憑神 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101019246

感想・レビュー・書評

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  • 面白い!
    武士である主人公の心の葛藤も興味深い。

  • 「ならぬ徒花ましろに見えて、憂き中垣の夕顔やーー」
    貧乏御家人の別所彦四郎。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、霊験あらたかにも神様があらわれた。だが、この神様は、神は神でも、なんと貧乏神だった!ーーーーー

     
    映画は見ていないけど、テンポよければ面白そうだなあ。冒頭の彦四郎は、現状を打開したくても立場やら身分やらが邪魔してどうにもできない袋小路にいたのでもだもだした。貧乏神も彦四郎の境遇に同情している風だったので、後半の彦四郎の凛々しさが強調されて良いなと思った。他人に対して積極的に酷い人間じゃないところが彦四郎の良さだったな。己が己がと言うのでなく、大義大局に自分がなにができるのか、悩みに悩んで悟りを開く彦四郎は主人公としてすんなりと受け止められた。ご都合主義すぎないストーリーが良かった。神様に可哀想がられて恩恵が与えられてハッピーエンドじゃあ、なんかモヤっとするなと思っていたので、彦四郎が自分で答えを出したところが好きだった。井上様はその後どうなったんだろうか…?

  • 2007年7月11日読了。

    「抱腹絶倒にして、感涙必至。」
    映画化が決まったと知ってから探しまくったんだけど、やっと見つけたのが劇場公開してからってどうよ。話題に上らないと誰も読まないとでも言うのか。

    幕末江戸。出世の道をしくじって実家に出戻った別所彦四郎。ふとしたことで見つけた「三巡稲荷」の祠に神頼みをしてみると、続々と出てくるは、貧乏神、疫病神、死神。ただでさえ不幸なところに度重なる災難。

    不幸の元となったところに貧乏神と疫病神を「宿替え」とはなかなかうまい手だとは思ったが、そのせいでやはり自分の周囲に及ぶ不幸。最後の死神を宿替えしない、逃げも隠れもせぬと決めた彦さんは、本当の漢だね。息子への言葉が涙を誘う。



    「限りある命が虚しいのではない。限りある命ゆえに輝かしいのだ。……」

  • 久方ぶりに楽しい本に出会ったカンジ。「限りあるからこそ輝かしい命」には泣けた。まさに抱腹絶倒にして、やがては感涙、男彦四朗!浪曲がごとき

  • 武士道が風壊した幕末においてさえ、信念を貫く彦四郎に憑神たちはほだされていく。神が人から学ぶ世の習いってのは、これぞ浅田節。

  • 江戸末期の下級武士の御徒士でありながら武士道を全うする別所彦四郎。人はこの様にありたい。

  • 最高。最近の読書でダントツ一番。とても面白かった。
    コミカルな部分には笑わせてもらいつつ、終盤では感動で泣いた。
    登場人物がみんないいですね。憑神達もさることながらイチオシは小文吾!修験者モードからいつもの鯔(ボラ)に戻るところがもうおかしくてたまらん
    「大扉から顔をつき入れたのは、賢そうな白馬と、それよりだいぶ賢くなさそうな村田小文吾の鯔のごとき顔である。」
    馬面に負ける小文吾。
    愛すべき馬鹿。
    あーとかーうーとかなむなむ言っている小文吾が修験者モードになるや知恵者のようにキリッとするこのギャップ、不覚にもきゅんとします。

    なんか最終的に小文吾のレビューになってしまいましたが、この本ぜんぜんキャラ萌えじゃないです。ストーリーが秀逸。

    中学生と歴史クイズしたら絶対負けるであろう日本史大嫌いの私なので、こういう小説は半分くらいまで我慢我慢なんですが・・我慢して読む価値があったと思わせてくれる小説でした。

  • 今回の憑神という作品ですが、映画化もされた作品です。

    主人公の武士にさまざまな神様が憑くという物語。

    それも普通の神様ではありません。

    貧乏神に始まり、疫病神、終いには死神まで・・・

    ちょっと可哀想と思っていまいましたが、
    主人公はめげず、時に神様に立ち向かい、時に人に擦り付けw、またある時は運命を受け入れる。

    ラストでは少しジーンと来てしまいました。
    個人的には好きな作品です。ぜひ読んでみてください!

  • 幕末の貧乏侍彦次郎。
    憑神にとりつかれながらも、より武士らしくなっていく。
    なんかいい話だった。

  • 軽快に読み進められる浅田先生の本。
    このタイプにハズレはないでしょうね。

著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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