- 本 ・本 (145ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101010038
感想・レビュー・書評
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「三四郎」「それから」「門」「こころ」「草枕」と背伸びして読んでいた高校時代。「坊ちゃん」は何故か読まなかった。迷える思春期にはあまり魅力的ではなかったのかもしれない。
今さらだけど、「坊ちゃん」を読んでみた。シンプルで真っ直ぐで面白い。正義感をふりかざして、ぶつかっていく坊ちゃん。
でも、私にとって興味深かったのは、坊ちゃんに終始優しかった清との関係。
坊ちゃんの長所も短所も包み込む母のような存在だった。まさに無償の愛。
清は、亡くなる前日、「お墓の中で坊ちゃんが来るのを待ってますから」と告げる。
孤独にうちひしがれてもおかしくない坊ちゃんが、強く生きられたのは絶対的な?愛があったからなのか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カッコつけてドストエフスキーなんて読んでる場合じゃないぜよ!
というわけで、ここに来て『坊っちゃん』です
なんか図書館で目があったので、今このタイミングで夏目の漱石です
まぁ、僕なんかあれですよ
高校時代はいっぱしの文学青年気取ってましたからね(理系コース)
漱石やら龍之介やら康成やらは一通り通ってきてるわけです
なので、『坊っちゃん』なんか再々々々々々読くらいなもんなんですけどね
超久しぶりに読んだら、やたら面白いじゃないか!
そしてぜんぜん覚えてないじゃないか!
マドンナってこんなちょい役だったっけ?
坊っちゃんてこんなアホやったっけ?
うーん、なんていうかね
これぞ日本ですよ!
日本人はかくあるべきですよ
そして日本には夏目漱石がいるってことですよ!
いやー、ちょっと夏目漱石、色々読み直したくなってきちゃったなー
って、別にカッコつけてドストエフスキー読んでるわけ違うわ!( ゚д゚ )クワッ!!
失礼な!(自作自演)-
2025/03/13
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2025/03/13
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2025/03/13
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新潮文庫の歴代売上ベスト5に入る言わずと知れた漱石の代表作の一つ。
しかしながら、私の読書歴の中で、何度も購入しながら一度も完読した事が無い一冊でもあります。
今回「ビブリア古書堂の事件手帖IV ~扉子たちと継がれる道~ 」が漱石の所蔵書の話だったので、この機会に何十年ぶりかで本書を手にとってみました。
冒頭、主人公がいかに破天荒かを語るくだりは何度読んだ事でしょう。
そのエピソードを象徴とした物語の展開に唖然とさせられつつ、わかりづらい表現も註釈に助けられながら初めて目にしてから数十年目にしてやっと完読をしました。
文章や物語の時代背景がわかりづらいので「課題図書」等で勧められても中学高校あたりではなかなか理解しながら読むのは難しいかもしれませんが、改めてこの古典作品を振り返ると、真っ直ぐな思考回路の個性的な主人公のDNAは後世で登場するいくつもの物語の主人公達に受け継がれている気がします。 -
夏目漱石が松山中学在任当時の体験を背景とした初期の代表作。
教師として四国の中学に赴任した青年“坊っちゃん"が、生徒からの酷い仕打ちや他教師たちの無気力な態度にも負けず、真っ向勝負を挑んでいく。
テンポよくユーモアのある文章で、物語にあっという間に引き込まれた。登場人物たちのあだ名のセンスもいい。
不器用なんだなぁ。でも、好きだなぁ。坊っちゃんの無鉄砲で真っ直ぐさがとっても爽快で、心がスカッとした。
たとえ勝負の結果は負けであっても、坊っちゃんのように志を高く持った生き方をしたいな。 -
はい、実は読んだことありませんでした。
「死ぬまでに読まねばリスト」に着手中。
***
「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」
子供の時からまっすぐな気性の“坊ちゃん”は、その気性で周りとも衝突することが多いが、唯一の理解者…というか盲目的に可愛がってくれる相手はばあやさんの清。坊ちゃんという名前も清が「坊ちゃん坊ちゃん」と呼んでいるもの。
さて、坊ちゃんは学校を卒業すると四国の中学校に数学講師として赴任する。
東京で御家人筋の家柄の坊ちゃんには町も教師たちもつまらん。だからみんなに渾名をつけてやった。
校長には「狸」、
気取った教頭には「赤シャツ」、
顔色が紫でやたらに控えめの英語の教師は「うらなり」、
悪僧のような風貌の数学教師は「山嵐」、
赤シャツの腰巾着の画学は「野だいこ」。
初めての宿直の晩、やってられんと温泉に抜け出した坊ちゃん先生。学校に戻ったら寄宿生徒たちのいたずらの洗礼を受ける。短気な坊ちゃん先生と田舎の生徒たちの噛み合わない遣り取り。
「おれの床の中にバッタを入れたのは誰だ!!」
「バッタとはなんぞなもし」
「バッタとはこれのことだ!!」
「それはイナゴぞなもし」
「べらぼうめ!バッタもイナゴも同じようなもんだ!なもしだか菜飯だか知らんが誰が入れたんだ!」
「なもしと菜飯はちがうぞなもし」
坊ちゃんは憤る。
ここの生徒どもいたずらに対して罰を受けるという覚悟ができていないからダメだ、いたずらと罰はセットだ、罰があるから安心して悪さができるんだろう、こんなやつらにだれが負けるか、今日勝てなければ明日勝つ、明日勝てなければ明後日勝つ、明後日勝負がつかなければ勝つまで相手になってやる!
