高円寺純情商店街 (新潮文庫 ね-1-1 新潮文庫)

  • 新潮社 (1992年4月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784101021126

みんなの感想まとめ

昭和のノスタルジックな雰囲気が漂う高円寺の商店街を舞台にした連作短編小説は、温かい人間ドラマと日常の細やかな描写が魅力です。特に、乾物屋を営む正一少年の視点を通じて描かれる家族との関係や思い出は、読者...

感想・レビュー・書評

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  • R3.6.30 読了。

     雨戸、土間、銭湯、蠅取紙などなど。昭和のノスタルジックな雰囲気のある高円寺の商店街の乾物屋が舞台の連作短編小説。「富士山の汗」「真冬の金魚」が特に良かった。温かくてほっこりする読後感がたまらない。
    巻末に「高円寺純情商店会 加盟店名簿(抜粋)」あり。こんな雰囲気の商店街を街ブラしたいなあ。

  • JR高円寺北口を出た所のアーケード街に架かっている純情商店街の横断幕がこの小説から来ていたとは知らなかった。両親と祖母と暮らす、乾物屋の正一少年の屈折した思いや日常の細やかな描写がとてもリアル。家業や父親への思いが真っ直ぐで素直な視点にドキッとさせられる。
    それにしても、あの頃の子供達は家のお手伝いが当然だったんだなと感慨深かった。

  • 教科書で「六月の蠅取紙」に出会った遠い昔のあの日から、いつか読もうと思い続けてやっと今回手に取った。
    素朴な乾物屋の日常も見ていて和むが、匂いや湿気までも感じられる丁寧な描写に触れて、ほっこり幸せな気分になる。

  • 昭和30年代後半の高円寺駅前にある商店街を舞台にした日常もの。
    中学生の主人公の周囲に起こる些細な事件を、人情をからめ軽妙なタッチで描いている。
    執筆時期はバブル期のため、時代感による読みにくさはなく、すらすらと読めた。逆にもう少し昭和感を感じたかったくらいだ。かつおぶしを削るシーンや、嫌な客が店先で粘る情景の細かさの描写の細かさががすばらしく参考になる。
    肩ひじ張らずに読めるので、リラックスしたいときにおすすめ。
    この小説のヒットにより、「高円寺銀座商店街」は「高円寺純情商店街」という名前に変わったらしい。

  • まさしく昭和の人情味を味わうための小説といったところ。
    家業の乾物屋を手伝う小学生の正一の視点で物語は描写される。父親の機嫌、母親の調子、隣に住む魚屋の娘ケイ子。子供特有の些細なバランスの歪みで自分のその時の立ち回りが変わりゆく素直で無力な姿が愛らしく読めた。

    高円寺にもこんな時代があったんだな。知らない時代でも懐かしく感じる作品だった。

  • 読んでいて心があたたかくなる。昭和の人情味あふれる商店街、行ったことないのに実家のような安心感。今もこういう雰囲気が残ってたらいいなぁ

  • 読み易い文章、とっつきやすい登場人物の皆さん。ほのぼのします。こういう商店街は昔、あちこちにあったんでしょうね。ウチの近所にもありました。懐かしいなぁ。

  • 主人公の「正ちゃん」は著者の中学生時代なのだろうか。
    多感な中学生といかにも昭和的な家族の様子は目の前に展開されるドラマのよう

    第一編「天狗熱」で乾物屋さんの息子の正ちゃんが粉かつおを作る場面の描写は秀逸。
    〜右手の指を広げてサッサッサッサッとこすっていく〜
    第二編「六月の蝿取り紙」は
    そのタイトルがなんとも詩的だなあ。
    今はほぼ見かけることのない蝿取り紙が、それを使ったことのある読者の視線を著者のそれと同機させてくれた。

  • あらすじ
    舞台は昭和30年代の東京。 高円寺北口商店街の「江州屋乾物店」の一人息子・正一は、中学生ながら家業を手伝う毎日である。 生活のために乾物屋に従事することを恥ずかしく思っている俳人の父親をはじめ、商店街に住むユニークな人々の暮らしが、江戸の名残りを留める下町情緒とともに描かれる。
    感想
    まさしく私は昭和37年高円寺北口で生まれ、商店街で遊び回っていたので凄い親近感があり読みました。幼少の思いでですが懐かしかった。

