本書紀(下)」宇治谷孟訳、講談社学術文庫、1988.08.10
    「土佐日記」紀貫之著、川瀬一馬訳、講談社文庫、1989.04.15
    「古今和歌集」中島輝賢編、角川ソフィア文庫、2007.04.25
    「古今和歌集」小町谷照彦・田久保英夫著、新潮社、1991.06.10
    「更級日記」原岡文子訳、角川ソフィア文庫、2003.12.25
    「源氏物語 巻一」谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.06.10
    「源氏物語 巻二」谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.07.10
    「源氏物語 巻三」谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.08.10
    「源氏物語 巻四」谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.09.10
    「源氏物語 巻五」谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.10.10
    「私の人生観」小林秀雄著、角川文庫、1954.09.15
    「無常という事」小林秀雄著、角川文庫、1954.09.20
    「ドストエフスキイの生活」小林秀雄著、角川文庫、1955.08.20
    「ゴッホの手紙」小林秀雄著、角川文庫、1957.10.30
    「モオツァルト」小林秀雄著、角川文庫、1959.08.10
    「モオツァルト・無常という事」小林秀雄著、新潮文庫、1961.05.15
    「対話 人間の建設」岡潔・小林秀雄著、新潮社、1965.10.20
    「近代絵画」小林秀雄著、新潮文庫、1968.11.30
    「考えるヒント」小林秀雄著、文春文庫、1974.06.25
    「考えるヒント2」小林秀雄著、文芸春秋、1974.12.10
    「考えるヒント3」小林秀雄著、文春文庫、1976.06.25
    「考えるヒント4」小林秀雄著、文春文庫、1980.09.25

    (「BOOK」データベースより)amazon
    「とにもかくにも人は、もののあれはを知る、こと肝要なり…」。本居宣長七十二年の生涯は、終始、古典文学味読のうちに、波瀾万丈の思想劇となって完結した。伊勢松坂に温和な常識人として身を処し、古典作者との対話に人生の意味と道の学問を究めた宣長の人と思想は、時代をこえてわれわれを深い感動の世界につつみこむ。著者がその晩年、全精力を傾注して書きついだ畢生の大業。

  • もののあわれとはなにか。日本語とは、日本の文化、民族とはどのようにしてもたらされ、持ち続けられているか。日本についての深い考察。

  • よかった。宣長という人にはそれほど傾倒はしないけれど、この評論はなかなか含蓄が深いと思った。

  • 了。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1931年2月12日生まれ、東京都出身の作曲家。東京藝術大学卒。作曲を長谷川良夫、ピアノを水谷達夫、宅孝二、奥川坦、稲垣寿子に師事。1959年・1961年 NHKから委嘱された芸術祭参加作品のラジオ音楽劇2作がそれぞれ芸術祭奨励賞を受賞する。1966年に中田喜直らと「波の会」(現・日本歌曲振興波の会)を創設し、第二代会長を経て、後に社団法人となった同会の名誉会員を務めた。「落葉松」をはじめとする歌曲・合唱曲やピアノ曲、童謡「まっかな秋」、オペラ、器楽曲、小学校校歌など数多くの楽曲を手掛ける。また、本人が直接合唱団を指導することも。東京藝術大学音楽学部講師、愛知県立芸術大学教授、聖徳大学・同短期大学教授、活水女子大学教授などを歴任した他、1979年には文部省派遣在外研修生としてパリに留学した。このほか、ショパンやリストのピアノ作品の校訂を手掛けた。2017年7月25日死去。86歳没。

「2024年 『混声合唱のための組曲 優しき歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小林秀雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×