こころ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010137

感想・レビュー・書評

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  • 親しい友を直接的にではないが、死に追いやった
    主人公の悔恨の思いは解るが、Kや奥さん達の方がよっぽど立派に思えたし、それで自分も自殺するしかないというのが、少しエゴイズムに過ぎるなと感じました。

  • 夏目漱石は読んでいて灰色の石みたいな印象を受ける。禅のような、殺伐としたような、線の薄い美しさのような。

  • 夏休みの課題として読んだ。
    あまり期待はしてなかったけど、最初の先生と私の章が思ったより面白くて2章まではスムーズに進んだ。
    でも最後の先生と遺書の章は、まさに長い長い先の見えないトンネルを進んでいるみたいだった。読んでも読んでも終わらない。面白くない同じ内容を違う言い回しで表していて長いだけ、でも独特の表現の仕方とか、分かるようで分からない、でもなんとなく理解できるような文章は綺麗だなって思った。正直、考察したり何かを感じ取るのは無理だったな。また読んでみてもいいかも

  • NHK BSで放送していた『舟を編む』にて“長すぎる遺書”との言及がありまして、読んでみようと手に取りました。本に関する話題なら、何でも読書の手掛かりにしようと心がけています。昨夜、このドラマの最終回でした。さきほど録画を観終えました。辞書の編集、出版、言葉、言葉…言葉。
    言葉とは受け継がれるもの、何百年も前の、それ以上の昔からでも、絶え間なく連綿と繋がってきました。それだけではなく、これから先へも果てしなく“言葉”は続いてゆくわけです。

    今回、夏目漱石の著書を読んで強く感じたことが、まさしく“言葉”について、でした。著者の文章を読むこと自体は初めてではなく、その都度思うことは、時代背景などを考えてみるのだけれど、言葉そのものには決して古さを感じない、ということなのです。無論、現代向けに改訂されていることは存じています。とはいえ、込められた意味や思いまで変わってしまうことはないでしょう。その言葉を通して人々の思いや悩みなどは、昔も今も、何も変わらない、人というのは、皆同じようなことで悩んだり躓いたりするものだと教えてくれる。物語の時代を生きた人々の言葉を読んで、いまを生きる僕が共感できる、それを伝える“言葉”の偉大さ。『こころ』に記された数々の言葉に、いちいち感動しながら読み進めました。

    僕が敬愛する俳優の松岡茉優さんの文章を思い出したので引用させていただきます。問題があれば削除します。
    「あなたが紡いだ言葉たちが、また誰かの目に届いて、共感した人が、その言葉を使う。私やあなたの文章そのものは、100年後、残っていないと思うけれど、私やあなたの使った言葉は、きっと残っている」(Numero.jp 【連載】松岡茉優の「考えても 考えても」vol.6 あなたへ)より
    初めてこの文章を読んだとき、いかにも読書家らしい彼女の考察だなあ、と感心しました。僕の言葉ですら、残るのかな。言葉に込められた思いもまた、残ってゆくのかな。期待してもいいのかな。僕は、そう思いたい。

  • 初の夏目漱石作品読了。恋や生死に関わる心の中を第三者からの目と手紙とで表現。

  • 改めてきちんと読んでみた。
    先生は、変われなかった人間の象徴のように思う。人間は何か契機があれば変わる事が出来る。しかし、先生は変わらなかったし、変わろうとしなかった。その理由は、お金が有るという裕福な環境だったのかもしれないし、事件のトラウマが深すぎたのかもしれない。
    それにしても、変わらないで自分の殻に閉じこもりウジウジしすぎですぜ。先生。
    しかし、なぜ「こころ」というタイトルにしたのだろう。

  • とても読みやすく、癖がなく綺麗な文章だった。

    私は何故先生を慕うのか、先生とお嬢さんは何に惹かれあったのか、叔父さんはそこまで恨まれることをしたのか、先生は自分勝手すぎないか、など時代背景を知らないからか理解できない内容も多かった。
    一方で、先生と私の関係を理解できない田舎の両親の態度へのもどかしさや、お嬢さんに対するKの思いを不安に感じる様子などは生々しく読み取ることができた。

