坊っちゃん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010038

感想・レビュー・書評

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  • はい、実は読んだことありませんでした。
    「死ぬまでに読まねばリスト」に着手中。

    ***
    「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」
    子供の時からまっすぐな気性の“坊ちゃん”は、その気性で周りとも衝突することが多いが、唯一の理解者…というか盲目的に可愛がってくれる相手はばあやさんの清。坊ちゃんという名前も清が「坊ちゃん坊ちゃん」と呼んでいるもの。

    さて、坊ちゃんは学校を卒業すると四国の中学校に数学講師として赴任する。
    東京で御家人筋の家柄の坊ちゃんには町も教師たちもつまらん。だからみんなに渾名をつけてやった。
     校長には「狸」、
     気取った教頭には「赤シャツ」、
     顔色が紫でやたらに控えめの英語の教師は「うらなり」、
     悪僧のような風貌の数学教師は「山嵐」、
     赤シャツの腰巾着の画学は「野だいこ」。

    初めての宿直の晩、やってられんと温泉に抜け出した坊ちゃん先生。学校に戻ったら寄宿生徒たちのいたずらの洗礼を受ける。短気な坊ちゃん先生と田舎の生徒たちの噛み合わない遣り取り。
    「おれの床の中にバッタを入れたのは誰だ!!」
    「バッタとはなんぞなもし」
    「バッタとはこれのことだ!!」
    「それはイナゴぞなもし」
    「べらぼうめ!バッタもイナゴも同じようなもんだ!なもしだか菜飯だか知らんが誰が入れたんだ!」
    「なもしと菜飯はちがうぞなもし」
    坊ちゃんは憤る。
    ここの生徒どもいたずらに対して罰を受けるという覚悟ができていないからダメだ、いたずらと罰はセットだ、罰があるから安心して悪さができるんだろう、こんなやつらにだれが負けるか、今日勝てなければ明日勝つ、明日勝てなければ明後日勝つ、明後日勝負がつかなければ勝つまで相手になってやる!

    数日後、赤シャツと野だいこに釣りに誘われた坊ちゃん先生は、「山嵐が生徒たちを扇動し…」とかいう二人のわざとらしい会話にあっさり乗っかり、「おれに仕掛けたのは山嵐か!喧嘩上等!」といきり立つ。

    しかしその翌日の職員室、山嵐は山嵐で「おれが紹介した宿で坊ちゃん先生が無礼を働いた」という讒言を信じて詰め寄ってきた。

    …この二人、気性がまっすぐ…と言っていいのか、とにかく人の話を途中までしか聞かない、他人からの讒言をあっさり信じて直接本人に聞かない、そして思い込みで突っ走る。大丈夫かこの二人。

    さて。宿直の夜の騒動は職員会議の議題になる。
    その会議で山嵐の態度を見た坊ちゃんは、山嵐を見直し(というかお互い讒言を信じただけのコミュニケーション不足)、二人はその後意気投合。

    坊ちゃん先生が唯一敬意を払っているのは青白い顔のうらなり先生。なんか聖人君子という感じじゃないか。
    しかしうらなりの婚約者も同然だった”マドンナ”を赤シャツが狙うというややこしい人間関係が繰り広げられていた。
    赤シャツは策を弄してうらなりを度田舎の学校に追いやる。

    ある日坊ちゃんたちの学校の生徒と、師範学校生ととの間に大規模な喧嘩が勃発し、坊ちゃん先生と山嵐が首謀者と見做されてしまう。
    憤った坊ちゃん先生と山嵐は、赤シャツと野だいこの芸者遊びの現場を捕え、二人に鉄拳制裁!!!を加えると、辞表を叩き付けて東京に戻ってやったぜ。

    …あれ?先生生活1か月?気が短いとかいう問題か(笑)

    ともあれ東京に戻った坊ちゃんは、清を引き取り鉄道工場の技師ついて働きましたとさ。

    ***

    有名な作品のため粗筋は知っていたし、なんかアニメで見たような覚えはあるんだが、この作品は夏目漱石の文章で読んでこそだろう。
    「焦慮ている」「愚迂多良童子を極め込む」など独特な言い回し、坊ちゃん先生と生徒たちのイナゴバッタ菜飯論争などかなり笑える。

