丘の上の向日葵 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 99
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101018171

作品紹介・あらすじ

平穏堅実な家庭生活を営む中年の会社員が、帰宅の途中、見知らぬ美女を家まで送るはめになり、そこで意外な事実を打ち明けられた。以前、たった一度、自分を相手に身体を売った時の子供が、いま高校生で身体に障害があるという…。女の美しさ妖しさに惹かれつつも、日常と非日常のあいだを揺れる男の内面を描いて、現代の性と家族のありかたに波紋を投じる、著者会心の長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 1冊目を読んだ時から独特な世界観が好きになり、新潮社の山田太一氏の文庫本を気づいたときに買っていくようになった頃であった作品。

    至って平穏、そして荒事を起こさないような中年の家庭もちの男性。

    ある日、見知らぬ女性を家まで送ることになるのだが、そこで何とも言えない衝撃の事実を教えられる。

    その女性は、過去に一度だけ送ってもらった男性相手に一度だけ体を売ったことがあるという。

    その時にできた子供が今は高校生になり体に障害があるという・・


    やがてこの女性と男女の仲になるが、女性は忽然と男性の前から姿を消す・・
    女の影に男性の妻も気づかぬ筈がなく・・・

    話し合いで解決できるところと男と女の感情と入り組んだ話が、うまく流れていくので読みやすいし
    本を読みながらの情景描写もしやすい。

  • 日常にある家族。そして、揺れ動く恋心と性。読み終わったときにひと息ホッとついた記憶がある。

  • 性関係を抜きにした男女関係に発展性はあるのか、というのが主題。手垢のついたテーマだが、改めて深く考えさせられてしまった。

  • 初山田太一。

    山田太一は小説でも山田太一だった。
    ドラマだったら気にならないだろうセリフやシチュエーションが
    なーんか芝居がかってて気になった。

  • 愛と恋との差を考えさせられました。。

  • 未読。これからです。

  • 望むは平凡で穏やかな人生である。それに偽りはない。と同時に、その退屈な生活から抜け出し、美しい人と甘くて清らかで淫らな日々に溺れてみたい。通勤電車の中で、毎日上り下りする駅の階段の途中で、心の奥底に存在するそんな妄想に身を任せるのが習慣になっている。無論、複雑で面倒な手続きは一切なしに。妻子ある40代の研究所員の穏やかで平凡な生活は、結婚前に一度だけ買った女性に「あなたの子供がいる」と告げられたことで、大きく変化し始める。何より彼女は美しかったのだ。

    人の心は、複雑で矛盾していてエゴイスティックでもろい。表面化した言葉や態度や感情が、どこから生まれたのかすら分からない。全く手におえない。私たちは誰もがやっかいで我儘な「心」に振り回されながら生きている。でも、きっとそれでいいんだとこの小説を読み終えて思った。多分、そのようにしか生きられないのだと思う。移り変わる心の様相に翻弄されながら、私たちは自分なりのモラルを築き、他人との関係を築き、自分の生を築くしかないのだろう。

  • ありそうでない。なさそうであるのかもしれない。山田太一の描く人間は作者本人のように温かい。

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著者プロフィール

1934年、東京生まれ。大学卒業後、松竹入社、助監督を務める。独立後、数々のTVドラマ脚本を執筆。作品に「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」他。88年、小説『異人たちとの夏』で山本周五郎賞を受賞。

「2019年 『絶望書店』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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