三四郎 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 5323
レビュー : 491
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010045

感想・レビュー・書評

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  • 2015年最初の1冊。
    毎年、干支にまつわるものを読むことにしているのですが、未年の今年はこの1冊。
    Stray Sheep, Stray Sheep…。

    地方から上京した青年が都会でさまざまな人に出会い、自由な女性に心惹かれるも、結局彼女は他の男性と結婚してしまう…。
    ストーリーを楽しむというよりも、主人公や周囲の人々とのやり取りに引き込まれる小説だと思います。

    敬愛する先生のために独自の運動に奔走する友人、自由奔放な美しい女性、哲学の煙を吐きつつ学問の世界を遊歩する先生…。
    そんな都会の人々に囲まれた毎日を過ごしつつ、田舎からの手紙への返信に「東京はあまり面白いところではない」と書く三四郎に、切なさと少しのおかしみを感じるのでした。

    描かれている当時の大学の雰囲気が好きだなぁと改めて思いました。
    いろいろな人がいろいろな思いを抱えて日々を送るキャンパスを上から覗き込むような楽しさを感じました。

  • 前期三部作の一作目。若い頃、いや今もかな、女は男にとって、謎であり、神秘的であり、魅力的であり、時に憎らしく恨めしい。でも、登場する女性も同い年の男を、頼りないと思いつつも、同い年として気軽さを感じている。しかし、この当時の男と女の交際感覚が、この二人の関係を許さなかった。でも、登場する女に、われ我がとがを知る。我が罪は常に我が前にありと語らせることでこの後の、明治の文豪と呼ばれる男、夏目漱石の男と女の恋愛を巡る喜びと苦悩の大きな物語の始まりを予感させる。

  • 読みやすくてするすると世界に入っていける。直接書かれていなくても登場人物の台詞やちょっとした行動で心持ちが伝わってくる。三四郎が察するシーンが何度かあってそれが好きだな。頭の中で急に繋がっていくところがよく分かる。
    ふとした時に美禰子の視線が遠くにあるのが、美しい人なのだなと思わせる何かがある。ちょっと小悪魔すぎるけど。気にしていた野々宮との間でなくまったく別の人にとられてしまってあっけなかった。
    恋の話もいいけど広田先生や原口氏の仰ることでハッとした部分がいくつかあった。

  • 大きな事件や変化があるわけじゃなく淡々としてるけど、その淡々とした中に面白さがある。
    時代こそ明治だけど、学生たちの生活は現代とほとんど変わらない。恋をするのも、恋が叶わないのもいつの時代だって同じ。
    与次郎はなんとなく、よく言う意識高い系の学生に見えてしまった(笑)

  • たまには、近代文学を読みましょう。
    と思い、久しぶりに夏目漱石を。。。

    一人の大学生の青年の苦い初恋と、彼のまわりの人間模様をほんわかと書かれてる。
    昔も今の時代も、こういうストーリーって変わらないね~。
    田舎から出てきて、恋したり、でしゃばる友達にいいように振り回されたり(笑)、いい先生に出会ったり。。。
    淡々と話が展開するので、一気読みは出来なかったけど、でも今でも多くの人に読まれてる漱石の本ってすごいな~。って思う。

  • 東京にやって来た三四郎の恋愛を描いた物語、と一言で言えばいいか。悪友の与次郎に都会の過ごし方を教わり、恋に破れたような広田先生に人生の無情を教わる。それから、には高等遊民という言葉がでてきたけど、まだ三四郎はきちんと学生をやっている。でも、やっぱりふらふらと生きているようだ。遠くから憧れの女性を見つめ、借りた金を会う口実にしてみたりといじらしい。彼女が結婚すると知り、きっぱりと金を返すも、彼女が描かれ絵を直視することはできない。迷うのが青春だ、といわんばかりに。

  • 美禰子的な女は確かにいる。そしてそれにハマってしまった三四郎には激しく同情できる。刹那過ぎる恋である。

  • 恋愛物を読み慣れてる人なら先が読めたのだろうか。私としては最後まで読んで、えー、ここでこうなのー今までの二人のやり取り一体何だったんだー、と思った。よし子の明るく言ったセリフが、余計に虚しさを引きだたせているような。
    多分、三四郎が勝手に、美禰子にも脈があるのではと思ったが故に美禰子の所作の一つ一つがそう見えて、それがそのまま描写になっただけだろう。原田さんの言う、画家は内面を描くのではなく内面がにじみ出た外面を描いている、という言葉が実はここで小説として当てはまるのでは。とも思った。
    最後の場面だけ、与次郎視点になっていることで三四郎の考えていることからふっと離れることができ、なんか重そうで哀しい展開になりそうだという読者の読みをちょっと反らしている感はある。
    恋愛場面だけでなく、それぞれの登場人物がいい塩梅に味を出していて、与次郎の要領の良さと詰めの甘さ、広田先生の哲学的論議、原田さんの芸術的叙述もセリフが凝っていると思った。与次郎なんかは読んでいて憎めないやつだなー程度しか思ってなかった(あとネーミングが適当だなとか)が、最後の場面で感想が変わった。与次郎優しいな。

  • 熊本の高校を卒業し上京する三四郎。序盤では彼の真面目で純粋な性格が見て取れます。彼は東京帝国大に通う中でひとりの女性に見惚れますが、後に彼女に翻弄されていきます。切ないですが、真面目な三四郎の恋や反応はいつの時代でも既視感がありますね。

  • 熊本の高等学校を卒業して上京したうぶな朴念仁の三四郎が、都会的で思わせぶりな美禰子(みねこ)にハマってウジウジしている間に、美禰子は別の男と結婚してしまうという話。
    童貞に特有の異性との距離のとり方の難しさはすくなくともこの100年間は変わらないものだなぁと感じさせる。

    ストレイシープ
    作中でキーワードとして出てくるストレイシープ。注によるとマタイによる福音書の「100匹のヤギで1匹だけ迷子になった。残りの99匹を山において探しに行かないだろうか?私はその1匹が見つかる方が嬉しい。天の父もこの小さなものの一匹が滅びることさえお望みになられない。」という記述をもとにしている。
    さて、迷子だったのは三四郎か美禰子か、読者か。

    「それほどロマンチックな人間じゃない。僕は君よりはるかに散文的に出来ている。」
    広田先生の語る言葉は、どこか作者の心境を代弁しているように見える。

著者プロフィール

夏目漱石(なつめ そうせき)
1867年2月9日 - 1916年12月9日
江戸・牛込馬場下(新宿区)生まれの小説家、評論家。本名は「夏目金之助」(なつめ きんのすけ)。1890年、帝国大学文科大学英文科に入学。1895~96年には『坊っちゃん』の舞台となった松山中学校で教鞭を執る。1900年、イギリスに留学。1905年、『吾輩は猫である』を俳句雑誌「ホトトギス」に連載し始め、作家活動を本格的に開始。1907年、朝日新聞社に入社。以降、朝日新聞紙上に『三四郎』『それから』『こころ』などの代表作を連載。日本の文学史に多大な影響を与えており、作品は多くの人に親しまれている。学校教科書でも多数作品が採用されている。

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