    坊ちゃんは「策略は苦手、風流も苦手、口が回らないこともないが喧嘩の時に取っておいている」というが、彼の独白はなかなか軽妙で洒落が効いている。
    釣りに行った時のつまらなさを「沖へ行って肥料を釣ったり、ゴルキが露西亜の文学者だったり、馴染みの芸者が松の木の下に立ったり、古池へ蛙が飛び込んだりするのが精神的娯楽なら…」とか、
    怠けている様子を「愚迂多良童子を極め込んで~」など、
    悪口にしてもかなり頭が回るではないか。

    しかしこの小説は坊ちゃん先生の一人称なのだが、最初から最後までヤられる前にヤッたるぜ!のテンションなので、「直接相手の話を最後まで聞け!」と何度思ったことか。
    そんな坊ちゃんを心配した清が手紙で「そんなことをしたら人に恨まれる元になる。気を付けて酷い目にあわないようにしろ」と書いてきたが全くである。

    さらに坊ちゃんと山嵐は、それぞれ真っ直ぐな気性で、職場の学校での事なかれ主義や、大人のいじめ、長いものに巻かれろ精神に対抗しようとするが、真っ直ぐ過ぎて結局跳ね返されてしまっている。
    坊っちゃん先生が嫌っている赤シャツや野だいこからも「あの坊っちゃん先生はカワイイもんだ」と言われていて、ようするに与し易い相手と思われているのだ。
    この小説が妙に現実的と言うか、世間とはなんともどうにもしようもないところ。

    そして小説のラストは清の消息で閉じる。死ぬ間際の清が坊ちゃんに、坊ちゃんの家のお墓に入れてもらい、お墓の中で坊ちゃんを待ちたいといたいと願う。
    「だから清の墓は小日向の養源寺にある」
    このなんともぶっきらぼうな報告口調で幕を閉じるのだが、このぶっきらぼうさが坊ちゃんの“情”だろう。

  • 出張中にポアロを読もうとして忘れてきた!オーマイガー!ということで、駅で何を読もうか5分間探索、結果、「坊ちゃん」。何故、坊ちゃんだったのかは不明。「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている」で始まる冒頭、流石のインパクト。これだけでも面白い。自分の中で一番腹立つのは「マドンナ」。この悪女のイメージが拡大中。日陰育ちのカボチャみたいなパッとしない容姿だけど、心底人柄が良くて優しくて正直なうらなり君から、変に気取ったお高くとまった赤シャツ野郎に乗り換えたこと。正直者がバカを見る不条理。男として辛い。⑤

  • 遠野遥『改良』『破局』→夏目漱石→『坊ちゃん』のルート。
    逆から攻めてみた。2021年積読本消化8冊目。
    『破局』の主人公は意外と坊ちゃんしていた。破局しちゃったけど…。

    夏目漱石って…文豪の中でもあまりパッとしなくって(なんて失礼な…)いまいち読む気が起らなかった。遠野遥の作品を読まなかったら、たぶん夏目漱石の本はずっと積まれたままだったと思う。

    よく分からない部分があったけど、とりあえず最後まで読み切ることが出来て達成感があった。文豪ってすごいな…。いつの世でも通じるようなことがサラッと書かれていて面白かった。この調子で積んでる『こころ』も読んでみよう!

    結局、昔から「察しろ」「空気を読め」というお国柄なんだな…とあらためて思った。『「俺は聞いてない!」と怒り出す人たち』と並行して読んで、共通点があったのでよかった。(『日本史快刀乱麻』も参考になった)

    「履歴なんか構うもんですか、履歴より義理が大切です」「そりゃ御尤――君の云うところは一々御尤だが、わたしの云うことも少しは察して下さい。」(168ページ)

    坊ちゃんが清を想い手紙を書こうとするシーンが、とても懐かしかった。
    “こうして遠くへ来てまで、清の身の上を案じてやりさえせれば、おれの真心は清に通じるに違ない。”(148ページ)
    亡くなった祖父母を思い出した。じーちゃんばぁちゃんっ子には沁みる話だと思った。

    【本つながり】『破局』『改良』『日本史快刀乱麻』

  • 夏目漱石『坊っちゃん』新潮文庫。

    何度目かの再読となる。最近、関川夏央と谷口ジローの共著『『坊っちゃん』の時代 』を第一部から第五部までを再読し、後書きと解説で関川夏央と川上弘美が揃って『坊っちゃん』は哀しい小説だと評していたのを読み、内容を再確認したくなった。

