- 本 ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101019291
作品紹介・あらすじ
40年ぶりに帰るふるさとで待っていたのは、初めて会う〈母〉だった――。大企業の社長として孤独を抱える松永徹。退職と同時に妻から離婚された室田精一。親を看取ったばかりのベテラン女医・古賀夏生。人生に疲れた三人が選んだのは「里帰り」だった。囲炉裏端に並ぶ手料理や不思議な昔話。母と過ごす時間が三人を少しずつ変えていく……すべての人に贈る感涙の物語。ふるさとを、あなたへ。
感想・レビュー・書評
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上京し、電車が1時間に1本あるかないかくらいの地元(ただ国道沿いではある)には年に2回絶対に帰りたい!と思っている自分にはとても刺さり、寂しくなってしまった。
ふるさとの景色の描写が素敵で、風景が目に浮かぶようだった。
もし似たような状況の人がいたらこの話は絶対刺さってしまうと思う。
おばあちゃん子だったが、おばあちゃんとこのお話に登場する母が似ていて…
元気なうちに会っていっぱいお話ししなくちゃ!とあらためて思った。
そして都会に住んでいたが、ふるさとは必要、自分にもあればよかった、と思う人も、実際年を取れば取るほど多くなるんじゃないかなと考えさせられた。
そこを突くようなサービスって今あるのかな?とも関心が持てた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
浅田次郎『母の待つ里』新潮文庫。
浅田次郎の作品自体は余り読んだことは無いのだが、行きつけの本屋で暫く品切れになるほどの人気作ということで気になっていた。余りにも気になっていたところ、隣街の本屋でたまたま発見し、購入した。
NHKのBS放送でドラマ化されるようで、それもあって売れているのだろうか。
作中に登場する相川橋は岩手県であることは間違い無いが、どこだろうか。東北新幹線で2時間余り、花巻の先、在来線に乗り継ぎ1時間余り、慈恩院、『〜なはん』という方言、ひっつみ、曲がり屋とヒントは多い。ひっつみと言う表現は岩手県でも旧南部藩のものだ。花巻の先ならば、曲がり屋で有名な岩手県の遠野か大迫、宮守辺りがモデルなのかも知れない。
タイトルからして訳あって、長年離れていた故郷に帰省するといった現実的な物語かと思っていたら、予想外のストーリーが展開する。社会的地位を獲得し、年会費35万円のユナイテッドカード・プレミアムクラブというカード会員となった還暦前後の3人が、カード会社からの一泊二日50万円のホームタウン・サービスへの招待で故郷に帰り、年老いた母親と一夜を過ごす疑似体験をするのだ。
都会の人にとっては田舎の故郷は憧れなのかも知れない。田舎暮らしが長く、今現在、限界集落のポツンと一軒家に住んでいる自分にとっては日常のことである。
帯には『感涙の傑作長編!』とあったが、それほどでもなく、こうした疑似体験がビジネスとして描かれることに寂しさを覚えた。
独身のままに大手加工食品会社社長まで登り詰めた松永徹は40年振りに故郷に帰り、年老いた母親のちよと一夜を過ごし、母親の手料理を振る舞われ、母親の寝物語を聞かされる。実の母親かと思えば、カード会社の企画ホームタウン・サービスの疑似体験だった。
退職と同時に妻から離婚された室田精一もまた、カード会社からのホームタウン・サービスへの招待で故郷に帰り、年老いた母親のちよと一夜を過ごす疑似体験をする。
親を看取ったばかりのベテラン女医の古賀夏生。彼女もまたカード会社のホームタウン・サービスを利用する。彼女もやはり年老いた母親のちよと一夜を過ごす疑似体験をするのだ。
本体価格750円
★★★ -
この本を読む切っ掛けは同名のNHKドラマを観たことだ。小説を読み終え忠実に再現されたドラマだった事を知る。
仕事人間として生きてきた松永徹はそれなりの地位には就けたが未だに独り身。
古賀夏生は父親を知らず母娘2人きりで生きて来て、その母を亡くして間もない医師。退職の日離婚を言い出され妻を失った室田精一。そんな東京1人暮らしの3人が故郷を求めて「同じ母」が待つ場所へ向かう。高額なお金で買うレンタル故郷、レンタル村人、レンタル母と言う大掛かりなアトラクションと知りつつも心を掴まれてしまう。様々なテーマを織り交ぜ真摯に語られていく。ゆ
感動的だった。
《2024.8.16 NHKドラマ鑑賞済み》
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とても久しぶりの浅田次郎、ゴツゴツした突拍子もないぶっ飛んだプリズムホテルにポッポやに変わらずの劇場。3人のそれぞれの回の切り替えが絶妙で、順番なわけではなくて、ヅラしが効いててさすがだなぁって。ホロホロと泣いたお母さんの場面でじんわりしたよう。メトロに乗ってとか何度も読んだけどまた読みたくなってるってこと
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40年ぶりの帰郷。訳ありの話なのだと思って読み始めると、それはプレミアムカードの会員のみが参加できる一泊50万円の究極のふるさと体験。村に到着すると現れる幼馴染、家で待っている母。優しいお母さんに心を救われて、演じている彼女も仮の子供達によって癒されているように感じました。ここを訪れた3人の物語。最後は涙、涙でした。
サークルの友達から勧められて手に取った一冊。NHKでドラマ化されていて、主演の宮本信子さんの演技が素晴らしかったそうです。再放送されないかなぁ〜 -
普通に郷里に帰る家族の話かと読み進めると、思いがけない設定に驚き。そのまま進むのかと思いきや、徐々にその裏側も明らかになっていく。
現実と物語を行ったり来たりするゲストとキャスト。お母ちゃんは聡明で自然で温かい。複雑な計算などなく本当に帰ってきた娘息子を迎い入れていたのだと思う。
久々の浅田次郎さん。やっぱり登場人物が魅力的で、それぞれの心情が垣間見える描写が絶妙。改めて好きな作家さんです。 -
浅田次郎さんの作品は大好きなものが多いが、この作品は自分にはイマイチだった。
あまりにも、設定がバカらし過ぎるのと、方言がすごく読みづらかった。 -
ひさびさに浅田作品を読んだ何と言っても設定が面白い、でも自分はふるさとがなくなって40年、架空のふるさとに帰りたいとは思わない、ふるさとがない人にとっては郷愁が欲しいのかも?
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生きることに疲れた大人のために用意された故郷。
そこには子供を優しく、温かく迎える母が待っていた。
だが、その故郷に帰れるのはプレミアムカードを持つ人だけ。
しかも一泊で50万もの費用が掛かる。
故郷の母を訪れたのは大企業の社長として孤独を抱える松永徹。
退職と同時に妻から離婚された室田精一。
親を看取ったばかりのベテラン女医・古賀夏生。
故郷で母親と過ごす時間は満ち足りたものだった。
では、現実の母親と過ごした時間はどうだったのだろうと思わざるを得ない。
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