- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101020013
感想・レビュー・書評
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この本を読んで無縁坂を歩いてみた。
緩やかな情緒のある小道でこんなショートストーリーがよく似合う。
下げが名残惜しく清々しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
末造が、お玉が、岡田が、「僕」が、みんな僕に降ってくる。いい小説です。
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実は始まらなかった噺。
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まだ子供の頃に「よろめきドラマ」なる言葉があって大人が使っていた記憶がある。
今ならば「不倫物」というような意味だろう。
森鴎外という文豪の作品に果たして「よろめき物」というジャンルを当てはめて良いものかと
思いながらもその思いは拭えず読み進んだ。
男親の暮らしのために大学の寄宿舎の小使い上がりの高利貸し末造の囲い者になったお玉が大学生の岡田に想いを寄せ、なんとかその想いを伝えたいと焦る。
これだけを取り出せば「よろめきドラマ」としても成り立ちそうな気配。
その気配を打ち消すのはやはり岡田の放った石で命を奪われた一羽の雁の出現だろう。
あれは何を意味するのか。 -
『森鴎外を読む』
読みやすく入りやすい作品だった。以前読んだ森鴎外は辞書とにらめっこだったが、今回はほとんど辞書を引かずに読了。言わずと知れた名作。
静かに狂う登場人物の思考に現代文学に欠けたカオス(明治時代にすでにカオスを使っているのには驚いた)を感じた。 -
裏表紙では偶然性が推されてるが、偶然性というよりは物事の多面性が言いたかったことなのではないかと思った。
人の数だけ見方があるから、身近な人のことですら理解するのが難しい。理解しようとすることしか出来ない。けど、それで良いのかな、思った。
鷗外はプレイボーイだったってのがよく出てたと思う。笑