  •  読書力読書6冊目。

     ねじめ正一さんというと、昔テレビでお名前を見聞きした記憶がうっすらあるようなないような、程度にしか存じ上げない方だったのですが、なんとこの本で直木賞を受賞された、詩人でいらっしゃることを知りちょっと驚きました。なんで今まで知らなかったのかと。

     すっごくおもしろかった。しみじみ、良い作品だなぁと噛みしめています。なんかもうとにかく懐かしい。昭和の古き良き商店街が、ここにあります。江州屋乾物店の一人息子、正一くんが主人公。ねじめさんの自伝的小説だそうです。

     収録作は以下。
    天狗熱
    六月の蠅取紙
    もりちゃんのプレハブ
    にぼしと口紅
    富士山の汗
    真冬の金魚
    このタイトル群を見ただけで、懐かしい空気のにおいがしてきます。テレビドラマにもなったらしいのですが、もちろん知らなかったわたくし。配役を見て、どんなドラマだったか想像して楽しみました。

     乾物屋さんならではの朝食の描写が、まぁおいしそうでおいしそうで。〈母親が磨き、ばあさんがふかし、父親が削り、正一がふるった粉かつをに醤油をまぶしたおかかを箸でつまみ、あったかい飯の上にのせると、ぷうんとかつをのいいにおいがした。〉もうこれ絶対おいしいでしょ。ご飯何杯でもいけそう。これだけでお腹がすいてきちゃう。今度おかか買ってこよ。

     ということで、星5つにしたいのは山々なのですが、自宅のお風呂の改築工事中、10日間も入浴しなかった正一少年があまりにもキタナいので、星ひとつ減らしておきます。

  • 正一の目から見た商店街の姿が、ほのぼのとして、なんだか懐かしい感じでした。やっぱり昭和は最高だよ

  • 又吉直樹さんの書評エッセイ?「第2図書係補佐」で、この本が紹介されていたので、それで読んでみました。又吉さんの文章が好きなんですよね。で、又吉さんがオススメするこの作品、いったいどんなもんやろか?って気になりまして。

    うむ。良かった。これは、途轍もなく地に足の着いた小説だな、って感じ。宮部みゆきさんの文章に近いかな?って、勝手に感じました。すごく真っ当な、まさに、ありのままの世の中の「人間」を書いてるな、といいましょうか。うむ。とてもこう、まっとうな、文章です。好きですね。

    ねじめ正一さんは、もともとは、詩人だったんですよね。で、詩人から始まって、こんな「まっとうな」小説を書くのか!?というのは、なんだか、驚きでした。詩人が小説を書く、というと、なんだか、素っ頓狂な奇抜な不可思議な小説を書くのでは?って、勝手に想像するやないですか(しないか?)でも、詩人のねじめさんは、これほどに真っ当な正当な?文章の小説を、書くのか~、と。感慨深い何かを、勝手に、感じました。

    あと、ねじめ正一さん、落合博満さんのファンらしいんですよね。「落合博満 変人の研究」という、落合さん研究本?みたいなんも、書いておられるみたいで。そちらはまだ未読なのですが、僕も落合さんはウルトラ好きなので、是非とも読んでみたい本ですね、そちらも。って、これは「高円寺純情~」とは全然関係ない話題でスマヌ、って感じですね。

    昭和30年代の、日本の東京の商店街に、こんな日々が、マジであったんだろうなあ、って思わせるこの感じは、マジで素敵です。で、なんだろう。決して過去の郷愁を書いているだけでなく、なんだろう?なにかの「哀しさ」も、僕は、勝手に、感じました。ええ、勝手に。

    「この世界はもはや、喪われる事が、確定している」みたいなことを、予め知っていて、それを、ほんの微かに、作品の中に、にじませている。みたいなね。そんな気配。あの当時を極めてちゃんと思い起こしつつ描写している小説なのに、なんといいますか、未来の現時点での「喪失感」を、本当に微かに感じる、ような。気がする。その絶妙の感じが、なんだか、すごくこう、趣深いな、優しいな、ってね。なんだかね、思ったんだよなあ。

    自分の幼少の記憶で言いますと。ボットン便所。蝿捕り紙。ここらへんをリアルタイムで使用していた記憶は、微かにあるので、なんといいますか。それらの描写は、良かった。好きだった。

