許されようとは思いません (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101014319

作品紹介・あらすじ

「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた──。躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた 5 編。

感想・レビュー・書評

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  • どんでん返し的な5編。
    なかなかに意地が悪くて面白かった。

    閉塞感がグイグイ来る。

  • 文芸書版でも読んでるけど、新潮文庫版で再読。改めてミステリ短編集の傑作だと感じたが、どれも「足元を掬われる」タイプのどんでん返しが冴えている。絶対に転ぶまいと用心しているのに、気がついたら頭が地面についてる感じ。それとこの文庫版は文芸書版とは収録順が変わってるんですね。表題作が巻頭から巻末に配置が変わっている。「目撃者はいなかった」の誤発注を誤魔化そうとするうちドツボにハマっていく展開、「ありがとう、ばあば」に垣間見える子供の無邪気な悪意、といったやや軽めのネタ(これでも充分重いのだが)から、後半はどんどん重いテーマへと流れていく。最後の表題作「許されようとは思いません」も村八分テーマで重苦しい小説なのだが、ラストは希望を持たせた感じになっていて、これを最後に持ってきたのは、全体の読後感がいい方向に変わったと思う。最後まで読んでから、カバー裏の掌編を読むと……おおお。文芸書版で読んでる方にも文庫版お薦め。

  • 傑作なのは『姉のように』
    周りからの目を意識するばかり追いつめられていく。
    そこまで気にしなくても、と傍から見れば思うけれども、
    自意識過剰に自分自身を孤立させていく。
    世間が追いつめたのか本人の気にしすぎなのか定かではないが、負というのは連鎖するものなのだという恐ろしさを感じた。

  • ミステリーの短編集。
    どれも読みやすくて面白かった。怖いな〜って話ばかり。でも実際にありそうっぽい話だからまた怖さが増す。

  • 好みのミステリー短編集だった。ひとひねりがあったり、ゾッとする悪意があったりで面白い。「目撃者はいなかった」は主人公が同じ方法で復讐される話で意外な展開で小気味良い。「姉のように」はきっとラストまで読書は騙されるよね。一番面白かったのは再読だけど表題になっている「許されようとは~」。この作家さんの他の本、チェックしてみます。

  •  読むのがキツい……でも、読まずにはいられない。芦沢央さんの作品には、そんな中毒性がある気がします。

     収録作品は全五編。それらの作品に共通するのは息苦しさや閉塞感、そして人の心の闇です。

     発注ミスをごまかそうとする営業マンが主人公の「目撃者はいなかった」
     
     ミスを認めたくない、失望されたくない、だから誤魔化す。間違ったことではあるんですけど、気持ちは分かるんですよね……。

     そのため、主人公がミスを誤魔化せるか、という点でついつい感情移入してしまいます。

     様々なアクシデントがありハラハラしますし、さらにそこから思わぬ展開が待ち受け、読者である自分は主人公と同じように、自分の良心をこれでもか、と揺さぶられます。

     この展開を思いついた芦沢さんは、相当意地悪なところのある方かもしれないですね(褒め言葉です)
     
     オチも華麗に決まります!

    「姉のように」は姉が犯罪を犯し、さらに育児に悩む主婦が主人公。

     作中の閉塞感となると、この作品が圧倒的かも。姉の犯罪で夫とギクシャクし、ママ友との関係も元のようにはいかず、娘は言うことを聞いてくれない。でも、姉の犯罪で生まれた距離のせいで、相談もできない。

     まさに四面楚歌な状況に置かれ、主人公は追い込まれていくわけですが、その描写たるや……。本当に読んでいて息苦しくなってきます。

    ここまで状況をリアルに描けることもすごいですし、その後の展開もそうならざるを得なかったように思えてきます。

     仕掛けについては違和感があるにはあったのですが、そういうことかあ。これも巧いなあ。

     表題作「許されようとは思いません」は古い村が舞台の短編。

     村特有の掟やルール、それの描き方も見事ですし、人間心理を巧みに描き物事の意味を反転させる技術は、これまたお見事の一言につきます!(さっきから同じようなことばっかり書いてる?)

     全体的な作風は米澤穂信さんの『儚い羊たちの祝宴』に似ている気がします。

     ただあちらは、語り口もあって邪悪さの中にもどこか優美さがあったような気がしますが、こちらはさらに刺激の強い劇薬といった感じでしょうか。

     好き嫌いはあるとは思いますが、はまる人は絶対にはまります!

  • 人の心の闇は、時に優しさであったり希望の裏返しであると思った

  • 短編週。どれも面白かったが、一番最初のお話が印象に残った。営業で1つしか売り上げてないのに11個発注してしまい、それを隠すために隠ぺい工作をしようとする。日常のちょっとしたことでもはらはらどきどきする場面があるよなあ、といろいろ同感でした。

  • 粒ぞろいの短編集。イヤミスだなぁと思って読んでたら、ラストに収録された表題作→カバー裏掌編に救われる。
    掌編は良い作品だから初版限定はもったいないよなー

  • 「目撃者はいなかった」
    数ページ読んでマジ震えた。社会人には辛い。こういう話はともすると「世にも奇妙な」になってしまいそうだけど、小説だから味わえる怖さ。

    「ありがとう、ばあば」
    孫の芸能活動に真剣すぎる祖母。母親の反対も押し切り、学校にも行かせず、ライバルの子役の母親が死んでも「役に深みが出る」と言い捨てる。その孫が驚くべき行動に出るが・・・・まぁ、本望ですよね、ばあば。

    「絵の中の男」
    こういう語り口調の話は不気味。

    「姉のように」
    あぁ。辛い。子供は産めない。読んでるだけで娘にイライラしてしまう。
    ママ友にお金のことで疑われてたから「おや?」と思ったけど、そういうことか。しかしこの姉妹、マスコミの大好物ネタになってしまうな・・・・。

    「許されようとは思いません」
    よくこのページ数でこのテーマを書かれましたなぁ。記憶に残る作品。女だからこその決意だと思う。

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著者プロフィール

1984年生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。著作に『今だけのあの子』『悪いものが来ませんように』『いつかの人質』『雨利終活写真館』『獏の耳たぶ』、最新作に『バック・ステージ』がある。

「2018年 『いつかの人質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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