ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた (新潮文庫)

  • 新潮社 (2020年2月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784101018614

作品紹介・あらすじ

1968年、7歳の少年はテレビで放映されていた「ウルトラセブン」最終回に衝撃を受ける。主人公のダン隊員がアンヌ隊員に自分の正体を告げる瞬間、オーケストラとピアノ・ソロの感動的な音楽がかかるのだ。この曲はなになのか? 誰がいつどこで弾いたのか? それを突き止めるまでの7年の彷徨を振り返りながら、そのプロセスを経て、クラシック音楽鑑賞の醍醐味を知るまでを感動的に描く。

感想・レビュー・書評

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  • 1968年、7歳の少年はテレビで放映されていた「ウルトラセブン」最終回に衝撃を受ける。主人公のダン隊員がアンヌ隊員に自分の正体を告げる瞬間、オーケストラとピアノ・ソロの感動的な音楽がかかるのだ。この曲はなになのか?誰がいつどこで弾いたのか?それを突き止めるまでの7年の彷徨を振り返りながら、そのプロセスを経て、クラシック音楽鑑賞の醍醐味を知るまでを感動的に描く。

    ここまでのめりこむことができるのが、ただただ素晴らしい。

  • 1968年10月1日、特撮番組「ウルトラセブン」の最終回で用いられたクラシック曲に衝撃を受けた1人の小学生が、その曲名さらには演奏者を突き止め、クラシック音楽鑑賞の一つの肝を知るに至る7年の軌跡を中心につづられている。
    第1章、「あの曲」を探す過程で、10代の著者は様々な演者によるシューマンのピアノ協奏曲を聴いては「これではない」と落胆を繰り返し、7年を経てその解(D.リパッティ/H.V.カラヤン、1948)に至る。さらには番組の作曲家、音楽監督である冬木透に著者がインタビューを試み、最終回でシューマンのピアノ協奏曲第1番(リパッティ/カラヤン盤)が選ばれた経緯が冬木氏自身の言葉で語られるのは非常に興味深くインタビュー後、44年前に少年時代の著者の魂を震わせた1枚を冬木氏と共に聴いた時の感激は……何だかわかる気がする。
    第2章は音楽(劇伴)という切り口から著者がおススメする「ウルトラセブン」の回を紹介し、付録として本編で登場しなかったその他の演奏者による「シューマン/ピアノ協奏曲第1番」を9枚採り上げ、その味わいの違いを述べている。
    全編ウルトラセブン愛とクラシック愛に満ち溢れている。曲内各所の旋律や演奏法についても専門的になり過ぎず、音学(音楽ではない)に疎い読者でもわかりやすく、各盤の味わいの違いもイメージしやすく、この曲のガイド本としてうってつけではないか。というか、とにかくこの曲(シューマン『ピアノ協奏曲第1番イ短調 op.54』)がクラシック音楽の中でも特に好きで、「ウルトラセブン」が好きな人間にとっては、読んでいてただただ面白いの一言に尽きる一冊。この曲を流しながら読むのがオススメ。

    ちなみに、自分が最も好きなのはN.フレイレ/R.ケンペ、ミュンヘン・フィルによる1968年演奏の盤。

  • 僕はウルトラセブンリアタイ世代ではありませんが、再放送やDVDなどでみたことがあります。戦闘員として来なかったセブンの設定や、毎話に出てくる宇宙人などに注目して今まではみてきました。
    でも、この話を読んでセブンの見方が変わりました。音楽とのつながりなどに注目しているこの本を読んで、改めて面白い本だと思いました。父として活躍している今、読んでおいて欲しい一冊です。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/737315

    2024年7月10日ウルトラマンの日に紹介。

  • https://opac.kokushikan.ac.jp/opac/volume/853567?current=1&total=1&trans_url=%2Fopac%2Fsearch%3Fbase_url%3Dhttps%253A%252F%252Fopac.kokushikan.ac.jp%26count%3D50%26defaultpage%3D1%26defaulttarget%3Dlocal%26order%3Drecommended_d%26searchmode%3Dcomplex%26title%3D%25E3%2582%25A6%25E3%2583%25AB%25E3%2583%2588%25E3%2583%25A9%25E3%2582%25BB%25E3%2583%2596%25E3%2583%25B3%25E3%2581%258C%25E3%2580%258C%25E9%259F%25B3%25E6%25A5%25BD%25E3%2580%258D%25E3%2582%2592%25E6%2595%2599%25E3%2581%2588%25E3%2581%25A6%25E3%2581%258F%25E3%2582%258C%25E3%2581%259F%26title_op%3Dand