    因みに最初に『坊っちゃん』を読んだのは小学校低学年の頃である。父親が会社帰りに毎月1冊ずつ刊行の度に購入してくれた世界の文学なる分厚い全集に収録されていたのだ。子供向けの全集なので、平易な文章で書いてあったと思う。その後は何度か文庫本でも読んでいる。

    主人公の坊っちゃんは、兎にも角にも何処までも一本気で融通の効かぬ反骨精神の塊のような青年である。両親にも兄にも疎まれ、『親譲りの無鉄砲』と言い訳しながら後先を考えぬ行動ばかりをする坊っちゃんは自分の気質を理解していながら、行動を改めることが出来ないのだ。そんな坊っちゃんの唯一の理解者は下女の清だ。清は事あることに坊っちゃんを褒め、影に隠れて自分の給金で菓子やら足袋やらを買い与える。

    坊っちゃんは両親を亡くし、兄にも半ば見捨てられ、勢いで物理学校を卒業するなり、清に別れを告げて、四国に中学の数学教師として赴任する。東京に比べれば明らかに田舎の四国では生徒たちに行動を監視され、彼らの稚拙な悪戯に閉口し、校長や教頭、仲間の教師ともなかなか馴染めないままに見知らぬ地で孤軍奮闘する坊っちゃん。

    やがて反骨精神の塊の坊っちゃんも、周囲の愚劣、無気力などに反撥し、職をなげうって東京に帰る。『坊っちゃん』は、一本気であればあることがさらに滑稽で、生きることが下手な男の哀しい敗北の物語なのだ。

    勧善懲悪、正義は勝つと言うのはテレビドラマや映画の中だけで、何時の時代も悪者が得をし、しぶとく生き残るのだ。清く正しく生きる精神は大昔から培われて来た日本人の美徳であるが、哀しいことにそれが得とはならないのだ。坊っちゃんはそれを知っていながらも敢えて一本気な不器用な生き方を選択しているようにも見える。

    本体価格310円(古本100円)
    ★★★★★

  • 東京生まれ、直情で気短な青年「坊ちゃん」。両親亡き後、遺産の600円で学校を卒業。四国松山の中学に数学教師として赴任。そこでの学園ドラマ。

    登場人物がコミカルで、キャラクターが確立。先生方は、ニックネームで話が進む。学園コミックの原点。校長や教頭、マドンナと、キャラクター配分が絶妙で、バランスを真似したくなりますね。

    坊ちゃんは、自分の意志を貫きますので、揉め事も多い。正論派ですが、なかなか、田舎の社会がしぶとく思うようには捗らない。
    最後に、一矢報いるのですが、辞めて東京へ帰るんですね。この、正義の味方的な行動が、ファンが多いところだと思う。

    それにしても、松山の事を、田舎だとか、温泉だけは良いとか、書いているのに、ご当地で『坊ちゃん』人気高いですよね。良い人達だ。






    漱石の著名な作品ですが、全編読んだのは初めてかもしれない。

  • 世の中の理不尽なことに屈せずに自分を貫く無鉄砲で真っ直ぐな坊っちゃん。

    あだ名付けや田舎を馬鹿にする所など、ユーモラスに描かれていてクスッと笑ってしまう箇所が所々ありました。

    夏目漱石は高校時代授業で扱った「こゝろ」の印象が強かったけれど、こんなユーモアのある人だったなんて、印象変わりました。



    【追記】
    読んだ後に、中田敦彦のYouTube大学で坊っちゃんの解説動画を視聴しました。

    あっちゃんの解説によると、夏目漱石は江戸の終わり、明治時代の初めから終わりを生きた人だった。

    「坊っちゃん」はまさに、江戸→明治を描いた、明治維新の象徴のような作品だったのです。

    「坊っちゃん(江戸)・山嵐(会津)/ラストサムライ」VS「赤シャツ/新時代エリート」という構図です。

    そして、江戸時代の武士の美学が、「敵討ち」です。坊っちゃんは曲がったことを許さず、赤シャツへ天誅を加えました。

    しかし、山嵐と松山を去るという結果は、赤シャツに勝ったようで、実は負けてしまっている。権力に屈したということだ。これは、江戸→明治という時代の変わり目に散っていった敗者の美学だ。という解釈はなるほど時代の背景が分かるとより面白いなぁと思いました。

