坊っちゃん (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 824
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010038

感想・レビュー・書評

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  • 時代を経ても色褪せない名作。寧ろ現代でこそ刺さるものがある。痛快でありながら歯痒く、作品としての奥深さを感じる。
    坊っちゃんのまっすぐに正義を貫く姿勢と、社会性に乏しいダメさ加減がどうしようもなく愛しい。森見登美彦小説に似たものを感じる。
    ライトで面白いのに含蓄に富む。流石の不朽の名作。

  • 待ち時間が長かったので「青空文庫」で一気に読了。

    昔読んだことがあったはずだが、こんな話だったのかと驚きつつ、面白く読んだ。

  • あー、コレだコレだ、
    学校にこういう人欲しい!
    むしろ自分がこうなっちゃおうか?!

    すーごく冷静に見てみると
    赤シャツが鼻持ちならない管理職かどうかの真偽はわからないし
    山嵐が同僚の気持ちをわかってくれる超絶いいヤツかどうかの真偽もわかりません。
    というのも、全部坊っちゃん目線で言ってるので、
    本当のところはどうだったのか?は実は書かれてはいません。
    だけど
    極めて主観的で、血の気が多くて、バカ正直な若者が
    こうやって暴れてくれるのは楽しいよね。

    坊っちゃんの人間性がわかるのは
    やはり生徒の取る態度からだろうと思っています。
    一見すると、先生に対して悪さするようなしょーもない生徒(←今で言う男子高校生)なのですが
    ああいう風な態度取ってでも、先生に遊んでもらいたいのですよ。構ってオーラ凄い。
    なんだかそれが見え隠れして微笑ましいし(坊っちゃんは若いからそれがわかんないのだけど)
    なにより、
    構って欲しい!と生徒が思う先生に
    まず人間性の乏しい人はいません!!

    これは面白い作品でした。
    「こころ」が載るくらいなら、
    こっちも国語の教科書に載ってていいような気もするけど
    まぁ、これ載せたら、生徒に
    「あーあ、先生が坊っちゃんだったらなぁ」
    なんてぼやかれちゃうよなぁ。

    職業病目線で記録しとくと
    “二時間目に白墨を持って控所を出た時には何だか敵地へ乗り込む様な気がした。(p31)”
    毎日敵地に乗り込んでる身としては
    わかるわかる、わかるわ~!な一行でした。

  • 中2で初めて読んだときは、反発心しか生まれなかった。たしか課題図書かなにかで、無理矢理書かされた感想文にもめためたに悪口を書いた記憶がある。
    しかし、大人になって改めて読んでみると、そこで見えた景色は驚くほど変わっていた。軽く明るく簡潔で潔い一文が心地よい。
    やっぱり文豪は文豪で、長く愛されてきたことには意味があって、中2の私を恥じたりする。だから読書はおもしろい。

  • マンガのように、気持ちがいいくらい典型的なキャラクター達が鮮やかに描かれている。人間模様はシンプルで、悪いやつは悪い。良いやつは良い。ある意味、想像通りに物語は進む。しかし決して退屈ではなく、読んでいて気持ちが良い。変に読者を裏切らない。

    日和見主義のたぬき、食えない悪者の赤シャツ、長いものに巻かれるのだ、人がよく不幸なうらなり、誠実で頼りになる山嵐、本作には欠かせない清。マドンナは名前だけしか登場しない。

    坊ちゃんはとても魅力的だ。利口ではないが、正義を好む。典型的な江戸っ子である。日本人ならば誰しもがスカッと読める文学だと思う。


  • 漱石自身が松山中学で教鞭をとった体験を基に描く作品(1906年『ホトトギス』に発表)。無鉄砲なうえ江戸っ子気質で曲がったことが大嫌いな主人公はじめ、正義感が強く叡山の悪僧のような面構の山嵐、陰湿で裏表が激しい文学士の赤シャツ(教頭)、赤シャツの腰巾着で江戸っ子の野だいこ、蒼膨れした顔の好人物うらなり、事なかれ主義の狸(校長)などユニークな人物が登場。赤シャツと野だが芸者遊びの帰りに主人公と山嵐に鉄拳制裁(天誅)を加えられる勧善懲悪の物語(佐藤優いわく「痛快バイオレンス小説」)。『猫』よりずっと読みやすい。

    冒頭「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。小使に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな眼をして二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす奴があるかと云ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。」

    印象的な部分
    「いたずらだけで罰はご免蒙るなんて下劣な根性がどこの国に流行ると思ってるんだ。金は借りるが、返す事はご免だと云う連中はみんな、こんな奴等が卒業してやる仕事に相違ない。全体中学校へ何しにはいってるんだ。学校へはいって、嘘を吐いて、胡魔化して、陰でこせこせ生意気な悪いたずらをして、そうして大きな面で卒業すれば教育を受けたもんだと癇違いをしていやがる。話せない雑兵だ。」

    「考えてみると厄介な所へ来たもんだ。一体中学の先生なんて、どこへ行っても、こんなものを相手にするなら気の毒なものだ。よく先生が品切れにならない。よっぽど辛防強い朴念仁がなるんだろう。おれには到底やり切れない。」

