文鳥・夢十夜 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 433
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010182

感想・レビュー・書評

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  • 一番読みたかったのは夢十夜。
    夢と言うだけあって、ふわふわ掴みどころのないお話が十個。
    とてもロマンチックなお話もあれば、ゾッとするようなオチのものまで。
    特に第一夜は、ため息が出るくらい美しかった。

    夏目漱石って、どうしても文豪!というイメージが先行して、なかなか手に取りづらかったけれど…文鳥でもそうだけど、描写が美しい部分もあるし、クスッとくるところもある。
    長編だとちょっとな…と言う人に、ぜひ読んで欲しいな。

  • 夢十夜の第一夜が大好き。こんなに綺麗な文章を書く人が他にいたでしょうか。百合を見るたびにこのお話を思い出します。

    • 藤首 亮さん
      綺麗な文章と表現されていますので何処を指しているのかと、思い浮かべてみました。【百年待ってください】女の切ない気持ちが込められていると思った...
      綺麗な文章と表現されていますので何処を指しているのかと、思い浮かべてみました。【百年待ってください】女の切ない気持ちが込められていると思った。
      2019/05/20
    • 藤首 亮さん
      もう一度ゆっくり読むと、やっぱり墓石の下からのびて来た百合のつぼみが開き天から女の涙が落ちてきて見上げると暁に星が一つ
      「もう百年が来てい...
      もう一度ゆっくり読むと、やっぱり墓石の下からのびて来た百合のつぼみが開き天から女の涙が落ちてきて見上げると暁に星が一つ
      「もう百年が来ていたんだなあ」終わりが素晴らしい。
      2019/05/22
  • 『夢十夜』
    喉元に刺さって取れない魚の小骨。
    紙で切ってしまった指先の痛み。
    思い出せそうで思い出せない誰かの名前。
    そんな些細だけれど強烈な違和感や不快感を、夢として丁寧に発酵させたものが、このお話だと思う。
    わりと不気味で理不尽で、そこそこ寂しくて湿っている10の物語。
    だって夢だもの。

  • 夢十夜の「第四夜」について書く。

     この話には、「臍の奥」に住み、「あっち」へ行こうとしているほろ酔い加減の幾年か分からない御爺さんが登場する。御爺さんは手拭を出し、「今になる、蛇になる、きっとなる、笛が鳴る」などと唄いながら河に入って行き、「深くなる、夜になる、真直になる」と言いながら見えなくなるまで歩き続ける。よくよく考えると手拭が蛇になるはずはないのだが、〈自分〉は酔っぱらいの御爺さんの言うことを信じてじっと待っている。けれども御爺さんは、子どもの〈自分〉に期待を持たせたまま河から上がってくることはなかった。
     一見、御爺さんが〈自分〉を騙したように見えるのだが、その様子にはなぜか物悲しさを感じる。御爺さんは笛を吹いたり輪の上を何遍も廻ったりと様々なパフォーマンスを披露するが、浅黄色の手拭は何も変化しないままである。御爺さんのこの行動からは、何かを成し遂げようとして様々なことを試みるものの結局それが叶うことはない、という人生の儚さのようなものを感じた。しかし、子どもたちに自分の生き様を見せつけ、御爺さんはいなくなったのだ。それは無謀な挑戦だったかもしれないが、御爺さんは最後まで唄いながら真直ぐ歩いていった。御爺さんは、蛇は人に見せてもらうものではなく自分自身で見つけるしかないものであり、蛇という理想へ辿り着くためには細い道を歩かねばならない、ということを〈自分〉に示してくれているのだろうと思う。
     一方、〈自分〉は最後の最後まで御爺さんが手拭を蛇に変えるものだと信じて疑っていないし、河の中に入って見えなくなってからもたった一人で何時までも待っている。ただ待っているだけで、自分から河の中に入って御爺さんを探して見ようとは微塵も思っていない。人を心から信じられる純粋さは尊いものだと思うが、いくらか行動力に欠けているように思う。見ているだけでは何にもならないし、待っているだけでは何も始まらない。自分から河の中に飛び込んでみなければ、何時まで経っても何も分からないままなのではないだろうか。
     また、河の中に入って行ったのは御爺さんだけで、〈自分〉は河の傍でそれを眺めているだけであった。河の中で何が起こっているのか。それを知っているのは河の中に入った御爺さんだけである。もしかしたら、〈自分〉はまだ河の中に入れないのかもしれない。それを眺めることはできても、実際に河の中に入ることはできない。河の中の様子は実際に入ったことのある人間にしか分からず、しかも、一旦その中に入るともう二度と出てくることができないのではないだろうか。河の中に入るという行為は、死そのものを表現しているのではないだろうか。

