雁 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101020013

感想・レビュー・書評

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  • この本を読んで無縁坂を歩いてみた。
    緩やかな情緒のある小道でこんなショートストーリーがよく似合う。
    下げが名残惜しく清々しい。

  • 末造が、お玉が、岡田が、「僕」が、みんな僕に降ってくる。いい小説です。

  • 直接言葉にしなくても、目と目を合わせただけで情熱的な恋ができた時代なんだな。
    物悲しい読後感がなんとも言えない。

    「僕」とお玉が相識になったきっかけと、その間柄について読者が興味を示すことを想定して、最後「読者は無用の憶測をせぬが好い」という文章で締めるところが粋である。

  • 細君が読み終わったので図書館に返す前に私も。まぁ言っちゃえばカゴの中の紅雀が自由に飛翔する雁にポーッとなるってお話なんですが……。

    文章がうますぎなのでさくさくと物語を楽しめちゃうんですけれど、しかし本を閉じてからジワリ恐怖させられました。だって鴎外さんぜんぜんお玉さんに寄り添ってないんだもん!

    しかも35年前のお話って『ノルウェイの森』かよ。春樹さんやってんなぁ! もちろんフィクション(?)なんですけどお玉さんの35年間を思うと辛すぎる。モデルいないですよね? っているんかい! っていうか末造のモデルがまさかの……。

  • 実は始まらなかった噺。

  • まだ子供の頃に「よろめきドラマ」なる言葉があって大人が使っていた記憶がある。
    今ならば「不倫物」というような意味だろう。
    森鴎外という文豪の作品に果たして「よろめき物」というジャンルを当てはめて良いものかと
    思いながらもその思いは拭えず読み進んだ。
    男親の暮らしのために大学の寄宿舎の小使い上がりの高利貸し末造の囲い者になったお玉が大学生の岡田に想いを寄せ、なんとかその想いを伝えたいと焦る。
    これだけを取り出せば「よろめきドラマ」としても成り立ちそうな気配。

    その気配を打ち消すのはやはり岡田の放った石で命を奪われた一羽の雁の出現だろう。
    あれは何を意味するのか。

  • 『森鴎外を読む』

    読みやすく入りやすい作品だった。以前読んだ森鴎外は辞書とにらめっこだったが、今回はほとんど辞書を引かずに読了。言わずと知れた名作。

    静かに狂う登場人物の思考に現代文学に欠けたカオス(明治時代にすでにカオスを使っているのには驚いた)を感じた。

  • 裏表紙では偶然性が推されてるが、偶然性というよりは物事の多面性が言いたかったことなのではないかと思った。
    人の数だけ見方があるから、身近な人のことですら理解するのが難しい。理解しようとすることしか出来ない。けど、それで良いのかな、思った。


    鷗外はプレイボーイだったってのがよく出てたと思う。笑

  • 話の構成も、お玉の心理描写もとても良く描かれている。

    のだが、どうしてものめり込めなかった。
    合わなかった。 で片付けたくない作品。
    暫く時を置いて読んでみたい。

    猪瀬直樹氏がある記事で、太宰、漱石ら比較して鴎外の作品は
    貧困をニヒリズムではなく、家長的な視点での生活臭を感じさせる
    と評していたが、初めて読んだ鴎外作品である本作からも、
    その一端は感じられた。 鴎外は女性視点の葛藤を描くのが上手いね。

  • 読みやすい。話の構成もうまい。最後、「お玉」が坂にたちつくす情景が印象的。

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著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森鴎外の作品

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