三四郎 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 7054
感想 : 570
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010045

作品紹介・あらすじ

熊本の高等学校を卒業して、東京の大学に入学した小川三四郎は、見る物聞く物の総てが目新しい世界の中で、自由気侭な都会の女性里見美禰子に出会い、彼女に強く惹かれてゆく…。青春の一時期において誰もが経験する、学問、友情、恋愛への不安や戸惑いを、三四郎の恋愛から失恋に至る過程の中に描いて「それから」「門」に続く三部作の序曲をなす作品である。

感想・レビュー・書評

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  • 「この本の要約」
    熊本から、東京の大学に入学するため、東京に来た三四郎は、友人の引っ越しの手伝いをしている時、一目惚れした美禰子と出会った。三四郎は好きである美禰子に自分の気持ちを話せなかった。美禰子は三四郎が自分の気持ちを話せないまま、結婚をしてしまった。
    「三四郎あらすじ」
    熊本から東京の大学に入学するため汽車にのった。車内で夫が満州にいる夫人と知り合う。
    そんなことから夫人と同じ宿の同じ部屋に泊まることになった。
    翌日、駅で夫人に三四郎は「貴方はよっぽど度胸のない方ですね」と言われた。
    学業が始まると同級生である与次郎、与次郎が尊敬している広田先生、光線の研究をしている野々宮と出会いました。
    そして、広田先生の引越しを手伝った時、以前自分が一目惚れした美禰子に出会います。
    その頃、与次郎は尊敬する広田を帝国大学の教授に就任させようとします。与次郎に協力するうちに三四郎も巻き込まれます。
    その後、美禰子から美術展に行かないかと誘われ、美術展に行くとそこには野々宮もいました。

    美禰子は三四郎に必要以上に親密な関係に見せようとして、野々宮を愚弄します。
    美禰子と野々宮の駆け引きのために利用をされた三四郎は怒りと戸惑いを覚えます。
    与次郎から美禰子が結婚すると聞かされた三四郎。
    その相手は、野々宮ではなく彼女の兄の古くからの知り合いでした。
    その頃、与次郎が暗躍していた広田の教授就任のための数々の工作が露呈。
    広田は帝大教授の座に就くことはできませんでした。
    美禰子をモデルにして原口が描いた作品が美術展に出展され好評を博していました。
    三四郎は、広田、野々宮、与次郎と展覧会を訪れた。
    評判の絵には「森の女」という題名がつけられていました。
    三四郎は題名が悪いと言い、「迷羊(ストレイシープ)」と何度も繰り返しました。

  • 明治も最終盤の頃、大学に入るために上京してきた小川三四郎の、学業は兎も角も、次第に広がる交友関係に、そこはかとない片想いもあって、まさに学生生活を謳歌するちょっぴりほろ苦い青春物語!
    その後の漱石の小説では、狂おしいばかりの主人公の懊悩と葛藤が描かれるようになりますが、この『三四郎』はどちらかというと、田舎から上京して右も左もわからずに、人並みに悩みはするけれど(笑)、ぼぅ~と流されてあまり深く物事を考えていない、いらいらさせられる系の主体性の無い青年のようですね。(笑)
    物語の進行は流石にドラマ仕立ての場面構成になっていて面白いです。それに三四郎の周りを彩る個性的な面々もなかなか魅力的です。「明治」というと欠かせない広田先生や野々宮のような学究肌の人物や、三四郎も惚れた「明治」の女らしい美禰子、そして、学生時代に必ずいるがさらにそのおっちょこちょいぶりに「明治」の拍車が掛かるかき回し屋の与次郎など、三四郎を取り巻く登場人物が魅力的すぎたが故に、逆に三四郎の影が薄くなっているほどです。(笑)あと、「偉大なる暗闇」とか「迷羊(ストレイシープ)」とか物語の要所を締めるキーワードが、持って回った言い方となっていて、これも「明治」のインテリ層の雰囲気が味わえるなかなか楽しい趣向でした。(笑)
    交友関係の展開はいいとして、三四郎の片想いの行方が気になるところですが、相手の言動の三四郎なりの解釈や、すれ違いぶりが、どうしても三四郎のぼぅ~とした性格ぶりと重ね合わさって、描写が不十分と思えてしまうのはその後の作品群と対比してしまうからなのでしょうね。
    ところで、この作品ではさかんにイプセンのことが語られていますが、「明治」の新しい青年像への漱石なりの指針のひとつだったのでしょうかね?

    • 佐藤史緒さん
      mkt99さん、こんにちは!

      >三四郎のぼぅ〜とした性格
      漱石作品の主人公は大抵ぼんやり君ですね(笑)
      『坊っちゃん』はコミュ障...
      mkt99さん、こんにちは!