    【補足】
     この作品全体を通してみると、人間の一生を表現している作品ではないかと思った。「臍の奥」に住んでおり、「あっち」へ行こうとしている御爺さん。店の中にいる御爺さんは、「臍の奥」、つまり子宮の中に住んでおり、ほろ酔い加減で未だ存在が確定していないのではないか。そして、店を後にすることでこの世に生れ落ち、「あっち」へ向かって人生を歩み始める。そこで、「蛇になる、今になる、きっとなる」などと唄いながら子どもたちに様々なパフォーマンスを披露する。最後に、河に入って行き、〈自分〉の前からいなくなってしまい、二度と上がってくることはない。この一連の行動が、人間の生き様を描いているのだと思った。

  • 漱石の頭の中を少し覗けるような、そんな本。短編や随筆、小品がたくさん収録されてて、なんとも贅沢。ほんと多作だなぁ。

  • 『文鳥』からは、今で言うSNS疲れを感じさせられました。


    ■内容
    知人に勧められて金が掛からないならいいか程度の心持ちで文鳥を飼い始めた主人公。

    餌やりの為の早起きもままならず、お手伝いさんの助けを借りる飼育生活。少しずつ文鳥に興味を抱き始めるも仕事の忙しさから放置してしまい、ある日文鳥が死ぬ。

    主人公は責任をお手伝いさんに押し付ける一方、自分で後始末はしない。

    勧めてくれた知人に事情を綴った手紙を出すも、お手伝いさんに対する愚痴に関しては何の共感も得られなかった。




    ■SNS疲れ
    友人に勧められて登録し、最初は何が楽しいのかわからない。けれど段々と感覚的に楽しみを見出だせてくる。

    かといってドップリはまる訳でもなく、次第に飽きてしまう。友人の近況が気になった時に覗いてみると、知らない間に色々とあったみたいだ。なんだか出遅れた。

    日記を書いたり呟いたり、その反応が気になったり気になる自分が嫌だったり。妙な疲れが溜まっていく。

    嫌なら止めればいい。それだけのことなのに、いざ放置すると孤独を感じてどうすればいいのかわからない。


    『文鳥』には若者特有の他人のせいにしたがる傲慢さや言い訳が孤独とごちゃ混ぜになってるどうしようもなさが漂い、読み応えがありました。

  • 夢十夜の第一夜ってどっかで読んだことあるなと思ったら、高校の教科書か。改めて読むと、読書慣れしてない高校生には中々難しい内容やなぁって。

    『思い出す事など』が非常に良い。
    死に瀕した者の心理と、その目を通して見た世界。そして病床にあっても明晰な思考は最早憧れる。

    とりあえず夏目漱石、生き物飼わない方がいいのは確か。

  • 「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう。そうしてまた沈むでしょう。 ー 赤い日が東から西へ、東から西へと落ちていくうちに、 ー あなた、待っていられますか」
    「百年、私の墓の傍に座って待っていてください。きっと逢いに来ますから」
    (夢十夜 第一夜)

    (個人的)漱石再読月間。短編集の2。

    凄すぎて忘れられない。







  • 私は中二病的ミーハーさの持ち主なので、
    『思い出すことなど』で、危篤状態の主人公の枕元で主治医ふたりがドイツ語で「子供に会わしたらどうだろう」などと会話しているが
    主人公はドイツ語を解しているので目を開いて言い返すシーン(そして医師には素っ気なく「そうですか」と流されるシーン)が格好よくて好きです。

    解説には文鳥が「家人の不注意から死んでしまう」と書いてありますが、私には家人は頼まれてもない文鳥の世話を手伝っただけで、死んだ時のは八つ当たりされたんだと思ってました。文鳥が死んだのは主人公の不注意のせいと思うけど私の読み込みが甘いのか…?

  • 夢十夜が大好き。何回読んでもスゴイなぁ。

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著者プロフィール

夏目漱石(なつめ そうせき)
1867年2月9日 - 1916年12月9日
江戸・牛込馬場下(新宿区)生まれの小説家、評論家。本名は「夏目金之助」(なつめ きんのすけ)。1890年、帝国大学文科大学英文科に入学。1895~96年には『坊っちゃん』の舞台となった松山中学校で教鞭を執る。1900年、イギリスに留学。1905年、『吾輩は猫である』を俳句雑誌「ホトトギス」に連載し始め、作家活動を本格的に開始。1907年、朝日新聞社に入社。以降、朝日新聞紙上に『三四郎』『それから』『こころ』などの代表作を連載。日本の文学史に多大な影響を与えており、作品は多くの人に親しまれている。学校教科書でも多数作品が採用されている。

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