それから (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 346
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010052

感想・レビュー・書評

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  • で? と思ったw 30歳まで父と兄の援助で呑気に暮らす代助は、友人である平岡の妻三千代と不倫。自分から暴露して平岡とは絶交、父からは勘当、しかも美千代は病気で会えない。環境が激変しこれからどうして生きようかというところでぶった切りエンド。

  • 三千代への愛の純粋さとひたむきさにほれぼれします、代助

  • 東大京大教授が薦めるリスト100選抜

    No.23

  • 身につまされる箇所が現代も百年前も殆ど同じだったりするのに驚いた。本望を貫いて生きることを選ぶと社会ではどうしても強烈なエゴイストになってしまう。「めっきを金に通用させようとする切ない工面より、真鍮を真鍮で通して、真鍮相当の侮蔑を我慢する方が楽である。と今は考えている」なんて表現にも共感。

  • 漱石

  • http://tacbook.hatenablog.com/entry/2014/02/15/135615

    主人公の代助は父親にパラサイトし、30になっても尚働かず、嫁を貰わずのうのうと過ごす男。

    現代となってはなんら違和感はありませんが、70年前という時代においては完全に異端児らしく、代助の父親始め周囲の人々も、そんな代助を恥ずかしく思っているであろう描写がポツポツ出てきます。

    けれど代助はあろうことか、友人の平岡の妻である三千代に恋をしてしまう。

    平岡の仕事がうまくいかなかったことから、彼ら夫婦は貧乏生活を強いられていたため、おすねカジリ虫の代助は親の金を握りしめて三千代に近づきます。





    で、この代助という男が曲者で、働かずパラサイトしている身分のクセに「フィロソフィ」だけはいっちょまえに尖っている。

    確かにその「フィロソフィ」は非の打ち所のない理屈で固められていて、実際私も読みながら共感した点を多々ドッグイヤーしました。



    けれど中盤以降で、他人から貰った金を握りしめて「気にするな」と三千代に渡したり、寝る前に部屋の隅に香水を振り撒いたりする姿を見て、もうサブイボ立ちまくりです。笑

    そんな痛々しい代助に見兼ねて、兄の妻である梅子が代助を否定するシーンがあるのですが、ここが『何者』で主人公が友人の理香に罵倒されるシーンに瓜二つなのです。

    社会に身を投じずTwitterで俺は素晴らしい、他人とは違うとぼやく『何者』の拓人。

    同じく社会に身を投じず心のうちで俺は素晴らしい、他人とは違うとぼやく『それから』の代助。

    そして周囲の人間を代表して、そんな彼らを真っ向から罵倒してくれる理香と梅子。

    例えが飛躍しすぎかもしれませんが、読んでいてそんな風に思いました。

    (もし代助の生きた時代にネットが存在していたら、彼は間違いなくTwitter中毒者だったろう。「友人は働いているのか?働かされているのか?俺には必要ないことのように思う」とかナウしながら)



    私には当時のことなんて勿論分かりませんが、こんなにもネットリとした、女々しさ満載の男が題材となった本作は、果たして出た当初から名著と謳われてたのでしょうか。

    現代がやっと『それから』の価値観に追い付いたような、この先鋭性こそがのちに人気を博した理由なのかなとも思います。





    ただこうやって様々に考えさせる本書でありながらも、夏目漱石は哲学者でも評論家でもなく「小説家」、後半になってエンタテイメント性が溢れて出てきます。

    『こころ』は終盤、胸をえぐるような先生の手記によって茫然とさせられるままに終了しますが、『それから』では親・親戚を裏切り、親友を裏切り三千代と生きていくことを決意した代助の姿が描かれています。

    ここでの代助は意思を以てしても、職の無い身分で三千代を支える不透明な将来や、裏切った親友から受けた当然の仕打ちにひどく混乱していて、その描写に読んでいるこちらも混乱させられました。

    例えば三千代への気持ちに気づいたときの代助



    彼は病気に冒された三千代をただの昔の三千代よりは気の毒に思った。彼は子供を亡くした三千代をただの昔の三千代よりは気の毒に思った。彼は夫の愛を失いつつある三千代をただの昔の三千代よりは気の毒に思った。彼は生活難に苦しみつつある三千代をただの昔の三千代よりは気の毒に思った。




    また、ラストのラスト



    「焦る焦る」と歩きながら口の内で言った。「ああ動く。世の中が動く」と傍の人に聞こえるように言った。


    決してハッピーでない代助のそれからを示唆する終わり方で、夏目漱石どんだけ暗いんだとどんよりした気持ちにもなりますが笑、

    それ以上に代助が精神的に成長し、人間の弱みみたいなものを炙り出したこの小説はどこを取っても素晴らしかった。

    読んでよかった!!!

