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- 本 ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101007106
感想・レビュー・書評
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p.2015/1/9
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2016.5.19-2015.5.22
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幸運なことにその全集が生涯の間に何度も出て、その度に新たな読者を得てきた小林秀雄。本書はその全集に付いてきたおまけエッセイ集で、著者たちは編集者から小林との思い出をテーマにした原稿を求められる。400ページを超すボリューム、普通なら次第に飽きて退屈しそうなものだが、読み終えてなお更におかわりしたくなるから不思議。それもそのはず、著者たちが実に多士済々で、いずれ劣らぬ文筆家ばかり。先輩後輩や同窓の仲の良い友人関係であっても、証言する対象の当の本人が目にするとあってか、短文なのに気安さがなく真剣そのものだ。
とはいうものの全部で75編もあるので、さすがに優劣がないわけではない。小林の意外な一面に驚かされたり、評伝として実に完成度の高いものもあったが、思わず泣きそうになるほどすばらしいのは漫画家・横山隆一の一編だ。娘の葬儀の際に棺から思いがけず聞こえてきたオルゴールの音色と、その話を聞いた時の小林の表情がたんたんと綴られているのがこれがまた何とも言えない。大変短いエッセイなのに、これほど忘れがたい印象を残したものはなかった。
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