    芸術の秋、クラッシック音楽なんていかがでしょうか♪
    クラッシック音楽と言われると、何だかかしこまった音楽のような気がしてしまいますが、意外と身近なドラマや映画にも使われており、なんと、なんと!ウルトラセブンにも使われているのです!!
    この本では、ウルトラセブン最終回のクライマックスシーンで流れた曲に衝撃を受け、当時7歳であった筆者がその曲がなんという曲なのか突き止めるまで、また、その間に自然と学んだクラッシック音楽の楽しみ方が紹介されています。
    今の時代、YouTubeで気軽にクラッシック音楽を聴けるので、ドラマ等で気になった音楽を調べるのもよし、この本で紹介されている曲を聴いてみるのもよし、お気に入りを見つけて心地よい秋の夜長を過ごせるといいですね♪

  •  ウルトラセブンの最終回でかかったクラシック曲を追う。

     ビデオ録画も何もなかった時代に、かかった曲が何なのかを追うのは大変な謎解き。シューマンのピアノ曲と分かっても、クラシックはいつの誰かの演奏によっても大きく違う。命を削っていた最終回のセブンのBGMにかかっていた曲が余命いくばくかのピアニストの曲だったというのは衝撃
     筆者はウルトラセブンの最終回の曲をきっかけにクラシックの専門家になったようなものだからまたすごい。

     セブンもクラシックもすごいものには様々な人の人生が詰まっていて、それがまた誰かの人生を動かしていく。。。

  • 幼稚園時代見ていた作品をはぼ同年代で同じ町内会の筆者がここまで深く解説してくれた事に脱帽です。作品愛と音楽愛に満ちており、思わず配信で見ながら読みました。セブンが好きでクラシックが好きならお勧めです。

  • #881「ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた」
     七歳の時にテレビで見た「ウルトラセブン」最終回の音楽に感動した少年が、その曲の正体を掴むまで、七年間を費やした経過を綴つてゐます。セブンだけに七歳とか七年とかが絡みます。現在と違ひ情報を得る手段が少ない時代に「シューマンのピアノ協奏曲」といふ曲名だけでそのレコードに辿り着くのは至難の業でした。このくだりは中中感動的。

     セブンの音楽担当は冬木透氏。その後も「新マン」「A」「レオ」「80」などを手掛けてゐます。何れも素晴らしい仕事をしてゐますが、例へばゴジラシリーズを始めとする東宝特撮で有名な伊福部昭氏に比べて、ウルトラの冬木透氏は語られる機会が少なく、過小評価されてゐる気がします。
     本書で、冬木氏の仕事が再評価されるきつかけになると良いなと存じます。

  • 時は1968年。テレビで放映されていた「ウルトラセブン」の最終回に幼い頃の著者は衝撃を受けた。主人公のダン(ウルトラセブン)がアンヌ隊員に自分の正体を告げる瞬間に流れた感動的なクラシック音楽。あの音楽は何なのか? そして何故その演奏が使われたのか?それを突き止めるまでの著者の彷徨を追いつつ、著者がクラシック音楽を観賞する醍醐味を知るに至るまでが綴られる。好きなものについて突き詰めていく“知の冒険”の楽しさが感じられる一冊でした。

  • いま、一番のお楽しみは月曜日夜のウルトラQと日曜日の朝のウルトラセブン。NHKのBSプレミアムで4Kリマスター版ををハイビジョンで放送してくれています。いよいよ明日は「ウルトラ警備隊西へ」の後編でキングジョーとの闘いを子供の時より格段にいい画質と大きいサイズで見れることに心が躍ります。まだ折り返し地点にはたどり着いていませんが、あの衝撃の最終話に行く前に、ずっと積読だった本書を開きました。シン・ウルトラマンの前に読んでおこうと思った成田亨の「特撮と怪獣」で、ウルトラマンが主演である限りウルトラマンは美術の映画なのだ、と主張していて深く納得したのですが、でも…もしかしてセブンは主演セブンであると同時にダンとアンヌの物語なのかもしれないと思います。マンがハヤタ隊員の身体を借りているのに対して、セブンはダンその人であり、宇宙人ダンと地球人アンヌの交流こそがセブンを他のウルトラシリーズと一線を画しているモチーフだとしたら、最終話はそのセブンのすべてがドラマチックに大爆発する回であり、それはダンが告白して画面がシルエット反転してからの8分間に凝縮していて、その時間はシューマンのピアノ協奏曲が流れている時間なのです。その8分間、いや最初の第一楽章の冒頭に人生を持っていかれてしまった幸せな男の愛の記録が本書です。執念でリパッティとカラヤンの演奏にたどり着く、熱い物語。それはクラシック音楽への目覚めに繋がり、そして長い時間をかけて憧れの冬木徹にたどり着く道です。セブンは美術が主役であると同時に、俳優も音楽も三位一体で完成された奇跡なのだと思います。その奇跡を真正面で受け止めたからこその、著者の人生に奇跡的展開が待っていたのでしょう。そして、そんな幸せを実現した著者の文庫版へのあとがきからのメッセージを抜き書きしておきます。「本の力は本当にすごい。何もしないでいたらありえない、自分の愛する世界での特別な出会いや経験をもたらす。」セブン、大好き、本も大好き!