  • 文豪作品は敷居が高かったけれど、
    レトロな色合いの表紙に惹かれ…
    ふと手にとってみました。

    読み始めてすぐ、テンポの良さにびっくり。
    さらっと読めました。

    坊ちゃんの真っ直ぐさが、読んでいて爽快。

    正義感って、時に人間関係を壊すこともあるし、
    素直な気持ちを貫くって難しい。

    現実に坊ちゃんみたいな人がいたら、
    もう少し上手くやればいいのに…って
    多分思う。

    でも、その「上手くやる」というのは、
    自分の気持ちを押し殺したり、
    不本意ながらも周りに合わせたり、
    そういう小さな我慢の積み重ね。

    そういう立ち振る舞いを
    無意識でしてしまっている自分がいるから、
    坊ちゃんを読んでハッと気づくことが沢山あった。

    坊ちゃんのように真っ直ぐ生きることは難しいけれど、真っ直ぐな気持ちは忘れずにいたい。

    そう思わせてくれる作品です。

  • いつも同じことを言ってますが、昔の小説ってどうにも読むまでに気合いというか“読むぞ”って意気込みみたいなもんが要るんですけど、いざ読み始めると、とても読み心地が良いです。

    特に漱石先生は、未だにいろんな人に読み継がれているだけあって、その心地良さがとても顕著で、文章に不自然な部分がなく、スルスルと頭に入ってくる感じがして気持ち良いです。

    とは言ってみたものの、漱石先生の作品は“こころ”くらいしか読んだことなかったので(本棚には何作品か差さっているのだけれども、、)今回なんとなく“坊ちゃん”を読んでみました。

    この“坊ちゃん”、ストーリーはもの凄くシンプルで、東京育ちの主人公が学校を卒業してから、松山の中学校に数学の教師として赴任したのだけれど、、、ってだけの話なのに、こんなにも面白いのは、やっぱり登場人物のキャラ立ちの良さなのかなぁ、、と勝手に思ったりします。

    冒頭の「親譲りの無鉄砲で子供のときから損ばかりしている。」って文に全てが集約されているよね、、とか、したり顔で言いたくなるような、主人公のキャラ。
    良く言えば正直で真っ直ぐ、悪く言えば空気の読めない主人公、、、(多分名前は出てきてない?)そりゃあんたの言っていることは正しいよ、正しいけどさぁ、、って場面が物語の最初から最後まで貫かれていて、主人公の心の声というか独白のシーンでさえ、独りよがりで共感できないのに、なぜか憎めない、この絶妙なラインのキャラ設定が出来てしまうのが漱石先生の漱石先生たる所以なのだ!と勝手に納得してみたり、、。

    劇中に主人公が、街中で団子やら天ぷらソバやらを食べたら、次の日に黒板に団子やら天ぷら先生やら書かれて、生徒にからかわれる、みたいなシーンがあるのですが、こんな昔(時代設定は恐らく本書発行当初の1906年(明治39年)?)から、生徒が教師をからかう文化があったのか、と思うとなんだかドス黒い気持ちになりました。

    あと、昔の小説なだけあって分からないところが結構あって、巻末の脚注のページにポストイットを貼って、行ったり来たりしながら読んでいたのですが、“赤シャツ”の策略だったり、主人公に起こったいろいろなことは、結局は彼の被害妄想だったのか、それとも実際に主人公が“正直者”だからこそ、引き起こしてしまったトラブルなのか、、その辺が気になるところです。

    それにしても主人公の田舎のディスりかたが凄かった。
    でもそれすらも、「上手くいかないことを田舎のせいにして自分を守っている小せぇ器の主人公」ってニュアンスを遠回しに表現することが狙いなのだとしたら、やっぱり漱石先生凄いなぁとか思ってしまいます。

  • 何度も読んで、毎回最後まで見きれず挫折していた「坊ちゃん」。

    どうしても坊ちゃんのイライラについていけず…。
    田舎をバカにする態度も、いろんな人に対する
    傲慢な態度にも辟易してしまって、どうしても最後まで
    読み切ることができなく、パタリと本を閉じる…。

