異人たちとの夏 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101018164

作品紹介・あらすじ

妻子と別れ、孤独な日々を送るシナリオ・ライターは、幼い頃死別した父母とそっくりな夫婦に出逢った。こみあげてくる懐かしさ。心安らぐ不思議な団欒。しかし、年若い恋人は「もう決して彼らと逢わないで」と懇願した…。静かすぎる都会の一夏、異界の人々との交渉を、ファンタスティックに、鬼気迫る筆で描き出す、名手山田太一の新しい小説世界。第一回山本周五郎賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • 随分前テレビで放映されたのを観て、両親と息子がすき焼きを食べるやるせない場面が頭に残ってた。
    数年前、東京へ出かけ(そちらに住む)叔母と浅草ですき焼きを食べた(こんなことは後にも先にも一度きりだ)。この懐かしい感じは…、と辿ってみたらその映画で舞台となった店だと知った。すき焼きの後はどうだったか覚えてなかったので、いつか読みたいと。
    喧騒に包まれる都会とは裏腹、孤独が身に沁みる主人公。そんな主人公原田のもとに訪れたものは。
    するするっと非現実に入り込む、怖いというより、ラストはすっきり心が晴れ温かさを感じた。
    わかってはいても両親との別れのすき焼きの場面は泣けてしまう。父母の言葉に。子供をよく理解しているのは親だな、と思う。ノスタルジー漂う下町の背景は、ざ昭和で、自分の子供の頃(より少し前かな)、親の時代だったなと思う。親孝行しなくては。
    とても郷愁に駆られ、親の愛を感じるお話だなと思う。田辺聖子さんの解説、良かった。

    • こっとんさん
      kazekaoru21さん、こんにちは。
      今半のすき焼き!ですよね!
      私、この映画も大好きなんです!
      ほんと、ノスタルジックでいいですよね。...
      kazekaoru21さん、こんにちは。
      今半のすき焼き!ですよね!
      私、この映画も大好きなんです!
      ほんと、ノスタルジックでいいですよね。
      手作りのアイスクリームとか、なんだか細かいところまでよく覚えています。
      ずーっと昔に観た映画なのに。
      思い出させていただき感謝です!
      2022/02/07
    • kazekaoru21さん
      こっとんさん、こんばんは。
      そう、今半です!自分が行ったお店で繋がり、本ももう無いかと思ってたら、ポチで買えました。手作りアイスクリーム、...
      こっとんさん、こんばんは。
      そう、今半です!自分が行ったお店で繋がり、本ももう無いかと思ってたら、ポチで買えました。手作りアイスクリーム、よく覚えてみえましたね
      ?!(^▽^)/小さい頃、家にそういう道具あったような・・?
      この映画の雰囲気大好きです。セリフの声は読んでいても父は鶴太郎さん、母は秋吉久美子さん、もうこれしかないですよね!
      コメントありがとうございました。
      2022/02/07
  • 映画「異人たちとの夏」を何度か観て原作を読んでみたいと思い手に取った。原作と映画ではえてして内容が異なることがあるが、本作は映画通りというより映画が原作通りだったことで、とても安心して読み終わることができた。切ない気持ちが残った。

  • 著者は脚本家なんですね。
    後書きで知りました。
    ふぞろいの林檎たち、懐かしい。笑

    確かに、読んでたら映像化の方が
    映える気がしました。

    と思ったら映画化されてましたね!

    内容は、途中戸惑いがありましたが
    最後の一文で、読んで良かったと
    思いました。

  • 繊細で神経質で心に忍び寄るような文章。
    わたしも向こうにいってしまった父に逢いたくなった。

    • yhyby940さん
      会いたい・会ってよかったと言う経験を3月にしました。35年ぶりに友人と会えたことです。会うと一気に遡ります。会いたい人・話したい人とは機会を...
      会いたい・会ってよかったと言う経験を3月にしました。35年ぶりに友人と会えたことです。会うと一気に遡ります。会いたい人・話したい人とは機会を作るべきだと感じる日々です。ありがとうございます。
      2023/09/17
    • 世界で私はきっと猫になる。さん
      会える時、会いたいとき、心からそう思えるとき、時間を惜しまずに行動するべきだと思います。カラダをあの世に運ぶ事は叶わなくとも、せめて想い出(...
      会える時、会いたいとき、心からそう思えるとき、時間を惜しまずに行動するべきだと思います。カラダをあの世に運ぶ事は叶わなくとも、せめて想い出(記憶)だけでも連れ添って行きたいものです。

      35年の時を経て、ご友人と再会。
      とても有意義でまるで巻き戻るような時間旅行を楽しめた事かと思います。

      こちらこそ、お話にお付き合い頂きありがとうございました。
      2023/09/17
    • yhyby940さん
      ありがとうございます。今後も、よろしくお願いいたします。
      ありがとうございます。今後も、よろしくお願いいたします。
      2023/09/17
  • むかし読んだ時は単にホラーだったのに、今読むと胸が苦しくなります。年代によってこんなに感じることが違うかなと少し驚きました。
    主人公が子供の時に事故で亡くなった両親とある日巡り会う。自分の方が歳上になっているのに両親は昔の両親のまま深い愛情を主人公に注いでくれます。
    幾つになっても両親の愛はかけがえなくそして自分を子供の自分に戻してしまう。
    そういう事が若い時にはわからなかったわけです、自分は。
    切なく涙をおさえられなかったです。

