薔薇盗人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 735
レビュー : 71
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101019215

作品紹介・あらすじ

「親愛なるダディと、ぼくの大好きなメイ・プリンセス号へ」-豪華客船船長の父と少年をつなぐ寄港地への手紙。父の大切な薔薇を守る少年が告げた出来事とは-「薔薇盗人」。リストラされたカメラマンと場末のストリッパーのつかの間の、そして深い哀情「あじさい心中」。親友の死を前にして老経営者に起きた死生への惑い「死に賃」。人間の哀歓を巧みな筆致で描く、愛と涙の6短編。

感想・レビュー・書評

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  • 浅田次郎=エモーショナルという公式が頭に有るのですが、この6編の中では「あじさい心中」と「ひなまつり」が私の公式に当てはまるような作品です。
    悪く言えば”泣かせ狙い”の作品なのですが、その姿勢がかなり露骨でも嫌味を感じさせないのがこの人の持ち味でしょう。ただ、思わずウルウルさせられそうになるので、通勤電車での読書には向かないかも。
    あとの作品はどう位置付ければいいのでしょう。無理やりカテゴライズする必要も無いのですが、ミステリーっぽい感じもしますし、純文学的な感じもします。悪く言えば中途半端です。

  • 浅田次郎好きの会社の先輩に薦められて手にとってみた。

    浅田次郎の短編集は、これまでに『鉄道員』(集英社文庫)と『姫椿』(文春文庫)を読んでいるが、それらに比べてこれは結構毒のきいた大人の話が多い。

    先輩が絶賛していた「あじさい心中」は、独白内容が想像を絶し、「これは悲しすぎてダメかも」と思ったが、それでも立ち上がって生きていける強さが人間にはあるのかな、と感じられるラストで持ち直した。

    「薔薇盗人」はかなりパンチの効いたブラックユーモアに満ちていて、でも端々ではちょっと笑えて、よくこんな構成でこんな話が書けるなーと感動。タイトルも秀逸だと思う。ラストも素敵。

    私が好きなのは「あじさい心中」と「ひなまつり」と「薔薇盗人」だなあと思っていたら、作者自身もこの3話が気に入っていると「解説」にあり、へぇーと思った。(2007.7.5)

  • 人々の様々な形の愛を描く短編集。
    浅田次郎お得意の感動系を期待していたが、シュールな展開に物もあったりと、少し期待はずれ感はあったが、心が洗われる物語が多かった。

    特に好きなのは「死に賃」と「ひなまつり」の2つ。
    「死に賃」戦後の動乱の時期を勝ち残った社長が同じ時代を生きた級友から莫大な料金を引き換えに自分が死ぬ間際の苦痛を取り払ってくれるサービスがあると話を聞く。
    その級友が亡くなり、自身も急な病に倒れたときそのサービスを使おうとするが。。。。
    最後の意外な展開に加え、献身的な愛の形が露になったとき思わず泣けた。

    「ひなまつり」東京オリンピックが始まる昭和の時代、シングルマザーの家庭に育つ女の子が大人の事情にふりまわされながらも、大好きな母と”おとうさん”のために奔走する物語。
    自身の孤独や"おとうさん"に対する好きだけど自分ではどうしようもできない想いが語られ、その心中を察するだけで胸がいっぱいになってしまった。

  • 2016年4月15日読了

  • 「あじさい心中」、「死に賃」、「奈落」、「佳人」、「ひなまつり」、「薔薇盗人」の六篇。いずれの作品もgood!

  • 浅田次郎は長編が好きだなあ。

    浅田次郎は短編とはいえ、その世界を描きだすのが上手いのだ。
    だからすぐに情景が目に浮かんで、「で?」ってなってしまう。
    もう一段の上を期待してしまう。

    本来なら短い文章でその世界を描き切ること、できれば余韻をもたせることが短編小説に求められる部分なのかもしれないけれど、「蒼穹の昴」や「壬生義士伝」などの、圧倒的な描写の巧。
    畳み掛けるように押し寄せる感情のうねり。

    または「地下鉄に乗って」のように、視点によって見えているものが違い、事実が必ずしも真実ではないことを突き付ける一瞬。

    そのようなものを、短編で期待してはいけないのだけど、期待してしまうのだ。
    上手いから。

    そういった意味で面白かったのは「奈落」
    まだ着いていないエレベーターのドアが開き、一歩踏み出したために命を落とした会社員・片桐。
    その事故で露わにされる、彼の半生。
    そして彼の死が会社の歯車をも狂わせる!…のか?
    ドラマ化する際には、ぜひ片桐役を緋田康人さんで。

    女手一つで自分を育ててくれる母の苦労がわかるから、いろんなことを我慢して我慢して我慢していた少女が、この先一生わがままを言わないからと母にねだったものとは。「ひなまつり」
    やっぱりこういうの書かせると上手いよなあ。

    長期不在の父に代わって薔薇と母を守り、父に手紙で近況を報告する少年。
    純粋な少年の目を通して描かれる近況から透けるように見える現実。
    この透けっぷりが、大抵の大人にはガラス越しのように丸見えで、どこで話しをオトすのだろうと思って読んでいたら、ストレートに終わりました。

    ジョン・ラッツの「腐れイモ」くらいのどんでん返しを期待したんだよね。
    一方的な手紙だけで構成された小説だったので、つい…。
    薄汚れちまった読者ですみません。

  • グッと引き込まれた後スッと目の前から消えてしまって途方に暮れているような読後感。そこはね、はっきりわからない方がいいんだから、って説得されちゃったようなw 薔薇盗人って解説によると大いに訳ありな話。ふ~ん。

  • 作者自身もお気に入りという「あじさい心中」「ひなまつり」「薔薇盗人」を収録している。

  • やや古臭くて軽い感じだが、読みやすかった。

  • 「あじさい心中」「死に賃」「奈落」「佳人」「ひなまつり」「薔薇盗人」6編からなる短編小説。

    表題にもなっている「薔薇盗人」は、主人公(洋一)が遠い船上にいる父へ書く手紙の方式をとっており、小学生の純粋無垢な文章と内容の裏側に潜む大人の怖さに引かれる。小説ならではの面白さがあった。

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著者プロフィール

浅田 次郎(あさだ じろう)
1951年、東京都出身。
1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木三十五賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞を、2010年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で第43回大佛次郎賞それぞれ受賞。2015年には紫綬褒章も授与されている。
2018年現在、日本ペンクラブ会長、直木賞、柴田錬三郎賞、山本周五郎賞の選考委員を務める。2018年12月15日、『輪違屋糸里』が藤野涼子、溝端淳平、松井玲奈らの出演で映画化。

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