    その繰り返しだったけど、今度こそ!
    と絶対に読むと決めて挑んだ何度目かの坊ちゃん。
    やっと最後まで読むことができた。

    やっぱり今回も何度も閉じたくなりつつ[´ー`;]
    でもでも最後まで読んでほんとによかった。
    私にとっては、よく「坊ちゃん」について聞く批評とは
    感じることがまるで違うというか、勧善懲悪でも
    胸のすく話でもなく、不条理で憤懣やるかたない
    切ない話という全体の印象だった。

    山嵐とうらなりさん以外はいい人に感じられない。
    清は現実度外視で坊ちゃんだけを溺愛し、
    坊ちゃんと同じく「田舎の人」への偏見にも
    満ちていたりもするので、褒められた人とは感じないけど
    その愛情は揺らぐことなくあたたかく愛おしい。

    坊ちゃんは気性は真っ直ぐだけど、とにかく怒りっぽく
    1つの角度でしか物事を考えたり捉えたりすることしかできない
    欠点はあるけど、間違ったことにはちゃんとすぐ詫びることもできる
    ただ頑固な人ではなく、まだ日本が今の日本とはまったく別の国
    とも言えるほどの倫理観だったので、いろいろな道理の祖語は
    仕方ないこともあるんだと思うので、最後まで読み通すと
    坊ちゃんの勝手さに振り回されることだけでなく
    とても魅力的な小説であることに気づくことができた。

    明治39年に書かれた作品なので、その当時の日本の背景や
    暮らしぶりもとても興味深く、なによりいい人は少ないけど[笑]
    1人1人の人物が生きた人として心にくっきりと残る。
    道後温泉や坊ちゃんの愛した団子、天麩羅蕎麦。
    今度旅行する時はゆっくりと坊ちゃんの足跡も感じながら
    楽しい文学散歩ができるかなぁと思うとわくわくした。

    中盤からは特に一気に物語を読ませる熱量を感じて
    村上春樹さんを読んだ時と同じく、これが天才なのか…と
    難しいことや仔細について考えていくまでもなく
    いかに魅力的な文筆家であるかを感じて感動した。
    他の作品はもちろん、夏目漱石という人にとても魅力を感じて
    いろんな資料を読みたいなと思った。

    あたたかい古き日本を愛し、近代に絶望を見た夏目漱石の
    人となりを知りたいと思えた素晴らしい作品でした。

    • kuroayameさん
      松山にいとこがいるので、北海道に住んでいた頃から何度か訪ねているのですが、坊ちゃんはこれまで二度ほど読んだ本で、道後温泉、松山城などに足を運...
      松山にいとこがいるので、北海道に住んでいた頃から何度か訪ねているのですが、坊ちゃんはこれまで二度ほど読んだ本で、道後温泉、松山城などに足を運ぶたびに坊ちゃんの光景と重ねることができ、わくわくしちゃいます(^з^)-☆。
      坊ちゃん団子を初めて食べた時には嬉しくてたまりませんでした( ´ ▽ ` )ノ。
      2013/03/10
    • 山本 あやさん
      [♥óܫò]∠♡えぬちゃん

      本の中の景色を知ってたりすると
      ますますうれしくて愛着がわくよねー[*Ü*]
      本で読んだ場所に後から行くのもす...
      [♥óܫò]∠♡えぬちゃん

      本の中の景色を知ってたりすると
      ますますうれしくて愛着がわくよねー[*Ü*]
      本で読んだ場所に後から行くのもすごい楽しいし
      いろんな楽しみを本って増やしてくれるよねー♡

      私も早く道後温泉を見に行きたいなぁ~☆
      何日も滞在できるんだったら、現地で
      その空気と景色を前に坊ちゃんを読みたいねー♪
      2013/03/13
  • 朝日新聞の天声人語で人物のセリフを引用間違いしたとする謝罪含みの天声人語という珍しいものを最近読んで興味を持ちました。恥ずかしながら漱石でこれは、昔国語の時間に一部を読んだ記憶があったものの全編を読んだことはありませんでした。引用本当に間違ってました。天声人語を書くような日本語の識者でも読み間違えってあるんですね。