  • 山田太一が第一回山本周五郎賞を受賞した作品。
    あっさりとした文章で、読み進めるのは易しい。展開もドラマティックで、最後までしっかりと読ませてくれるが、個人的には、小説として読むには物足りない感じが否めなかった。情景描写に厚みがあれば、人物の心理描写にも濃密さが増し、読み応えも十分になるのではないかと思った。
    原田英雄の両親との邂逅や別れについては、読んでいて引き込まれてしまうことが悔しいが、普遍的な親の愛情は、誰をも感傷的にさせてくれる展開だと感じた。とにもかくにもこの作品の肝。
    著者が脚本家だからかは分からないが、小説で読むよりは映像で見たいと思う作品。

    • nejidonさん
      yoshio70さん、こんばんは(^^♪
      たまたまタイムラインにあがってきたので、コメントさせてください。
      映画は良いですよぉぉ。。
      ...
      yoshio70さん、こんばんは(^^♪
      たまたまタイムラインにあがってきたので、コメントさせてください。
      映画は良いですよぉぉ。。
      もうずいぶん前に見たのに、いまだに覚えています。泣けて泣けて。
      幽霊でもいいから両親に会いたいと、どれほど思ったことか。
      私は山田太一さんが好きなので、見てから読みました。
      映画の情景がありありと浮かんでまた泣きました。
      変なコメントですみません。サマータイムマシン・ブルースを薦めたりこちらを薦めたり。
      変な人です、私は。
      2020/08/25
    • yoshio70さん
      nejidonさん
      コメントありがとうございます!相変わらずの遅返信ですいません…

      情報提供ありがとうございます!
      この小説、ぜひ映像で見...
      nejidonさん
      コメントありがとうございます!相変わらずの遅返信ですいません…

      情報提供ありがとうございます!
      この小説、ぜひ映像で見たいなと思っていたのですが、ブックオフでぼんやり買っただけだったので情報も収集せず…

      最近は映画を観ることも少なくなってきたので、ご紹介いただけて嬉しいです^^
      2020/08/27
  • 再読。
    昭和63年に刊行された小説だが、好きな作品なんで、これまでに何度も読み返している。
    作品全体に漂う夕暮れ時の描写というか、セピア色のけだるい色彩もいい。
    両親との最後の食事シーンは、やっぱり泣けてしまった。
    僕にとっては一押しの、毎年、夏になると決まって読みたくなる作品である。

  • タイムトラベルもので、浅田次郎の地下鉄に乗ってと相似しているが、心にぐっとくる名作であることに変わりない。さすが名脚本家。

    • yhyby940さん
      こんばんは。私は映像作品しか観ていません。何度も観て泣きました。本も読んでみたくなりました。若い頃の親に会いたいという夢は誰でも持つのではな...
      こんばんは。私は映像作品しか観ていません。何度も観て泣きました。本も読んでみたくなりました。若い頃の親に会いたいという夢は誰でも持つのではないでしょうか。
      2023/05/12
    • kakaneさん
      yhyby940さん、こちらにもコメントありがとうございます。30年以上前に読んだ本でしたが、号泣した記憶が残った名作だと思います。私も映画...
      yhyby940さん、こちらにもコメントありがとうございます。30年以上前に読んだ本でしたが、号泣した記憶が残った名作だと思います。私も映画を観てみたい思います。ありがとうございます!
      2023/05/13
    • yhyby940さん
      ご返信ありがとうございます。機会があれば映像作品もご覧になってみてください。
      ご返信ありがとうございます。機会があれば映像作品もご覧になってみてください。
      2023/05/13
  • 離婚したばかりのシナリオライター。浅草をぶらついていると12歳の時に亡くなった両親と会う。しかし、彼らと会うたびに痩せていき…同じマンションの新しい恋人は引き留めようとするが。

    真夏の怪談、とも言える傑作。すごく日本風で、懐かしくもあり、心地よくもある。ラストのどんでんも無理がなく、さもありなんという感じ。

    ホラーでもあり、ラブストーリーでもあり、親子愛の話でもある本作。映像化もされているので、そちらも楽しみ。

  • 少し前に読んだ「敗者たちの想像力ー脚本家山田太一」で言及されていたので。
    映画化されていて、一場面だけ見たのを覚えていた。読んでいる間はどうしても両親が鶴太郎と秋吉久美子になってしまう。
    どうして両親は亡くなって30年以上もして出てきたのか。それだけ親の愛は深いということか。
    主人公がやつれたのは、両親のせいより、ケイのせいだよね。

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著者プロフィール

1934年、東京生まれ。大学卒業後、松竹入社、助監督を務める。独立後、数々のTVドラマ脚本を執筆。作品に「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」他。88年、小説『異人たちとの夏』で山本周五郎賞を受賞。

「2019年 『絶望書店』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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