ロケット・ササキ: ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正 (新潮文庫)
- 新潮社 (2019年3月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101012612
作品紹介・あらすじ
敗戦から高度成長期にかけて、デジタル産業の黎明期に、常に世界の最先端を突っ走ったスーパー・サラリーマンがいた。シャープの技術トップとして、トランジスタからLSI、液晶パネルと当時のハイテクを導入して苛烈な「電卓戦争」を勝ち抜き、電子立国・日本の礎を築いた佐々木正。インテル創業者が頼り、ジョブズが憧れ、孫正義を見出し、サムスンを救った「伝説の技術者」の痛快評伝。
感想・レビュー・書評
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孫正義氏が「大恩人」と言い、スティーブ・ジョブズ氏が「師」と仰ぎ、松下幸之助氏が「教えてもらえ」と部下に指示し、ロバート・ノイス(インテル創業者)の創業間もない頃に手を差し伸べた、凄まじい技術者が日本にいました。シャープを一流企業にのしあげた佐々木正氏です。
真空管が技術の主流の時にトランジスターの有効性に着目し、トランジスターの次の技術として当時の大手電機メーカーが全て尻込みしたMOS(金属酸化膜半導体)の量産技術を確立させ、1970年代の電卓戦争の中で液晶ディスプレー、太陽電池といったその後の日本の半導体産業を牽引する技術を世に送り出すという業績は圧倒的です。
本書冒頭の1977年のシーンでは、創業間もないスティーブ・ジョブズ氏や孫正義氏との出会い、それに絡んだ西和彦氏(アスキー創業者)との関わりなど、登場するのが1990年代にパソコンが普及する時代に一世を風靡するビッグネームばかりで、いかに佐々木氏の人脈や先見性が抜きでいたかが分かります。
佐々木氏は半導体開発で行き詰まり助けを請うたサムスン電子のイゴンヒ(現会長)に製造技術を供与しました。後に日本の半導体メーカーは大打撃を受け、技術供与した佐々木氏を「国賊」と呼ぶ人も出てきましたが、佐々木氏いわく「半導体や、液晶テレビなど日本の電機業界の衰退は技術を囲い込み、全てを自前でやろうとし、成果を総取りしようとたことであり、イノベーションとは他の会社と手を携えて新しい価値を生み出すことだ」と諭しています。
松下幸之助氏が「教えてもらえ」と言った時、シャープの役員会では「敵に塩を送るなどとんでもない」という議論が大部分を占めました。ところが創業者の早川徳次氏が「少しばかり教えたくらいで負けるなら、シャープなどその程度の会社だということです。そんなことで負けるシャープじゃない。構いません。行って存分に教えてきなさい」と言って役員連中を一喝したシーンが登場するのですが、このエピソードからは早川氏の器の大きさが伝わって来ます。こういった経営者の薫陶を受けて佐々木氏の考え方も定まって行ったような気がします。
これほどの業績の人を扱ったノンフィクションなのに、1点残念なのは文庫本で300ページ足らずというボリューム。一気に読めてしまうのですが、どうせならもう少しそれぞれのエピソードを深堀して、もっとボリュームのある著作であればよかったのに、と思います。
ただ、読んで損はしないと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【購入した理由】
流山がすごいが面白く、同じ作者の本を探していたところ見つけた。自分が偉人伝が好きなので読んでみようと思い中古で購入。(電子書籍しかなかった)
【感想】
とても面白くあっという間に読み終わった。
シャープという会社は私が物心ついた頃には液晶テレビやMDプレイヤー、ヘルシオなどの一大企業としてしか見てなかったが、電卓戦争や電子レンジなどの素晴らしい技術を持った会社であったことを知った。
また佐々木正さんの『共創』という考えは確かにに日本の技術の競争優位性を崩してしまったと思うが、人類の進歩には大きく貢献していると思った。
国という単位で競いあっている限り戦争も絶えないし、技術の奪い合いとなってしまう。佐々木さんは人類という広い視点で世の中を前に進めようと考えていたのかもしれない。 -
有り 549/オ/16 棚:16
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こんな人がいたのかと。
面白かった。オススメ -
こんな人がいたのかという驚き。そしてそういう人材は陰日向になり支えていたのは胆力のある経営者だったのである。胆力ある経営者になりたい。
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レビュー省略
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園児にでなくとも何度も目尻が熱くなると思う。
インテルも、アップルもソフトバンクも影響を受けたとは全く知りませんでした。