  • 朝日新聞の連載「ドリフの時代、その音楽」(吉田純子記者連載)で、子ども時代になじんだテレビ番組が、豊かな文化的背景を抱えていたことを紐解かれ、そうだったのか、と納得しながら膝を打つ、自分のそのときを巻き戻す、巻き戻してながめるときに、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」みたいにそのときの自分をもうひとりの自分が見る、見えなかった背景が見える、こんな日がくるのだね。そんな回顧アプローチでこの本は純度100%だ。私自身は「ウルトラセブン」もみていたが、じつは夢中になったのは「リボンの騎士」とか「アタックNo.1」とか、やはり女子がセンターで活躍するものでした(子ども心にも戦いもの?の女性の扱われ方に「??」を感じていて、このもやもやは斎藤美奈子氏が『紅一点論』で晴らしてくれた)しかしこの本の素直で念入りで、ユーモアあふれ軽快な語りは、なるほどそりゃ面白そう、もっときちんと見直さなきゃ、これは意義深いと合点した。何においてもお好きな方に訊くのが一番だ。使用楽曲について、ひたすら探索していくその一途さは、自分の体験をも呼び起こす。本書ではシューマンのピアノ協奏曲を探しまくるが、リパッティに行きつくところは、大好きな弾き手なので嬉しかった。長じてついには作曲家冬木透さんに相対するところなど、(ファンにとっては「神」)ひとつのクライマックスだ。みんな本書の体験談に共鳴し、甘酸っぱく我が身を振り返りながら、過去を逍遥したに違いない。本書の出版裏話、解説の男子2名も語る語る・・・。ちなみに同世代である男性家族にこの話題をふると、そっから語る語る・・・神戸が舞台になったキングジョーが印象的らしい。

  • リアルタイムで『ウルトラセブン』を視聴されていた著者が、『ウルトラセブン』最終回で使用された楽曲が何であるかを知り、使用音源がどれであるか、そのレコード盤に辿り着くまでのドキュメンタリーです。当時少年の自分であった著者が、感動的な最終回で使用されたBGMに衝撃を受けてからというもの、あの曲が何であったか、それはどの音源であるかを知るまでの努力は想像以上のものであり、手に汗握りました。ついに該当のレコード盤を手に入れて聴くことが出来た時の場面は、読者であるわたしにとっても感動的です。
    またそのドキュメンタリーは、当時の音楽界を取り巻くレコードの売られ方や、視聴手段のテクノロジーの進化が伺い知れる、貴重な証言であるとも思いました。これにも書かれている通り、現代はネットでどこでどんな音源が紹介されたかがすぐに分かるようになっているし、ネット配信ですぐに音源を入手出来ます。著者の体験された努力は、当時の環境を知るために貴重なものだと思います。
    更に楽曲が劇中でどのように使用されているかについても、詳細な解説がなされており、『ウルトラセブン』を再度視聴したくなりました。

  • 小学生の頃、リアルタイムでウルトラセブンの最終回を見た著者が、その時に耳にしたクラシック音楽に魅了され、それがなんという曲なのかを追い求めた経緯が語られる。

    今のようにインターネットがない時代のこと。全くの徒手空拳で曲の情報を追い求めた少年であった著者の熱情・執念には頭が下がる思いがした。それほどまでに最終回のあのシーンと相俟ってこの曲に心を揺さぶられたということなのだろう。

    そして、私自身もあの曲は耳に残っているので、今回、それがシューマンのピアノ協奏曲であることを知ることができたのは、大きな収穫だった。

    同じウルトラマンあるいはウルトラセブン世代の自分としては、音楽という切り口でウルトラセブンの作品を語る本作はとても新鮮に感じられた。

    カラヤン/リパッティ盤のシューマンのピアノ協奏曲を聴いてみたくなった。

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著者プロフィール

著述家、本名の青野泰史にて編集者。
1960年東京都世田谷区出身。1984年早稲田大学卒業。
音楽之友社にて『週刊FM』、書籍、ムックなどの編集、ベネッセ、オリコン執行役員等を経てフリーランス。
著書に『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』(アルテスパブリッシング/新潮社)、『ウルトラセブン・スコア・リーディング 冬木透の自筆楽譜で読み解くウルトラセブン最終回』(アルテスパブリッシング)、冬木透との共著に『ウルトラ音楽術』(集英社インターナショナル)、桜井浩子との共著に『ウルトラQ』『ウルトラマン』全67作撮影秘話 ヒロインの記憶』(アルテスパブリッシング)がある。
クラシック音楽から欅坂46ほか坂道シリーズまでの音楽領域に関心を持つ。

「2025年 『今日もウルトラセブンのことを考えていた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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