- 本 ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101007144
作品紹介・あらすじ
詩は単に詩であれば足りる──ボードレール。絵画が宗教的権威や政治的支配から逃れ、絵が絵として屹立するまで。光と色の関係、モチフの探求、狂気の受容、西欧文明嫌悪、崩壊の直観……著者の慧眼は、画家達の独創精神の振る舞いを通し、その歓喜、そして絶望的哀しみを悉く見抜いていく。近代という奔流の中での絵画芸術の躍動を捉えた野間文芸賞受賞の歴史的名著。カラー図版61点収録。
感想・レビュー・書評
-
ルノワールってなにがおもろいのか分からず読んでみたけど、小林秀雄もあまり面白いとおもってないみたいだった。ゴッホやモネと同じ空気を吸いながらあそこまで凡庸だったところが逆にヤバイよねみたいな話をしていた気がする。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近代絵画(新潮文庫)
著作者:小林秀雄
発行者:新潮社
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
画家達の独創精神の振る舞いを通したその歓喜 -
小林秀雄の文章を読むといつも思うことがある。
この人の人間と向き合う異次元なまでの執念はどこから生まれるのだろうと。
ある境涯と人格を生きた人間の内面に迫る、その執拗さに毎回のことながら圧倒される。
一枚の絵を前にしているとき、一冊の書簡を前にしているとき、この人は一体どんな思考を巡らせているのだろう?ただ単純に感じ考えているだけとは思えない。全身を賭した何か尋常ではない営為のように思われる。その根源的なモチベーションがなんなのか、それが私は知りたい。教えてほしい。
"自己を知るとは学術ではない。寧ろそれは一種の芸術だ。なんと当り前のことだろうか"
"自己観察の型は、他人を観察する型と同じである外はない"
"自己発見は、無論、芸術家の特権ではないのだが、もし本当にそれが行われるなら、それは芸術家風に行われざるを得ない"
そう述べる小林秀雄は、やはり自己とも徹底的に向き合ったであろう。
私は批評に興味はないが、自己と向き合うということには大変興味がある。本当に自己と向き合おうとするとき、自己に対して批評家的態度を取ることは避けられないのだとする。そうだとして、批評という行為を自己に向けることは、躊躇われるような冷たい行為ではないのかもしれない。自らにナイフを突きつけることでは全然ないのかもしれない。この本を読んでそう感じた。もっと沈潜することであり、それはおそらく、その人だけの、その人特有の果実をもたらすことができる、特別な行為なのである。
著者プロフィール
小林秀雄の作品