    「考えてみると世間の大部分の人はわるくなる事を奨励しているように思う。わるくならなければ社会に成功はしないものと信じているらしい。たまに正直な純粋な人を見ると、坊っちゃんだの小僧だのと難癖をつけて軽蔑する。それじゃ小学校や中学校で嘘をつくな、正直にしろと倫理の先生が教えない方がいい。いっそ思い切って学校で嘘をつく法とか、人を信じない術とか、人を乗せる策を教授する方が、世のためにも当人のためにもなるだろう。」

    「…たとい氷水だろうが、甘茶だろうが、他人から恵を受けて、だまっているのは向うをひとかどの人間と見立てて、その人間に対する厚意の所作だ。割前を出せばそれだけの事で済むところを、心のうちで難有いと恩に着るのは銭金で買える返礼じゃない。無位無冠でも一人前の独立した人間だ。独立した人間が頭を下げるのは百万両より尊といお礼と思わなければならない。」

    「なるほど狸が狸なら、赤シャツも赤シャツだ。生徒があばれるのは、生徒がわるいんじゃない教師が悪るいんだと公言している。気狂が人の頭を撲り付けるのは、なぐられた人がわるいから、気狂がなぐるんだそうだ。難有い仕合せだ。活気にみちて困るなら運動場へ出て相撲でも取るがいい、…この様子じゃ寝頸をかかれても、半ば無意識だって放免するつもりだろう。」

    『厄介だね。渾名の付いてる女にゃ昔から碌なものは居ませんからね。そうかも知れませんよ』
    『ほん当にそうじゃなもし。鬼神のお松じゃの、妲妃のお百じゃのてて怖い女が居りましたなもし』

    「人間は竹のように真直でなくっちゃ頼もしくない。真直なものは喧嘩をしても心持ちがいい。赤シャツのようなやさしいのと、親切なのと、高尚なのと、琥珀のパイプとを自慢そうに見せびらかすのは油断が出来ない、めったに喧嘩も出来ないと思った。喧嘩をしても、回向院の相撲のような心持ちのいい喧嘩は出来ないと思った。」

    「議論のいい人が善人とはきまらない。遣り込められる方が悪人とは限らない。…表向きがいくら立派だって、腹の中まで惚れさせる訳には行かない。金や威力や理屈で人間の心が買える者なら、高利貸でも巡査でも大学教授でも一番人に好かれなくてはならない。…人間は好き嫌いで働くものだ。論法で働くものじゃない。」

    「人があやまったり詫びたりするのを、真面目に受けて勘弁するのは正直過ぎる馬鹿と云うんだろう。あやまるのも仮りにあやまるので、勘弁するのも仮りに勘弁するのだと思ってれば差し支えない。もし本当にあやまらせる気なら、本当に後悔するまで叩きつけなくてはいけない。」

    「新聞なんて無暗な嘘を吐くもんだ。世の中に何が一番法螺を吹くと云って、新聞ほどの法螺吹きはあるまい。」

    「(狸は)つまり新聞屋にかかれた事は、うそにせよ、本当にせよ、つまりどうする事も出来ないものだ。あきらめるより外に仕方がないと、坊主の説教じみた説諭を加えた。新聞がそんな者なら、一日も早く打っ潰してしまった方が、われわれの利益だろう。新聞にかかれるのと、泥鼈に食いつかれるとが似たり寄ったりだとは今日ただ今狸の説明によって始めて承知仕った。」

  • わんぱくで無鉄砲だが、単純そして正直で真っ直ぐな坊ちゃんが不条理と立ち向かう話

  • 学校で習った時は、難しいという印象だったが大人になって読み返してみると意外にスラスラ読める!
    もう一度授業で習いたい。

  • 何に対しても文句ばっか言ってるくせに、こと清さんに関しては大好きなのが伝わるでれでれっぷり、かわいい。山嵐、赤シャツ、狸、うらなり君、出会ってすぐの相手にあだ名をつけるなんて子供っぽい〜!かと思えば生徒に天麩羅先生だの団子だの赤手拭だの、好き放題呼ばれていて、これもかわいい(バッタを何十匹も布団に入れられるなんてのにはぞっとしたけど)。愛媛で職についてわずか1ヶ月で東京に戻ることになるとは。でも清々しい気持ち。彼の愚直さは気持ちがよい。清さんの「そりゃあなた、大違いの勘五郎ぞなもし」を真似したい。

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    坊っちゃん(1953)
    監督: 丸山誠治
    出演: 池部良/小沢栄/森繁久弥/小堀誠
    http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=136087

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著者プロフィール

夏目漱石(なつめ そうせき)
1867年2月9日 - 1916年12月9日
江戸・牛込馬場下(新宿区)生まれの小説家、評論家。本名は「夏目金之助」(なつめ きんのすけ)。1890年、帝国大学文科大学英文科に入学。1895~96年には『坊っちゃん』の舞台となった松山中学校で教鞭を執る。1900年、イギリスに留学。1905年、『吾輩は猫である』を俳句雑誌「ホトトギス」に連載し始め、作家活動を本格的に開始。1907年、朝日新聞社に入社。以降、朝日新聞紙上に『三四郎』『それから』『こころ』などの代表作を連載。日本の文学史に多大な影響を与えており、作品は多くの人に親しまれている。学校教科書でも多数作品が採用されている。

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