  • あえて外側の意味での人物を細かく描写してないからか、自分でふわふわした景色を見ながら読んでいるようなそういう想像する楽しさがありました。

    ただ、長かったです。
    たぶんその想像するのが大変なこともあると思いますが、結構な時間かかりました。

    最後の方、興味が加速していきましたが、そこまでが結構しんどかった。
    教科書とかでなんとなく結末を知ってたので、そこに行き着きたくて読めましたが、そうでない場合この文章を楽しむ情緒的なものをまだ自分は持ち合わせていない気がしました。

    また歳をとってから読めたら読みたいです。

  • 学校で読んだ時は、いまいち良さがわからなかった。
    もう1回読んでみた。
    人間の心の脆さとか、、、重い。

  • 初めて昔の文豪の本を読んだけど重すぎてびっくりした。

    「私が死んだ後でも妻が生きている以上は、あなた限りに打ち明けられた私の秘密として、すべてを腹の中にしまっておいて下さい。」

    秘密は墓場まで持つまで行く。
    妻側からはこれが出来ているけれど私からすればこんな重い話をされてしかもお前も墓場まで持っていけと言わてれるようなもんなので苦しい。重すぎる。

    先生はきっとKは死ぬなんて考えてなかったのだろう。自分の手でKを殺めてお嬢さんをもらったのではなくKが自死したことが先生にとっても重くて苦しくて仕方なくて私に話してしまったのかな。

    でも先生も自殺するのならばやっぱり誰にも話さずに墓場まで持つまで行くってことも出来たよな、とも思う。

  • 今の時代ならストーカー認定されかねない、主人公の先生への執着が、正直理解できない、というか「なんかやばい」との認識でした。書かれた当時はその内容は新鮮で斬新だったのかもですが、今時はゴシップな話題が溢れている分あまり響いてこなかったです。
    おそらく初読時は読書歴も浅かったため、普通に面白かったのですが、年齢を経た今読むと鼻白むというか。。。「こころ」が汚い人間が読むとダメなのかも。。。

  • いや別に、告白せずに墓場まで持ってったらいいのにと思った、けど、きっと主人公に愛着が湧いてしまって、この青年になら打ち明けたい、打ち明けて自分は綺麗さっぱりこの世からいなくなりたいと思ったんだろうなぁ。
    それくらい、気を許すことのできる人間ってなかなかいない。
    女を取られたくない、そのためには敵を追い詰めるしかない、追い詰めた結果として敵は自殺してしまった。それは結果であって、自分を責める必要なんてないんじゃん?って思うけど、先生は律儀で友達想いだから、死ぬ直前、遺書を書くまで自分を責め続けたんだろうな。
    こころって分からないな。自分しか分からない。

  • 夏目漱石は難しいと敬遠していましたが、思ったよりとっつきよかったです。
    登場人物の気持ちの流れが細やかに表されていて、むしろわかりやすい物語です。
    私が思うにこの先生は友人を自殺に追い込んだことにこんなに悩む必要はなかったんだと思う。
    そもそも、演壇が持ち上がった段階でお譲さんが先生よりもKの方が好きならば本人もしくは母親から何らかに意思表示があったと思われるし、お嬢さんがKと仲よくしているのは、娘らしい先生へにあてつけだろう。
    Kの自殺の原因も単に失恋だけではないと思う。ただ、先生が助長したことには変わりがない。
    漱石は明治の終りを新しい時代と称し、新旧のジェネレーション・ギャップをさりげなく取り上げているが、そのギャップは現代にも通じると思える。

  • 最近話題になっているらしいと新聞で読んで。。
    これは早速読まなくっちゃ、意気込んだ一冊。
    たしか高校の教科書で抜粋を読んだような。。。

    新聞連載にもなった話だが、結構エグイ。
    人の死を通して封じ込めてきた自分の気持ちを綴る先生。だけどたぶん、奥さんには全てがお見通しだったのかと思う。。

    先生のことを慕う私。。
    てっきり恋のお話かと思ったけど、
    もっと深い人と人との繋がりだったのかな。両親の情愛をも超えていくようなそんな深いところで繋がっていたような気がする。。

    やっぱり文章が読みにくくて時間がかかってしまったのがネック。。
    とりあえず読破できてよかった。。

  • 何回目かの読了。
    何年、何十年か経つとふとしたきっかけで再読してしまう。何か魅力があって読むのだろう。何か今回は新たな発見があるかも、前回はよくわからなかったが今回は何か心に引っかかるものがあるだろう、そう思いまた読んでしまう。
    結果、やっぱりよくわからない。でも何か心に引っかかる。また何年か後に何かを感じるために読むだろう。