    2020年現在以降の日本の商店街の存在というものが、どういう方向で、進んでいくのか?そもそも、人々同士のかかわりあいかた自体、どうなっていくのか?それすらも、全く持って、不透明な現在。現代社会。で、ありますが。かつて、こうした商店街の姿は、こうした人々の営みは、確実に、あったのだ(そしてそれらの一部は、既に喪われてしまった)、ということを、どうにも感じさせる、見事な作品。だとね、なんだかね、勝手に、思いましたね。

    うむ。ええ作品でした。流石、又吉さんがオススメするだけのことはあるぜ、って思いました。

  • 小学生か中学生の頃教科書に載っていた「六月の蝿取り紙」が印象に残っている

  • 直木賞受賞作。商店街に暮らす人々の悲喜こもごもが、混じりっけのない、まっすぐな文章で描かれます。ほかほかのご飯を食べたような、隅々まで血が通っていく感覚がありました。

  • 文庫を読んでその解説を読むことはワタシは滅多にないのですが、たまたまこの文庫の解説は電車の乗車時間の関係で読んでみることにしました。秋山駿という人の解説です。小説の中での「描写」の大切さを述べておられました。村上春樹さんを読みだした頃、書かれてあるその描写が必要な描写なのかどうでも良い単なるお遊びなのかがわからなくて、ずいぶん困ったものです。
    ねじめさんの鰹節やハエ取り紙の描写も本当に素晴らしく、またそのことを気づかせてくれた秋山さんの解説も素晴らしく、とてもよい気づきができました。

  • 乾物屋の一人息子の少年目線で描かれる商店街の人々に独特の温かみがあって心地好い。知人カップルの彼女にどぎまぎしても嫌らしくなく、化粧品店の開店で母と祖母が楽しくお洒落に気を使うようになる様子も微笑ましい。暫く振りで銭湯に行く章はとぼけた可愛さの反面濃密に書き込まれた不潔さに気分が悪くなりそうだった。

  • 内の実家の林野の商店街も小学校低学年の頃は小規模ながら、こんな感じだったかあ~と、当時読んでいた記憶。

  • 先月から高円寺に住み始めて、とりあえず読んでみた。
    特に並みのあるストーリーがあるわけではないけれど、ませているのかあどけないのかわからない中学生の目線から見えてくる高円寺の話は、日常的であるが故に面白い。
    今の高円寺でも庚申通りあたりにはこの頃の雰囲気が残っているのかな~なんて思った。どうなんだろうね。

  • 小学校の教科書に出ていた話を
    今更になってフルで読んでみました。

    教科書は6月の蠅取り紙の部分だけだったと記憶していますが、
    乾物屋の息子の冷静だけど少年の心がにじみ出る
    感じが面白いです。
    筆者は小説を初めて書いたといった
    あとがきがあった気がしましたが、そんな感じは全く受けませんでした。
    高円寺の商店街の生活にすーっと入っていけます。

    中高生でも読みやすい作品です。



  • 昭和30年代頃の高円寺の商店街を舞台にした一冊。
    オールウェイズ3丁目の夕日的な感じかな。
    乾物屋の息子である中学生の男の子を中心に、商店街の日常を描写。
    起承転結があるわけでなく、ただただひたすら日々起こる日常を描いている。
    近年だと、小路幸也氏に近いかな。
    もともと、詩人の出だというから納得な気もする。
    なんとなく、子供の頃の夏休みを思い出させる温かい一冊でした。

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著者プロフィール

ねじめ正一
1948年東京都生まれ。詩人、作家。 
詩集『ふ』(櫓人出版会)でH氏賞、『高円寺純情商店街』(新潮社)で直木賞、『荒地の恋』(文藝春秋)で中央公論文芸賞、『商人』(集英社)で舟橋聖一文学賞、『まいごのことり』(佼成出版社)でひろすけ童話賞、『ひゃくえんだま』(鈴木出版)でけんぶち絵本の里大賞びばからす賞を受賞。
主な児童作品に『ぞうさんうんちしょうてんがい』(くもん出版)、『ずんずんばたばたおるすばん』(福音館書店)、『みどりバアバ』(童心社)など多数ある。

「2022年 『たんていベイビー きえたヤギのおばあさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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