数日後、赤シャツと野だいこに釣りに誘われた坊ちゃん先生は、「山嵐が生徒たちを扇動し…」とかいう二人のわざとらしい会話にあっさり乗っかり、「おれに仕掛けたのは山嵐か!喧嘩上等!」といきり立つ。
しかしその翌日の職員室、山嵐は山嵐で「おれが紹介した宿で坊ちゃん先生が無礼を働いた」という讒言を信じて詰め寄ってきた。
…この二人、気性がまっすぐ…と言っていいのか、とにかく人の話を途中までしか聞かない、他人からの讒言をあっさり信じて直接本人に聞かない、そして思い込みで突っ走る。大丈夫かこの二人。
さて。宿直の夜の騒動は職員会議の議題になる。
その会議で山嵐の態度を見た坊ちゃんは、山嵐を見直し(というかお互い讒言を信じただけのコミュニケーション不足)、二人はその後意気投合。
坊ちゃん先生が唯一敬意を払っているのは青白い顔のうらなり先生。なんか聖人君子という感じじゃないか。
しかしうらなりの婚約者も同然だった”マドンナ”を赤シャツが狙うというややこしい人間関係が繰り広げられていた。
赤シャツは策を弄してうらなりを度田舎の学校に追いやる。
ある日坊ちゃんたちの学校の生徒と、師範学校生ととの間に大規模な喧嘩が勃発し、坊ちゃん先生と山嵐が首謀者と見做されてしまう。
憤った坊ちゃん先生と山嵐は、赤シャツと野だいこの芸者遊びの現場を捕え、二人に鉄拳制裁!!!を加えると、辞表を叩き付けて東京に戻ってやったぜ。
…あれ?先生生活1か月?気が短いとかいう問題か(笑)
ともあれ東京に戻った坊ちゃんは、清を引き取り鉄道工場の技師ついて働きましたとさ。
***
有名な作品のため粗筋は知っていたし、なんかアニメで見たような覚えはあるんだが、この作品は夏目漱石の文章で読んでこそだろう。
「焦慮ている」「愚迂多良童子を極め込む」など独特な言い回し、坊ちゃん先生と生徒たちのイナゴバッタ菜飯論争などかなり笑える。
坊ちゃんは「策略は苦手、風流も苦手、口が回らないこともないが喧嘩の時に取っておいている」というが、彼の独白はなかなか軽妙で洒落が効いている。
釣りに行った時のつまらなさを「沖へ行って肥料を釣ったり、ゴルキが露西亜の文学者だったり、馴染みの芸者が松の木の下に立ったり、古池へ蛙が飛び込んだりするのが精神的娯楽なら…」とか、
怠けている様子を「愚迂多良童子を極め込んで~」など、
悪口にしてもかなり頭が回るではないか。
しかしこの小説は坊ちゃん先生の一人称なのだが、最初から最後までヤられる前にヤッたるぜ!のテンションなので、「直接相手の話を最後まで聞け!」と何度思ったことか。
そんな坊ちゃんを心配した清が手紙で「そんなことをしたら人に恨まれる元になる。気を付けて酷い目にあわないようにしろ」と書いてきたが全くである。
さらに坊ちゃんと山嵐は、それぞれ真っ直ぐな気性で、職場の学校での事なかれ主義や、大人のいじめ、長いものに巻かれろ精神に対抗しようとするが、真っ直ぐ過ぎて結局跳ね返されてしまっている。
坊っちゃん先生が嫌っている赤シャツや野だいこからも「あの坊っちゃん先生はカワイイもんだ」と言われていて、ようするに与し易い相手と思われているのだ。
この小説が妙に現実的と言うか、世間とはなんともどうにもしようもないところ。
そして小説のラストは清の消息で閉じる。死ぬ間際の清が坊ちゃんに、坊ちゃんの家のお墓に入れてもらい、お墓の中で坊ちゃんを待ちたいといたいと願う。
「だから清の墓は小日向の養源寺にある」
このなんともぶっきらぼうな報告口調で幕を閉じるのだが、このぶっきらぼうさが坊ちゃんの“情”だろう。 -
再読。
まさに落語。
扇子がパチパチ鳴る音が聞こえてくる。
権力への突っ込みは自分への皮肉か?
