憑神 (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101019246

感想・レビュー・書評

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  • 武士としての「生き方」を書いた小説でした。
    3つの邪神(貧乏神、疫病神、死神)と対しながら物語りはすすんでいきます。

    一番のテーマとなるセリフに
    「人間はいつか必ず死ぬ。だが、限りある命が虚しいのではない。限りある命ゆえに輝かしいのだ。」
    その後の文章で
    ”人間が全能の神にまさるところがあるとすれば、それは限りある命をおいて他にはあるまい。限りあるゆえに虚しい命を、限りあるからこそ輝かしい命となせれば、人間は神を超克する。”
    という所だと思います。

    こういう本は刺激を与えてくれます。
    映画も是非観てみたいと思いました。

  • 映画はコメディのイメージがあったんだけど…(内容は一切おぼえてない)
    そのノリで読み始めたからちょっと違う雰囲気にアレ?と思ってました。勝手に!勝手に私のイメージね!笑

    でもクスッとあり最後は涙あり、浅田次郎節なのかなぁ〜。
    最初はあの独特の口調に苦戦しましたが、程なく慣れます。(言い切り)

    さて、養子先から出戻り次男坊、榎本某の出世は三囲神社のおかげと聞き、たまたま行きあった三巡神社にお参りするも、とんでもないものが憑いてきます。とんでもないです。
    第一弾・貧乏神です。
    第二弾・疫病神です。
    第三弾・死神です。(先に全部言っちゃう)

    貧乏神、疫病神は憎い人たちに宿替えさせちゃいます。秘法中の秘法だそうです。滅多にやったらだめなことでやったら怒られるけど、情をかけてやっちゃうそんな主人公です。

    己の境遇を嘆きながら、最後は武士道をきっちりとおす。
    そんな主人公でした。




    @手持ち本

  • 現在の泣ける映画・小説ブームの先駆けは浅田次郎の「鉄道員」じゃないかと思っている。
    私はそういう一連の「泣ける」モノにあまり興味がなく、どちらかと言えば冷ややかな目で見ている。この本を買ったのは妻だ。私ではない。でも、話題となってる以上読んでしまう自分が悲しい。
    途中まで読んでいてこのストーリー展開は星新一だなと思った。拝んではいけない祠を拝み、貧乏神・疫病神・死神に次々憑かれる不幸な男。
    しかし、星新一ならその不幸を幸運に変えていくスノッブな展開で終わるだろうが、浅田次郎は違った。幕末を舞台に武士道を軸として泣ける話に仕上げている。
    ただし、この展開で泣くには主人公の考える武士道の何たるかを理解せねばならない。その部分が説明的で泣くためにはその部分をしっかり読まねばならぬ。泣くことに興味がない私には苦痛だった。
    貧乏神・疫病神・死神に次々憑かれる不幸な男の話を筒井康隆で読んでみたい。そう思った。

  • 貧乏神、疫病神、死神に憑かれてしまった武士が幕末の江戸の凋落の中で武士道の真髄に気づき、新しい世の中の礎になる覚悟を決める、っと書くと固い話のようだが浅田次郎らしい読みやすい文章になっている。非現実な憑神が登場する一方で勝海舟榎本武揚、徳川慶喜を登場させ史実と重なった話になっており面白かった。

  • 最初は貧乏神やら厄病神やらが出てきて、主人公がアップアップするコメディだったのが、後半は武士道精神を貫く漢の話になっていって、勝海舟やら榎本武揚とか、実在の人物も出てきて、何やらかんという感じですが、爽やかな読後感でありました。

  • 器用ですな、この人は。時代物をやると宮部みゆきに近いテイストを感じる。
    人情話と怪異譚に歴史ものの風味を添えた一品。飛行機内で気楽に読むにはちょうど良かった。

  • 幕末の神様もの、ファンタジー、幕末の空気感が細かく描写されているので幕末史好きには特におすすめ、やっぱり最後は泣かせる

  • 時は江戸末期、御徒士組という由緒がありながらも貧しい武士の次男坊、彦四郎が、土手下にある祠を拝んだことで被る御災厄のお話。

    2008年以来の再読。
    前半はコミカルだが、扱う御災厄が重くなるにつれ、雰囲気もシリアスに。

    以前読んだときは「後半がイマイチ…。」と感じたものだが、やはり後半に向けて変化していく作風やテーマの重さが、読み手を良くも悪くも裏切るのが理由だと感じた。

    三柱の神様の造形や、小文吾や団子屋の主人、蕎麦屋の親爺といった主人公の周りの登場人物に好感が持てた。

  •  幕末時代小説、嫁ぎ先の策力で出戻った貧乏御家人別所四郎がひゅんなことから貧乏神、厄病神、死神の3人に憑りつかれるというお話し。

  • 期待していたほどにはのめり込めなかった。主人公が最初から最後まで立派なままだからかなあ。
    でも浅田さんだし、やっぱり終盤にはちょっと胸が熱くなりました。言葉遊びもおもしろいし。
    表紙の3人の神様の姿にほっこり。

著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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