      >三四郎のぼぅ〜とした性格
      漱石作品の主人公は大抵ぼんやり君ですね(笑)
      『坊っちゃん』はコミュ障、『三四郎』は草食系男子、『それから』の代助はニート、『こころ』の先生はひきこもり&メンヘル…って、現代の病理をほとんど網羅してる。残りはアル中&ヤク中と性的逸脱くらいで、前者は芥川と太宰が、後者は谷崎と三島が、それぞれカバーしてる。三島はネトウヨにも親和性が高い。
      これが、学校では教えてくれない日本文学の要点だったりして(笑)
      2014/06/03
    • mkt99さん
      佐藤史緒さん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      主体性のない主人公・・・。確かに、よくもまあ明治にあ...
      佐藤史緒さん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!(^o^)/

      主体性のない主人公・・・。確かに、よくもまあ明治にあって受け入れられたものだと思います。(笑)もっとイケイケな時代イメージがあるのですけどね。(笑)
      佐藤史緒さんの主人公性格分析、面白いです。(笑)
      こういうバランス感覚(?)というか、時代の先取りというか、流石、漱石先生ですね!
      本来、文学に親しむということは、杓子定規な小・中・高の学校教育とは相反するものだとは思いますけどね。(笑)
      2014/06/04
    • 藤首 亮さん
      mkkT99さん、おはよう
      【令和元年5月12日午前5時~過ぎ】
      明治は遠くなりましたが、今でも三四郎がすぐ隣にいて、僕も美禰子に思いを...
      mkkT99さん、おはよう
      【令和元年5月12日午前5時~過ぎ】
      明治は遠くなりましたが、今でも三四郎がすぐ隣にいて、僕も美禰子に思いを寄せるライバルです。
      三四郎に先を越されたと感じたシーン
      原口と言う画家の家にモデルとなっている美禰子に金を返そうと訪ねる。道を歩きながら「あなたに会いに行ったんです」
      「ただあなたに会いたいから行ったのです」
      2019/05/12
  • 昭和55年3月10日 83版 再読

    時代は明治後半、九州(出身は福岡、学校は熊本)から大学進学の為上京した小川三四郎の、東京での青春物語。前期三部作の一つ。
    当時も大学の講義は面白くなかった様子。コンパのような集まりにも参加する。文化祭に似たような物もある。少し悪めの友人が出来たり、研究室に閉じ籠りがちな研究者も居たりする。文化は変化していても、現在と似たような生活を垣間見る。そんな東京で三四郎は成長していき、淡い恋もする。

    若い頃読んだ時は、見えなかった物が見えたりした。又、これも新聞小説であった事も知り、作中で当時の日本の社会批判を登場人物に語らせている事に驚いた。

    stray sheep 迷える羊 が頻繁に出てくる。三四郎も明治日本も漱石自身も迷える時代だったのかもしれないですね。

    • moboyokohamaさん
      青春という言葉を聞くとこの小説を思い出します。
      青春という言葉を聞くとこの小説を思い出します。
      2022/02/15
  • 授業で取り扱った作品。

    『三四郎』は高校性の時に担任に薦められて読んだけど当時は全く理解できなかったし、つまらないと思った。正直表紙絵も好みじゃなくてもし買うとしても新潮社のこれだけは選ぶまいと決めてた。
    『三四郎』は私が近代文学を苦手にした原因の一つだった。
    結局大学の授業で必要になってこれを買い、数年ぶりに再読。

    んで感想。

    「え、なにこれ面白いんだけど…」
     
    高校の時と違ってストーリーがわかる!三四郎の言っている意味が分かる!
    やっぱり読書のタイミングってあるんだなってすごく実感した。去年一年通して近代文学を克服しようとたくさん読んで近代文学に慣れてきたせいもあると思うんやけど、私の中で夏目漱石が広がってきた。今『こころ』を読んだらまた何か違うかな。

    読んでる間ずっと美禰子さんとよし子さんのキャラデザが波津彬子の絵だった。多分二人ともミステリアスな雰囲気の女性やからかな。
    本文読んでるだけだと美禰子さんって電波で不思議ちゃんでこの人何考えてんねんって感じなんやけど、授業を聞いてると美禰子さんの一つ一つの行動にちゃんと意味があって、そういう見方もできるのかと感動。
    というより現代小説ってきっとキャラクターの心情とかを文章で説明しすぎなんかも。

    面白かったのは4章で与次郎が丸行燈とかを旧式って言ってる場面が笑える。だって私からみたらあなたたちも昔の古い人間だから。

    そしてこの『三四郎』の中で一番私の心を持って行ったのは広田先生!!
    特に11章で持っていかれました!
    後半の三四郎との結婚話!
    あのたとえ話の男ってきっと広田先生だよね!そうに違いない!←
    11章の夢の話からの演出が素敵すぎてもう!
    さんざん匂わせといて「僕の母は憲法発布の翌年に死んだ」で11章をバン!と終わらせるなんて。
    演出が漫画みたいでカッコいい。

    広田先生は確かに母が理由で結婚に信仰を置かなくなったんだろうけど母のことはもう許していると思う。
    ひたすら広田先生のことを考えると切なくて(笑)でも広田先生はこんな考えを言ったら「浪漫的」って言うんやろうな。
    このことを念頭に置きながら『三四郎』を読み返したら彼の言葉の端々から広田先生の人物像がもっとちゃんとしてくんやろうな。

