飛ぶ夢をしばらく見ない (新潮文庫 や-28-3)

  • 新潮社 (1988年1月1日発売)
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感想 : 44
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  • 本 ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101018133

感想・レビュー・書評

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  • 70点!
    少し特殊な内容だった。病院で出会った老婆がどんどん若返り…。これは、さくらんぼシンドロームじゃないか!もしくはベンジャミンバトン!!それにしても、やりすぎでしょ~(・_・;)5歳くらいの子供になってまで…。この本のテーマはなんだろう?さらっと読めるのに、読み込めば色んな解釈ができそうな奥深さを感じた。いろんな詩を読みたくなった。

  • 『飛ぶ夢をしばらく見ない』
    とても印象的なタイトル。忘れ難いが、物語との接点は明確に示されてはいない。

    一流企業に勤め管理職となるも、地方での単身赴任で精神を病んだ中年の主人公。自殺未遂をするも足の骨折で済んだが、入院先の一室で運命的な出会いをする。衝立越しにいる女性には神秘的な何かがあった。彼女と言葉で情事をしたが、別れ際に見た彼女は老婆だった。退院後、その老婆と再会すると、彼女は美しく若返っていた。

    彼女との出会いが中年の人生を大きく変えた。家庭も省みず、彼女と会うことだけを求めた。肉体的な愛から精神的な愛へと変遷した。

    「飛ぶ夢」というのは自殺のことであり、彼女の存在が彼の希死念慮を上書きしたのではないかと、勝手に解釈している。タイトルだけでなく、物語も私の心に深い余韻を残していった。

  • 図書館にて。
    昔この本を持っていて、繰り返し読んでいた。
    だいぶ前に手放してもう手元にないのだが、ふと思い出し取り寄せて読んでみた。

    20代で読んでいた当時より受け付けない感じ…。
    当時から、この相手を好きな気持ち=相手の体を求めるみたいなのがちょっと気持ち悪かった。
    究極の男の願望を小説にしたものだろう。
    主人公が家族に捨てられたのがせめてもの救い。

    この本を持っていた当時は、どんな形になっても(どんどん若返っても)ずっと女性を愛してくれる男性が主人公の、究極の恋愛小説みたいに思ってたところがあった。
    今読むとそうではないとわかる。
    若い方がいいんだってば。
    なおかつ秘密の二人だけの共有とか、世間様への背徳感とか、外的要素も二人を盛り上げる。
    だって最初女性がえらい老けてた時はゲッて感じだったじゃんね。
    これ、奥さんの年齢くらいからスタートして倍速で歳を取るって設定だったらこんなに盛り上がらないし、気持ちも自分を抜かしたあたりで冷めるから。絶対そうだから。

    そういう、どうしてか自分を好いてくれるきれいな女性がどんどん若返って、その都度それぞれの年齢の体に好きなことして、最終的に女性は子供になり男は社会的に破滅、みたいなのがきれいに描かれてるのがめちゃくちゃおぞましかった。
    これ、男女逆だったらめちゃくちゃ叩かれるぞ。内容が同じでも、どれだけ二人が好きあっててもだ。逆の設定ならと想像出来たら、男性にもおぞましさがわかるだろう。
    これ映画化までされてんだもんな…。恐ろしいしおぞましい。

  • 山田太一。
    不思議な出来事にひょっくり遭遇、最初は良いものの次第に現実と夢との区別がつかなくなってくる、現実面での破滅を迎える、というパターン
    ただ今回はひたすら傾倒していって歯止めが効かなかったな、若い女の魅力よ、みるみる若返る女なんて

    北陸と東北

  • 山田太一は言語で人間の実験をしてるらしい

  • これだけ荒唐無稽な話が好きだ。

    本書の主人公田浦は中年という人生の折り返し地点にたって、はじめて本当に愛すべき女性に出会う。

    山田太一氏といえば数々の名作があるが、
    私がこの本に出会ったのは、偶然・・・

    新潮社の本は独特の紙触りと質感が好きで、それだけでもひいきにしていた時期がありました。
    この本を手にとったのは、題名に惹かれたことがすべてです。

    題名の意味がよくわからない。。
    そこが山田太一氏の作品との出会いでした。

    主人公の男性、田浦は、中年の男性、右足の骨折で入院した病院で衝立越しに1人の女性と出会う。

    しばらくして、その彼女と再会をするが、彼女には驚くべき変化が・・・

    精神的にではなく、肉体的に、外形的にどんどん若くなっていく・・

    男性は、もちろん、年を重ねていくことになる。。

    女性は、最終的には子供と言っていいところまで行く。

    しかし、2人は愛し合っているため、そんなことにひるんでいない。


    2人の関係は読んでいての日現実感をあまり感じず、何とも読後感がいい。

    そしてラストのシーンは、何とも切なく、何とも暖かく・・・

    今まで体験したことのない小説の世界観が私は好きな作品です。



  • 2018.6.25-147

  • 2018年3月11日読了。
    2018年60冊目。

  • 山田太一(シナリオライター)の名前と不思議な題にひかれて購入。しかし・・・。
    面白くないわけでは有りません。読んでる最中は結構入り込めるのです。最後に幼児に帰った女性が一人で去っていくラストシーンもなかなかです。しかし、読後は・・・
    結局著者が何を言いたかったのか、どうも理解できません。
    やはり、私は愛の物語と言うのは苦手なようです。

  • どんどん若返っていく相手と体を重ねるという背徳。

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著者プロフィール

1934年、東京生まれ。大学卒業後、松竹入社、助監督を務める。独立後、数々のTVドラマ脚本を執筆。作品に「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」他。88年、小説『異人たちとの夏』で山本周五郎賞を受賞。

「2019年 『絶望書店』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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