軽妙なオチが、笑えるやら笑えないやら。
坊っちゃんみたいなのを、トラブルメーカーといいます(おい)。
赤シャツや野だ程度の人間に耐えられないようでは先が思いやられるが、鉄道技師なら勤まったのか?
清がうまくコントロールしたのかもな。
漱石は、維新志士の心持ちで文学をやりたいといったという。
やっぱり明治人は格別だ。 -
夏目漱石『坊っちゃん』新潮文庫。
何度目かの再読となる。最近、関川夏央と谷口ジローの共著『『坊っちゃん』の時代 』を第一部から第五部までを再読し、後書きと解説で関川夏央と川上弘美が揃って『坊っちゃん』は哀しい小説だと評していたのを読み、内容を再確認したくなった。
因みに最初に『坊っちゃん』を読んだのは小学校低学年の頃である。父親が会社帰りに毎月1冊ずつ刊行の度に購入してくれた世界の文学なる分厚い全集に収録されていたのだ。子供向けの全集なので、平易な文章で書いてあったと思う。その後は何度か文庫本でも読んでいる。
主人公の坊っちゃんは、兎にも角にも何処までも一本気で融通の効かぬ反骨精神の塊のような青年である。両親にも兄にも疎まれ、『親譲りの無鉄砲』と言い訳しながら後先を考えぬ行動ばかりをする坊っちゃんは自分の気質を理解していながら、行動を改めることが出来ないのだ。そんな坊っちゃんの唯一の理解者は下女の清だ。清は事あることに坊っちゃんを褒め、影に隠れて自分の給金で菓子やら足袋やらを買い与える。
坊っちゃんは両親を亡くし、兄にも半ば見捨てられ、勢いで物理学校を卒業するなり、清に別れを告げて、四国に中学の数学教師として赴任する。東京に比べれば明らかに田舎の四国では生徒たちに行動を監視され、彼らの稚拙な悪戯に閉口し、校長や教頭、仲間の教師ともなかなか馴染めないままに見知らぬ地で孤軍奮闘する坊っちゃん。
やがて反骨精神の塊の坊っちゃんも、周囲の愚劣、無気力などに反撥し、職をなげうって東京に帰る。『坊っちゃん』は、一本気であればあることがさらに滑稽で、生きることが下手な男の哀しい敗北の物語なのだ。
勧善懲悪、正義は勝つと言うのはテレビドラマや映画の中だけで、何時の時代も悪者が得をし、しぶとく生き残るのだ。清く正しく生きる精神は大昔から培われて来た日本人の美徳であるが、哀しいことにそれが得とはならないのだ。坊っちゃんはそれを知っていながらも敢えて一本気な不器用な生き方を選択しているようにも見える。
本体価格310円(古本100円)
★★★★★ -
読もうと思いつつも積読を続けていたが、ふと思い立ち読むことにした。夏目漱石の代表作とあっては期待したが、紙面びっしりの文字と、古めかしい言い回しには苦戦した。赤シャツの性格が非常に狡猾であったことが印象に残った。この作品が名作たる所以は一体何であろうか。機会を見て再読し、この問いを解決するのが良いだろう。
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東京生まれ、直情で気短な青年「坊ちゃん」。両親亡き後、遺産の600円で学校を卒業。四国松山の中学に数学教師として赴任。そこでの学園ドラマ。
登場人物がコミカルで、キャラクターが確立。先生方は、ニックネームで話が進む。学園コミックの原点。校長や教頭、マドンナと、キャラクター配分が絶妙で、バランスを真似したくなりますね。
坊ちゃんは、自分の意志を貫きますので、揉め事も多い。正論派ですが、なかなか、田舎の社会がしぶとく思うようには捗らない。
最後に、一矢報いるのですが、辞めて東京へ帰るんですね。この、正義の味方的な行動が、ファンが多いところだと思う。
それにしても、松山の事を、田舎だとか、温泉だけは良いとか、書いているのに、ご当地で『坊ちゃん』人気高いですよね。良い人達だ。
漱石の著名な作品ですが、全編読んだのは初めてかもしれない。
著者プロフィール
夏目漱石の作品





