- 本 ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101022710
作品紹介・あらすじ
16歳で両親が事故死し孤児となったりつ子は、絶縁状態だった父の生家・財閥の玉垣家に引き取られる。贅沢な生活を送りながらも常に〈よそ者〉でしかない孤独感を紛らわすかのように勉強に励み、東大に合格。卒業後は名家の御曹司と結婚し、双子を出産する。すべてを手に入れたりつ子が次に欲したのは、子どもたちの成功だった─。永遠にわかりあえない母娘を克明に描き出す圧巻の長編!
感想・レビュー・書評
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いや、もうあっぱれ!本当に粘着質で偏執的で自分勝手な母親だけど、ここまでくるとなんだか尊敬するわ。
母親にとって子供は自分の一部だなんて言われるけど、ここまで子供を私物化して思うままにコントロールしようとする人って実際にもいるんだろうか。いや、きっといるんだろうな。それこそ子供からしたら親ガチャ大はずれだよね。
子供は親を選べないし、親を捨てられない。そもそも親を捨てようと思える年齢になる頃にはどっぷり洗脳されちゃって逃げられないんだろうね。
あー怖かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても面白かったです。
りつ子の子供への執着心や情熱は人一倍の苦労を重ねてきたりつ子が自分自身を守るためにとった行動だったのではと感じます。
りつ子の力強さと情熱に最後は敬服させてれます。 -
めちゃくちゃ面白い。そして怖い。
何が怖いかって、自分もりつ子のような母親になるんじゃないかと思ってしまうところ。
りつ子の娘への異常な執着、本人からすれば娘のためを思った愛情の結果なんだろうな。子供は母親の作品だと言ってしまうのは異常だとわかる。
わかるけど、りつ子の行動が理解できてしまう。だから怖い。
もちろん、子供の頃は母親から愛されたくて傷ついている娘の星良が、自我が目覚め、母娘の閉ざされた世界から大きな世界へ出ていくと、母親の干渉が嫌で嫌で仕方なくなるのもよくわかる。
母と娘って、母と息子や父と娘よりもこじれやすいのかな。
私も、自分の親みたいになるのが嫌だし、愛せるか自信がないし、むしろ虐待しないなんて言えないから子供は欲しくない。どうしてみんな抵抗なく親になれるのかと最近まで思っていた。今も思っている、が正しいかな。
夫はいまいち理解できないみたいだったけど、
私が母親としてまともじゃなかったら絶対に指摘して!離婚してでもいいから子供を守って!という約束をして出産した。
毒母ではないと思いたいけど、その危険性はあるから気を付けないとと思っている。
親子でも、他人。
あなたのためよ、というのは嘘。全部自分のため。
私の好きなことが娘の好きなこととは限らない。
愛情と支配をごっちゃにしないこと。
改めて肝に命じようと思った。あー怖い! -
タイトルにひかれて、図書館で借りた。
面白すぎる
何よりも私の大好きな城山三郎の「素直な戦士たち」を彷彿とさせる。
そして、あとがきを読んだら、精神科医の斎藤環さんがまさに、その小説を挙げていた。
母親の子供への行きすぎた期待は普遍的な問題だったりするのかな…。
胃がキリキリする本だけど、リアルで、夢中になって読んでしまった。 -
母娘関係を扱ったもの、最近多いな。これは昭和の受験戦争を行きぬいた母が、わが娘にもお受験を無理強いし、最強の毒母になる物語。
最近、毒母ってとても悪者扱いされて、新書とかでは「母を棄てるべし」みたいなのも目にするし、有名人が実は私の母は毒母でしたと告発(?)する例もある。この小説でも、主人公の毒母ぶりは最悪に違いない。しかし毒母ぶりを描いているだけの小説なのになぜか、主人公”りつ子”が”母”でなく、一人の女性であったならば、決して悪い人間ではなく、美貌をそなえ、賢く、自律しており、人に流されず、一生懸命に努力して生きてきた強い女性なので、「なんてヒドイ母親なんだ!」とは思えなくなる。そこが小説の醍醐味かな。
最後に「毒母ですが、何か」と開き直るところは、題名なんだからそう来ることは分かっていたにもかかわらず、「面白い!」と思った。 -
16歳で両親が事故死し孤児となったりつ子は、絶縁状態だった父の生家・財閥の玉垣家に引き取られる。贅沢な生活を送りながらも常に〈よそ者〉でしかない孤独感を紛らわすかのように勉強に励み、東大に合格。卒業後は名家の御曹司と結婚し、双子を出産する。すべてを手に入れたりつ子が次に欲したのは、子どもたちの成功だった─。永遠にわかりあえない母娘を克明に描き出す圧巻の長編!
文章自体は簡単、ストーリーもサクサク進むのですぐに読めるが・・何というかここまで自分の思い込みを実行出来るりつ子はある意味たいしたものです。
なんだかんだかで毒親だけど過干渉だけどちゃんと教育受けさせてご飯つくってこれだけでもずいぶんと立派だと思うんだが・・・
子供に対しての脅しがいかんのか? -
東大を出ても、活かされないとは。毒母は、母私のがそうだったとも言えるし、自分がそうだとも言える。目の前の幸せを認めることの難しさ。
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イヤミスとまではいかないけれど、読後感がなんともといった作品。決して作品が悪いわけではなく、あまりにも現実的な作品だと感じ、なかなか読んでいて厳しい。舞台設定は昭和ではあるが、現代にも十分通じる内容。
親が子どもに過度の期待をしてしまうのはよく聞く話であり、我が子可愛さがあるので仕方ない部分もある。しかし、それがずっと続くようでは子どもとしても窮屈。親としては一生懸命子どもに尽くしているのに、周囲はなかなか分かってくれない。逆に子どもからすると、いわゆる毒親と言われる存在になってしまう。そうなってしまうと、永遠に分かり合うことはないのだろうなと思う。そうした親子関係を描いた長編。 -
最後の一言に、衝撃
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読みやすく面白かった
こんな母親どこかにいそう
そして表に出さなくても心の中ではこんな毒親 母みたいな感情を持っている人はいるんだろうなぁーと
娘の毒親への手の切り方がスッキリ
著者プロフィール
山口恵以子の作品





