ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2 (新潮文庫 ふ 57-3)
- 新潮社 (2024年6月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101017532
感想・レビュー・書評
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ライターの「母ちゃん」みかこさんと地元中学へ進んだ息子さん「僕」
イギリスという異文化圏での学校生活を感性豊かな「僕」の言葉から 今学ぶべき課題を読ませてくれる
「正しさ」が変わり続けるこの世界を生きる君に絶対読んでほしい一冊
ノンバイナリーについての項もあり 「第三の性」性別に規定されない人々 についても学んでいた
イギリスにはイギリスの良さがあるし
きっと日本と同じような問題点もあるだろうし
一概に比べるものではないのだろうけど
社会性の教育は日本より確立されていそう
日本の学校教育って先生たちに負担が多すぎですよね 今年もプールの水のトラブルとか聞くと
外部委託とかできないのか思います
まず学校教育に資金を回してほしいですね
それにしても 息子さんの利発な事 羨ましい限りです -
イギリスの元底辺中学校に通う息子と母の交流を描いた親子の成長物語第2弾。
前作で素敵な親子の在り方を味わうことができたので、第2弾を待ち望んでいました。
その期待を裏切らず、今回も二人の会話から考えさせられることがたくさんありました。
イギリスならではの文化もありましたが、世界の縮図のようなグローバルな話題に、今の自分も向き合っているのか、自分に問わずにはいられませんでした。
また、思春期真っ只中の「ぼく」の成長ぶりに、うれしさとともに驚きを感じざるを得ませんでした。
我が家の息子15歳、もう少し世界にも目を向けてほしいと思う今日この頃です。 -
「ぼく」は元底辺中学校に通っています。様々な人種や貧困など色々抱えた生徒も多いですが、そんななかで「ぼく」は思慮深く周りをよく見ていて感心します。このような環境がより彼を成長させるのかもしれないけれど、もし小学校と同じように環境の良い
カトリック中学に行ったとしてもきっと「ぼく」は
やはり周りをよく見て考える子に成長しているのではと思います。
家族がよく話し合っているのが素敵です。
今、ロシア、ウクライナの問題、
イスラエル、パレスチナの問題を「ぼく」がどう感じているか知りたいです。 -
面白かったです。
数年前、第一作を読んで面白かった事を覚えていたので、読んでみましたが、今回も面白く、サラッと読み終えました。
イギリスと日本…いや海外と日本、教育方法がこんなにも違うものか…と。(私の受けた数十年前の教育と比較してますが)これは社会に出た時、すごく役に立ちそうな授業だと驚き、日本も少しは変えていって欲しいと思いました。
中学生で政治を考えている。親が話しているから子供も普通に政治が会話の話題としてあがってくる。これは自分が中学生の時には考えられませんでした。
色々と学びの多い本でした。
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「ぼく」の心根に救われる。
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英国の元底辺中学校に通う息子と、母である著者の生活を綴ったエッセイが帰ってきた! 二人が織り成す軽妙なかけ合いに潜む社会のテーマ。貧困と格差、人種差別、多様性、ノンバイナリー、そして将来への展望。成長していく息子が見据えるライフとは?!