    本当は星五つでもええんやけどなんか悔しいから四つ。
    そして与次郎は早く金返しなよ(笑)

  • 一読すると青春小説ですが、なかなか重層的、かつ、ペダンチックに書かれてますね。読み方で印象が変わります。暗喩や伏線がそこらじゅうに意味ありげに置かれているのも、宝探しゲームみたいです。読者層が広く、再読を誘う不思議で愛すべき小説ですね。漱石がこの路線を極めていれば、日本文学の世界的レベルも高まったでしょうに。残念です。

  • 明治時代という旧時代の因習と新時代の気運が渾然一体となった時代を切り取った青春小説。読了した後に見た、中田のあっちゃんのYouTubeでは明治時代のトレンディドラマと銘打たれていて、なるほどと思った。三四郎をコミカルに演じるあっちゃんの演技力で読みも深まった。正直、一読しただけでは心内描写がふんだんにある三四郎はともかく、美禰子をはじめとする他の登場人物が何を考えているか理解するのは難しかった。
    三つの世界を持ち出して、勝手に脳内で国から母を招いて、美しい嫁さんをもらって、学問するなどという大それた妄想をする割には美禰子の気持ち一つわからない三四郎が愛おしい。特に随所で見せる家族愛が人間らしい。
    少なくとも人間の見方において漱石自身に最も近いのが広田先生かと。明治時代、日露戦争に勝利し、日英同盟に湧く日本を亡びるねと断じる。愛国心、家族制度と言った伝統が漱石の唱える個人主義と対立する様を風刺的に描く。それでも広田先生を偉大なる暗闇として成功者として描かなかったのは漱石の少しばかりの厭世主義のあらわれだろうか。

  • 半藤一利さんの本で読んだ、有名らしいこの場面が出てくる文脈を知りたいがために読んだ。序盤で呆気なく出てきたが、最後まで読む。

    P24 (場面は1908年の筈)
    「しかしこれからは日本もだんだん発展してするでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
    「滅びるね」と言った。—— 熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。


    もひとつ、Pity is akin to love. の名訳として名高い「かわいそうだた惚れたてえことよ」が、与次郎の迷訳として、エピソード的に軽く登場していて、少々意外。

    ストーリーとしては大きな動きもなく、淡々としたお話。田舎から上京した自分の学生時代を思い出した。90年位時代は違うけど。

  • 上京してきた若者が、東京で新しい考え方に触れ、仲間と出会い、淡い恋をする。という、ほんとうにそれだけの青春小説。

    坊っちゃん同様、登場人物のキャラが個性的で、彼ら彼女らのやりとりがいちいちユーモアにあふれ魅力的。

    ストレイシープなど、言葉もいちいち気障なんだが、それがまた良い。

    とりたてて好きな物語ではないけど、ところどころを切りとって飾っておきたくなる名文が随所にあり、さすが文豪。

    終盤で広田先生が語る、二十年前に会った少女が夢に出た、の話が好きです。

  • 数年ぶりに読んだ。こんなに恋心を描いた小説だったか。美禰子の気持ちが最後までよくわからない。でも三四郎が良いと言ったヘリオトロープをつけているのを見ると、好きなのかなぁ…三四郎が勇気を出して、あなたに逢いに来たんだというところなんかは胸キュン。それをすっとはぐらかしていく美禰子とか、その美禰子の心の読めなさと、それに一喜一憂する三四郎のもどかしさと、全部ひっくるめてリアルな恋心が味わえた。
    ハムレットの邦訳の奇妙さには無闇な西洋化非難が見られるし、与次郎のセリフにも漫談的な要素が多いし、漱石的な面白さもたくさん。

  • 2015年最初の1冊。
    毎年、干支にまつわるものを読むことにしているのですが、未年の今年はこの1冊。
    Stray Sheep, Stray Sheep…。

    地方から上京した青年が都会でさまざまな人に出会い、自由な女性に心惹かれるも、結局彼女は他の男性と結婚してしまう…。
    ストーリーを楽しむというよりも、主人公や周囲の人々とのやり取りに引き込まれる小説だと思います。

    敬愛する先生のために独自の運動に奔走する友人、自由奔放な美しい女性、哲学の煙を吐きつつ学問の世界を遊歩する先生…。
    そんな都会の人々に囲まれた毎日を過ごしつつ、田舎からの手紙への返信に「東京はあまり面白いところではない」と書く三四郎に、切なさと少しのおかしみを感じるのでした。

    描かれている当時の大学の雰囲気が好きだなぁと改めて思いました。
    いろいろな人がいろいろな思いを抱えて日々を送るキャンパスを上から覗き込むような楽しさを感じました。

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著者プロフィール

夏目漱石(1867~1916)
小説家、評論家、英文学者、俳人。本名は夏目金之助。明治末期から大正初期にかけて活躍した。近代日本文学の頂点に立つ作家の一人。代表作は『坊っちゃん』『三四郎』『こゝろ』『明暗』など。『吾輩は猫である』は、『ホトトギス』に連載され人気を博した。その批評精神とユーモア感覚は、現代も全く古びていない。

「2021年 『大活字本 吾輩は猫である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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