それから (新潮文庫)

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レビュー : 346
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010052

感想・レビュー・書評

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  • 1910年の小説。
    今まで読んできた漱石作品中、最も共感してしまった。あらゆる欺瞞への嫌悪、無目的の道義を求めるところ、実生活と頭の中の乖離、恋愛への距離感、といった特徴とそのような特徴に決定づけられ得られる思考の結果に、代助と自分の共通点を多々見出してしまった。どちらの理もわかる、だから何もできない、みたいなのもすごいわかる。思考プロセスも現実でのあり方もすべてではないけれどかなりわたしと被っているとおもう。いやわたしはニートじゃないけど。でもどうしよう。わたしはいま21歳で大学3年生で代助は30歳でもしかしたら代助はある意味でわたしの未来の姿かもしれないし、わたしはいま代助はなんて身勝手で甘ったれだろうと思う部分もあってそれなりに自己批判、自分を客観視するよう努めているつもりだけれども、たぶん限界があるし、ほんとうにおそろしい。作中に表れる五感の異様な敏感さについての描写をみればわかる通り、おそらく代助は神経症の気があって最後は明らかに狂気に向かっていて、なんかわたしどうすればいいんだろう。「三四郎」を読んだとき、これは大学入学当初のわたしみたいだなあとおもったんだけれども、「それから」は大学3年生の今のわたしみたいだ。「ああ動く。世の中が動く」自己批判、内省の道標として中島敦「山月記」と共に大切にします。こわすぎる。

  •  代助はまったくだめなやつだ……と実感を持って思うのに、どうにも嫌いになれないのは、自分の考えに固執して他者を見下したり、あるがままであろうとして動くべき時に動けなかったり、そういう彼の生き様に、情けなくも共感してしまうからだと思う。
     麺麭のために生きるようになったら終わりだと思っていた。けれど彼はその道を選ぶしかなくなった。信念を折った彼は柔軟になっていけるのかな。
     個人的には、代助は宗助に直結しないと思う。自分で決断した彼はたぶん、あそこまで弱くない。そうであってほしいと願いたいだけかもしれない。

     告白のシーンが好きです。飾り気がないのが、ぐっときました。
     あと兄さんの啖呵が刺さりました。信じてくれていた人に、想像が及ばないほどに馬鹿だったのだと判じられた。兄さんもやるせなかっただろうな。

  • 青空文庫で読みました。なぜか三四郎は数回読んでいるのに、これは初めて。本当に切ない美しい本でした。感動です。

  • 課題図書として購入。
    『三四郎』からちゃんと読んでおくべきだった。

    「働らくのも可いが、働らくなら、生活以上の働でなくっちゃ名誉にならない。あらゆる神聖な労力は、みんな麺麭を離れている。」

    という代助の労働への説は、理想でしかない。だけれど、ふと立ち止まってしまうような魅力を持っている。

    食う為に働くか、働く為に働くか。

    しかし、そんな彼の持つ甘い魅力も最終的に恋の前には崩れてしまう。

    結局は無理解な父や兄から見放されて、社会のど真ん中に投げ出されてしまう代助に一体どんな『それから』が待っているのだろう。

    赤、白、黒。
    場面に応じた色のイメージも鮮やかだった。

  • 本心に従おうとしなかった昔の自分が、今の自分を苦しめていることにとても共感した。
    だれもが自分の中にそういう後悔があると思う。あの時勇気を出していればよかったとか、あの時こうしたかったとか。この本は恋愛の視点から書かれているが、人間の人生で普遍的な題材が書かれている。

  • 面白かったが、パンのために働くことを馬鹿にし親の臑をかじってぶらぶらしている序盤の代助には全く共感ができなかった。とはいえ少々耳が痛い部分もあった。これから先、彼は三千代を抱えてどう生きていくのだろう。

  • 生活をとるか、恋愛をとるか‥
    文字に起こすとなんとなく昼ドラみたいな展開だけど、実はとても高尚な問題提起だと思う。

    苦悩のすえ、物語の最後に代助がとった行動がとても心に残った。
    「三四郎」「門」と一緒に読んでほしい。

  • ブンガク
    かかった時間 4〜5時間くらい?

    何度目かの再読。いつ読んでも後半の盛り上がりが半端ない。愛に向かう理由もいきさつもなにもないのに、その激情だけが胸に迫る。

    定番の読み方のように、個人や恋愛のあり方に適応しきれない社会や人間をこの作品が描いているのだとすれば、やはり現代はそうした飢えが起こらない不幸がある時代だと思う。

    ぐっとくる、し、大きな時代の流れの中でこの作品を考えることもできる、が、果たして、古文もそうだが、この作品はいつまで普遍性をもつだろうか。それとも、やはり、永遠の普遍性(まあそもそも普遍性とは時間軸も考慮されるべきものだが)を、この作品は持っているのだろうか。

    以前、能を観た時に、前半の静寂が後半を際立たせていると思った。この小説もそんな感じがする。

  • 話しとしては高等遊民である主人公が略奪愛をする話しです。主人公は悩んだ末に"自然"に従います。

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著者プロフィール

夏目漱石(なつめ そうせき)
1867年2月9日 - 1916年12月9日
江戸・牛込馬場下(新宿区)生まれの小説家、評論家。本名は「夏目金之助」(なつめ きんのすけ)。1890年、帝国大学文科大学英文科に入学。1895~96年には『坊っちゃん』の舞台となった松山中学校で教鞭を執る。1900年、イギリスに留学。1905年、『吾輩は猫である』を俳句雑誌「ホトトギス」に連載し始め、作家活動を本格的に開始。1907年、朝日新聞社に入社。以降、朝日新聞紙上に『三四郎』『それから』『こころ』などの代表作を連載。日本の文学史に多大な影響を与えており、作品は多くの人に親しまれている。学校教科書でも多数作品が採用されている。

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