  • 2024年
    鑑賞作品 No.7

    《感想》
    小説の中で真の人間というものに初めて出会った気がする。

    一般的に小説の主人公は勇敢で果断に富んでいて明瞭だ。仮に優柔不断で人に流されやすい主人公も最後には自らの意思を貫徹し、あるいは徹底的に周りに振り回されて終わる。
    一方、本作において、先生と私は意志と行動に常に矛盾を孕んでいる。なぜそこでその行動をとってしまうのだ…と客観的に見ればもやもやしてしまう場面が多々ある。

    しかし人間とはそういうものではないだろうか。すくなくとも私はそうである。なぜあの時その行動を取ってしまったのか、疑問でしかないが、その行動を取った事実は間違いない。
    ときには自尊心や虚栄心、ときには孤独感や不信感など、人間の心は理解し難い。
    それでも私たちは生きているのであり、他人をそして自分自身を信じたいと思う。

    まさに「こころ」ここにあり。

    《印象に残ったシーン》
    ▼ 私と先生が鎌倉て出会うシーン
    未回収の謎が多い
    私がなぜ先生の顔に見覚えがあったのか、先生がなぜ外国人の人と一緒にいたのか等、謎を多く残すことになる出会いのシーン
    これから二人の間に生まれる絆と残り続ける壁を暗示している意味深な出会いに感じた。

    《MVPキャラクター》
    ▼ 先生の妻
    献身的に先生を支えて先生と共に生きながらも、自分が先生から嫌われているのではないかという不安を抱えながら、全くの他者として私と先生の間に立つ存在。
    作中、妻の感情や心情はほとんど表現されない。
    まるで蚊帳の外に放り出されたような印象を抱くが、しかし先生の過去や私の中においては常に中心にいる存在。
    だからこそその妻の存在がくっきりとぼんやりと浮かび上がっている。

  • とにかく長かった。
    Kの恋心を前にした先生の心情が非常に人間味が現れていてよかった。それゆえKの自殺後の先生の生き方は悲しいような、後味が悪いようなものを感じた。

  • 高校の現代文で、一部を教科書で読んで以来で、通読するのは初めて。読み応えがあった。序盤は冗長に感じた。
    終盤、結末がわかってても読んでてヒリヒリする描写が続いた。。
    正直、私の読解力と感受性では、「やはり名作や。。感動した!!」とはならなかった。
    でも、普段の生活でも読書体験でも、言語化されないまま無意識の底に沈んでいくような些細な心の機微が随所で掬い上げられていてるなぁとは思った。
    なんて美しい文章表現なんだ〜と思う文章はたくさんあった。マークしておけばよかった。またゆっくり読み直してみようと思う。
    病の末に待ち受ける死と争う主人公の父親と、自殺するKと私の対比があるなと思った。
    明治時代って大昔やん、と思うけど、人の感性や苦悩の種は普遍的なものなのかなーと思った。
    お嬢さんはいかに魅力的な女性だったのだろうと思った。
    あーKを下宿に連れてくることさえなければ、こんな悲劇は起こり得ずにハッピーエンドだったろうに。。
    作者の夏目漱石についての理解が深まれば、また違った視点での感想が生まれるかも。まだ巻末の解説も読んでないし読んでみよう。

  • 教科書で読んで以来、久々に読んだ。
    正直、3章しか覚えていないくらい先生の手紙の内容が濃かった。
    素直な心と、妬ましく感じてしまう心は表裏一体なのかなと感じた。

  • 内容が自分にとっては少し難しいと感じ、すべてが理解できたわけではないのでこの評価とする。

    親友が自分と同じ人が好きだということがわかり、それを知りながら自分が先に無断で婚約をしてしまう。その罪悪感から、ついに親友に真実を話そうと思った時、親友は自殺してしまった。

    同じ人を好きになったら私の場合はどうするかと考えても、先生と同じ方法はとれない。きっと私は、自分が諦めてしまうだろう。後悔すると分かりながらもそうしてしまう気がする。この本を読んで恋心は人を簡単に幸せにも不幸にもさせてしまうのだと思った。先生が最後に自殺の手段を選んだのは、物語としては良いとされるかもしれないが、私は先生は最後まで自分勝手なんだなと思ってしまった。

著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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