    とにかくおっかしいですね。

    笑えます。久しぶりにこれだけ笑える小説を読んだ気がします。思えば小説ではあまり笑ったことがなかった。

    あと思ったのが、この坊っちゃんがアスペルガー症候群と言えるという点です。専門家ではありませんが、かなり自信あります。

    例えば
    ・物事の裏や含みが理解できない
    ・物事や人を白黒で判断しグレーを認めない
    ・差別的で独断で決めつけが多い
    ・弁は立つが、実は言葉を完全に理解して使っているわけではない
    ・癇癪持ち
    ・超頑固
    ・空気が読めないので時に大胆な行動に出る

    他にも周りの状況として
    ・使用人清は真っ直ぐな性格とほめるが、父親からはろくなものにならんと異常に嫌われている
    ・ほかの教師や生徒に嫌われたりたりからかわれる

    などアスペルガーという症状だったとしたらあり得るけど、ちょっと普通では考えられないような部分が多いです。自己認知として知恵がないなどはわかっていたりするので、アスペルガーとも言い切れないのですが、生い立ちとして環境でこうなったというよりは、生まれながらの先天的部分に坊っちゃんが坊っちゃんたるゆえんがあるようなので、アスペルガーかと思いました。アスペルガー的という言葉があるなら、間違いなく当てはまります。

    しかし漱石はこのことを良しとしています。寛容しています。いやもっというと羨望のまなざしすら感じます。

    この坊っちゃんの正直さと純粋さはバカの裏返しです。おそらくバカ正直という言葉がぴったり当てはまるかと思います。つまりバカなんです。しかしこのバカを漱石はとてもうらやましく、尊いと感じていたのです。しかし世の中ではやはり坊っちゃんは負け組になったといえるような終わり方です。もちろん当人はまったく気にしていませんしむしろ清の元へ帰れてうれしかったでしょうが。ここにうらやましく思いつつ、侮蔑も含まれているような印象を持ちましたし、侮蔑とまではいかずとも、世の中ではそういったものは受け入れられないという悲しみのようなものも感じました。
    しかし漱石はそのバカを良しとして、寛容いやむしろ尊敬していたのです。

    おそらく漱石の世間への皮肉と自己への嫌悪がこの作品の裏にあるように思います。
    一般人は坊っちゃん的ではなく、確実に赤シャツや狸、野だやうらなり君のような人物なのです。そして漱石自身は赤シャツやうらなり君に当てはまるのではないでしょうか(漱石の伝え聞く人物像によると)。間違いなくいえることは、こころなどを書いた漱石が坊っちゃん的な人物の要素はまったくなかったということです。
    まとめると、坊っちゃんに対しての羨望と侮蔑、世間と自己への嫌悪を、落語のようなテンポの良さで皮肉たっぷりに面白おかしく書いた作品と言えるかと思います。
    それにしても坊っちゃんの使用人だった清へのツンデレな愛情はとても美しいです。24の若者がばばあへあそこまで愛情を寄せるその純粋さは美しいとしか表現できません。やはり坊っちゃんのような性格への憧れが強かったんですかね漱石先生は。

    例えばアスペルガーという症状の人がいたとして、社会に受け入れるだけの寛容さは間違いなくありません。相当生きづらいでしょう。おそらく多くの人が坊っちゃんを読んでもハナカラ主人公が理解できないまたは、正義の味方として関心したり、ただの差別的なバカとかのーたりん、のように感じてバカにするだけで終わってしまうような気がしないでもないです。
    坊っちゃんというタイトルが示す通り、漱石の意図としてはそのどちらでもないと思いますが、現代ではもはや解説なしにはそれこそ、表面的な部分をとらえて終わってしまいそうな気がします。まあ読む人の判断が全てなんで別にそれはそれでいいのですが、あまりにもそういう人が多くなってしまうと、メッセージが伝わらない世の中になってしまうという気もしますし、なにより寛容の精神という日本の美徳が消え失せそうで怖いです。


    もっとも読みやすいながら、漱石の天賦の才をもっとも強く感じる作品でしたので夏目漱石の入り口と出口としてはベストだと思います。

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著者プロフィール

夏目漱石(1867~1916)
小説家、評論家、英文学者、俳人。本名は夏目金之助。明治末期から大正初期にかけて活躍した。近代日本文学の頂点に立つ作家の一人。代表作は『坊っちゃん』『三四郎』『こゝろ』『明暗』など。『吾輩は猫である』は、『ホトトギス』に連載され人気を博した。その批評精神とユーモア感覚は、現代も全く古びていない。

「2021年 『大活字本 吾輩は猫である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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