  • 2014/2/16

  • 相変わらずいらいらさせられる漱石の描く主人公。代助はその中でも最たる人物かもしれません。

  • 主人公である「高等遊民」代助は、その経済的礎である家族関係の維持と(自らの意に逆らえない)友人の妻である三千代を奪い取ることの選択を思い悩む。
    漱石の小説の中ではとてもドラマチックなストーリー展開。

    漱石の小説に度々現れる「迷う男と迷わぬ女」。
    迷う男は知識人でもあり、情感に流されることを潔いとしない。思案して行動する。
    三千代は美しくそして病的で弱々しい。数少ない言葉には、ストレートな表現は避けつつも、強い意志が込められている。人間の魅力は相反するもの。三千代でいえば強さと弱さ。
    そこに読者の想像力をかきたてる仕掛けがあるのだろうか。

    明治は過去からの価値観と西欧文化に影響を受けた新しい価値観のぶつかり合った時代。
    この小説でも父や兄=「家」という価値観と、知識人の自負からでる個人主義的価値観との葛藤の心情が流れるような美しい文章で表現されている。
    また、価値観という意味では、父や兄は保守的な家族観、道徳観の象徴でありながら経済人という利害、打算で生きていきる新人類(士族的でない)の象徴としても描かれており、この逆説的な面白さも感じることができる。

    漱石は、普遍的な人間性の本質を表現力豊かに著す能力が高い。
    これが今でも多くの読者を魅了するところなのだろう。

    いつの時代も過去や新しい価値観との葛藤に悩まされ、どのような行動を取るのかテーマになるが、漱石の小説には所々にそのエッセンスが散りばめられ、且つそれが現代社会にも示唆を与えている。


    以下引用~
    ・代助はすべての道徳の出立点は社会的事実より外にないと信じていた。始めから頭の中に硬張った道徳を据え付けて、その道徳から逆に社会的事実を発展させようとする程、本来を誤った話はないと信じていた。
    従って、日本の学校でやる、講釈の倫理教育は、無意義なものだと考えた。
    代助に至っては、学校のみならず、現に自分の父から、尤も厳格で、尤も通用しない徳義上の教育を受けた。

    ・今の日本は、神にも人にも信仰のない国柄であるという事を発見した。そうして、彼はこれを一に日本の経済事情に帰着せしめた。

    ・写真は奇体なもので、先ずは人間を知っていて、その方から、写真の誰彼を極めるのは容易であるが、その逆の、写真から人間の定める方は中々むずかしい。
    これを哲学にすると、死から生を生み出すのは不可能だが、生から死に写るのは自然の順序であると云う真理に帰着する。

  • 三十にもなって、パンのためになど働きたくはない と定職にも就かず父からの援助で暮らしている代助。父や兄の稼いだ金のおかげで生活しているのに、と思って読んでいると、代助の嫂がその通りのことを言っていた。

    しかし代助の、昔愛していたのに友人に譲った女性、三千代への思いだけは純粋で一途で、同情せずにはいられなかった。父や兄に縁を切られ、社会に背いてもという覚悟、彼女を不幸にしたくない一心で今まで就こうともしなかった仕事を探すという決心、友人を裏切る行為であっても、彼を応援せずにはいられなかった。
    二人が「それから」どうなったのか、気になる。

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著者プロフィール

夏目漱石(なつめ そうせき)
1867年2月9日 - 1916年12月9日
江戸・牛込馬場下(新宿区)生まれの小説家、評論家。本名は「夏目金之助」(なつめ きんのすけ)。1890年、帝国大学文科大学英文科に入学。1895~96年には『坊っちゃん』の舞台となった松山中学校で教鞭を執る。1900年、イギリスに留学。1905年、『吾輩は猫である』を俳句雑誌「ホトトギス」に連載し始め、作家活動を本格的に開始。1907年、朝日新聞社に入社。以降、朝日新聞紙上に『三四郎』『それから』『こころ』などの代表作を連載。日本の文学史に多大な影響を与えており、作品は多くの人に親しまれている。学校教科書でも多数作品が採用されている。

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