阿修羅草紙 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2023年12月25日発売)
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本 ・本 (640ページ) / ISBN・EAN: 9784101015538

作品紹介・あらすじ

最高の忍びタッグ誕生! 無駄な殺しはしないくノ一・すがると、手段を選ばない伊賀忍者・音無。正反対の考えを持つ二人は奪われた「呪いの巻物」を取り返すため、陰謀渦巻く京の都に向かう。伝説の忍びとの死闘や大名家への潜入を通して、徐々に真相に近づいていく二人。そして明かされた驚愕の真実と二人の想いとは……。任務のために陰で命を捧げた忍者たちを描く一気読み必至の傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  •  無駄な殺しはしないくノ一・すがると、殺しをいとわない伊賀忍者・音無の二人が呪いの巻物を取り戻すため、手を組んで、死闘を繰り広げていく。

     時は応仁の乱の前夜、まもなく戦国時代に突入していく頃が舞台で、その時代の忍者の活躍というところが新鮮であり、また、数多の流派の忍者が登場してくるところも、忍者好きの自分にとってはたまらないところでした。

     二人の対照的なキャラクター設定も絶妙で、死闘の中でより際立つ形となっていて、より闘いの緊張感味わえました。

     忍者の闘いのアクション要素を横軸に、呪いの巻物の謎を解いていくミステリー要素が縦軸と、物語が展開するところも十分に楽しむことができました。

     歴史の裏には、もしかしたらこんな二人の熱い戦いが展開していたかもしれない、そんな歴史の面白さも味わえました。

  • 話は面白いんだけど、話の進め方のスピードやキャラ設定で個人的にあれ?と思う部分があって、ちょっと残念だったなあ。

  • ううむ。ボリュームが足りないんじゃないのか?というのが読後の率直な感想。
    忍者VS忍者の戦い、が息継ぐ間も無く畳み掛けてくる展開は入り込めて、読むスピード感があったのだけども、それに対しての幕間ではないけど戦闘以外の日常というような部分に物足りなさを感じてしまいました。

    すがると音無の潜伏中とか、八瀬の同胞たちとの日常とかがもう少し分量とって描き込まれていれば、阿修羅草紙をめぐる戦いの中で変化していったすがるの感情に寄り添えたのかなぁ、と思います。『忍び戦』の章の仲間の死に様に際しての悲哀が「まあ仲間が死んだんだものなぁ」という感じになってしまいました。若犬丸ではなく、彼以外の面々です。その感覚がずれてしまったので、毒姫や三方鬼との因縁も強敵というものでしかなかったのが残念。
    そもそもすがるは敵の毒姫や三方鬼、味方である音無とも、死生観が違う忍びであって、その異物感を抱えた彼女の後悔・苦悩・成長・覚悟をどう書かれるのか、どう読み取るのか、が忍びの戦闘と同様の読みどころだと思います。
    自分としては、それには分量が足りなかったのかなと感じます。

    難しいよね。謀略と戦闘の勢いを削ぎかねない平穏な日常を差し込むとなると。そのバランス。多分、あえて削ぎ落として戦闘場面の勢いを重視したのかなぁ。
    もちろん、その部分は入り込んで読めました。それが「阿修羅草紙」の読ませる力になっているのは間違いない。
    ただ、もっと物語に入り込みたかった、登場人物に入り込みたかった、という思いが強く残ってしまいました。

  • 比叡の秘宝を盗まれた事に端を発した、忍者たちの戦い。
    話は壮大で、大名の思惑なども絡み合う。ただ、最後は呆気なく、人物心理の機微も微妙だったのが残念。
    戦国を読み慣れてないのもあるけど、難しすぎた!

  • 物語の最初の頃に予想した結末は、ある程度、当たっていた。けれども、決定的な部分で、全く思いもよらない結末になった。この主人公のすがるは、非常に魅力的で、今後の展開も気になるけど、たぶん、続編は書かれないだろう。

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著者プロフィール

1978年群馬県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。映画、テレビ番組の制作に携わった後、第十七回日本ホラー小説大賞の最終候補作となった原稿を改稿した『忍びの森』でデビュー。2015年『妖草師』シリーズが徳間文庫大賞を受賞。さらに同シリーズで「この時代小説がすごい2016」“文庫書き下ろし部門”第一位に。2022年『阿修羅草紙』で第24回大藪春彦賞を受賞。『吉野太平記』『忍びの森』「源平妖乱」シリーズなど、著書多数。

「2023年 『謀聖 尼子経久伝 雷雲の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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