大人気エッセイの第二弾にして完結作! 第一弾のエンパシーとシンパシーの話はとても勉強になった。息子さんがまだ若いのに目の付け所が違うというか、自分で考える力を持っていて、読んでいて思わず唸ってしまう。ぼくがこの年頃の時なんて、何も考えて生きてなかったよなあと──。著者の考え方もなるほとと感じるし、そこに思わぬ角度から光を当てる息子さんの言葉が今回も炸裂している。
鉄くずを集めるルーマニア人移民に、リサイクルも兼ねて息子に「いらなくなった服をあげたらどう?」と言った話。この問いかけに「僕は自分のごみを誰かにあげようとしてるのかなって……、こうやってごみ袋にいらなくなった服だけ入れている自分のことをちょっと考えちゃって」と返す思慮深さよ。ここは母子の視点が重なってこそ意味を成すってところが面白かった。プレゼントとしてミクロに考えると後ろめたいけど、リサイクルとしてマクロに考えれば社会を回す行為でもあるんだよね。
テストの出来が悪かった話も胸に刺さった。父が「ちゃんと勉強しろ。安い賃金で働かざるを得ない俺のようになるな」と息子へ伝えるシーン。最初は著者寄りの「言い過ぎでは?」って印象だったけど、息子が「『俺のようになるな』って、そういうことを子どもに言わなくちゃいけない父ちゃんの気持ちを考えると、なんか涙が出てきちゃって……」と感じ取るのはすごい。この発想ができなかった自分を恥じたい。まあ、ぼくの父は「糖尿病一族だからお前も俺のようになるぞ」と呪いをかけてくるので論外なのだが(笑) 対話できる両親がいるって素敵だなってしみじみ思う。
英国の格差や貧困問題も根深い。図書館をホームレスのシェルターにするって話が中断して、何にも使われないまま荒れ果ててるのが悲しいね。貧困が貧困を生む連鎖。社会保障をするにしても、もうちょっと何とかならないものか。日本でも貧困に少子化と、他人事ではないのがね…。しかも、中学生にフリーランスで生きていくための授業をするって、それも格差への解答にはならない気がする。自分の背後にある社会を信じられる、そんな世の中になってほしい。そのためには、考えて、行動して、後悔して、変化して──そういう人生を地道に歩んでいくしかないのかもしれない。 -
2もおもしろかった!!!
中学生のぼくが見る世の中は、大人が目を逸らしている問題をまっすぐ、純粋に見つめ、問いかけてくる。
私だったらたじたじしちゃうだろうなぁ。
ブレイディさんはぼくの成長に感心しながらも、「子どもだから」とか、そういう気持ちなしに、思っていることを伝えている。こういう親子関係はとても素敵で憧れる。
地元の公立中学校出身の私としては、あのときに色々な家庭の生活を見たことは、大人になってから「社会」を考えるうえで大切な経験になってる。
正直、小学校や中学校から私立に行くのが悪いこととは思わないけれど、その先一生関わることのない人というのは存在する。それが差別意識と言われればそうなのかもしれないけれど、自分の目で見て感じて考えるというのはとても大切なこと。
ぼくの経験は、必ず将来の役に立つし、視野の広い大人になれる。
こういうこと話したくなっちゃうような、真剣に人と社会と向き合うのもたまにはいいよねって思わせてくれる作品。 -
2ですよと。イングランドとのだいぶ違う生活圏を地に足をつけて生きている日本人が比較できる様な我々も考えさせられるとても読みやすいもので きっと自分の頭で考えるべきだと教えている筈。中学校に入るまでの道筋があったけど2も良かったよ、隣家のお母さんのヘッドライトの話は切ないし子供の為に生きてきて成人しても自分を殺して子供の為にとか 違うけどなって感じ
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一巻の頃と比べると、みかこさんの破天荒さも薄れ、内容も洗練されてきた感じがするけれど、相変わらず色んなことを考えさせられる刺激的な文章。
今回は「イギリスってそうなの?」と驚かされるよりも、「イギリスもそうなの?」と驚かされる数が増えた気がする。子供の将来のために出来るだけ良い小学生に入れようとしたり、近所にホームレスのシェルターが出来そうになると反対したりと、価値観はあまり日本と変わらない。
しかしながらイギリスの子供の成熟度は高い。
「コンサートのプロモーターになったつもりで、クライアントに会場の提案をするためのプレゼン資料をつくりなさいっていう宿題なんだ。実在するブライトンの会場を選んで、そこをコンサートの会場として推すための宣伝用スライドを作るんだよ」
これが9年生の宿題だって!いやいや、宿題自体がもうカッコいいな。
9年生って言うから日本の中3ぐらいかと思ってたら、イギリスの初等教育は日本より2年くらい早く始まるから、13、4歳らしい。彼はこの宿題の為に、レンタル料や機材搬入のルールを会場に問い合わせ確認している。凄えなぁ。
「あそこ、ドクター・フィールグッドも出たことあるんだよ」
「誰それ?」
「先生は喜ぶと思うからいれとけば。年齢的に、ぜったいそうだから」
みかこさんの適確なアドバイスには、ニヤリとしました。流石です。
だって 賢くて 良い子で 優しいなんて
そんなの出版したくな...
だって 賢くて 良い子で 優しいなんて
そんなの出版したくなるに決まっている!