白痴 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 269
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101024011

感想・レビュー・書評

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  • 坂口安吾読んでみたかったんだけど,私には難しかった.
    もう少し歳とってから読み直してみよう.

  • 引用 頁六一〜 

    「私はあなたを嫌っているのではない、人間の愛情の表現は決して肉体のものではなく、人間の最後の住みかはふるさとで、あなたはいわばそのふるさとの住民のようなものだから、などと伊沢も始めは妙にしかめつらしくそんなことも言いかけてはみたが、もとよりそれが通じるわけではないのだし、いったい言葉が何者であろうか、何ほどの値打ちがあるのだろうか、人間の愛情すらもそれだけが真実のものだという何のあかしも有り得ない、生の情熱を託すに足る真実なものが果たしてどこに有り得るのか、すべては虚妄の影だけだ。」

    頁一六四〜 
    「私は女が肉体の満足を知らないということの中に、私自身のふるさとを見出していた。満ち足りることの影だにない虚しさは、私の心をいつも洗ってくれるのだ。私は安んじて、私自身の淫慾に狂うことができた。何物も私の淫慾に答えるものがないからだった。その清潔と孤独さが、女の脚や腕や腰を一そう美しく見せるのだった。」

  • いくつかの短編でできています。
    中でも『青鬼の袴を洗う女』に綴られている、込み入った、それでいて淡白な文章がたまらなく好きです。戦争経験者ではないけれど、戦時中の生々しい雰囲気がそこはかとなく伝わって来て、面白かったです。

  • 2017年12月10日に紹介されました!

  • 戦中戦後という特殊な時代状況が舞台であるとはいえ、それにしても、男と女の造型、息遣いがとっても生々しい。それまでの近代文学では読んだことのないもので、刺激的であった。
     7編の短編を収録。「いずこへ」では、女に付随する所帯じみた感じのうっとしさが、描かれる。わかる気がする。一方、表題作「白痴」では、言葉もろくにしゃべれず押入れに潜んで脅えている女に、男はいじらしさを覚える。
    男の傲慢さがあり、優しさがある。
    男が女に対して甘い愛の言葉をささやく、という恋愛小説よりも、自分は、こうした、いわば女に媚びない、つべこべ言わせない感じのほうが、好みのようだ。
    以前モーム『月と六ペンス』を読んでいたく気にいった。ストリックランドのぶっきらぼうで豪放磊落な生き方と、どこか同じにおいを感じ、“そうか僕はこういう世界が好みなのか” とふと思い至る。そういえば、同じく好んで読んできた中上健次の作品世界も、少々その傾向があるわ。

     ドストエフスキー「白痴」読了後、“はくち繋がり” で読んだ。 

  • 昭和の時代において、いや、現代にとってもこのような作品を排出するのはとても勇気がいりそうな感じ。特に戦争と一人の女はかなり不謹慎で、戦争を体験していなければ考えつかない心情だし、経験していない自分にとっては共感しにくい。だけどこんな感情を持つ人は少しはいたはずだし、そういう意味で人間という生き物の新しい発見でした。登場する女性は「青鬼の褌を洗う女」以外はどこか変な人ばかりだが、それを客観的にみる側にも変であり人間の赤裸々な内情が彫りだされています。支離滅裂感のある作品もあり「青鬼の~が顕著」途中でいい加減な気持ちになるが、読み返して楽しむ類の本かとも思う。

  • 七編から成る本だけど、最初の五編を読むのに2週間くらいかかった。
    あとの二編は女性視点で書かれているためかぐいぐい読んで、面白くてもういっかい読んだ。なのでこの二編についての感想になるけど、愛情に関して、精神的なものと肉欲的なものの捉え方がとても腑に落ちるなあと思った。

  •  坂口安吾という人は天才だ。文章が本当に美しい。誰もこのような形で戦争や生活を描けないと思う。美しいのだけれど感情が爆発している。なんというか、書きなぐっている感じがする。だけれどその文章の優れた部分に誰も太刀打ちすることができないように思う。精緻を重ねた文章では恐らくないのにも関わらず、だ。
     まるでのんべんだらりとしている浮浪者の体の男が、オリンピックの会場で堂々と金星を挙げている趣がある。重ねていうが、この人はやはり天才なのだろう。
     表題作の「白痴」には、どこか清々しい匂いが漂っている。文字通り白痴の女と、空襲に生活を追いやられる一人の男を描いた作品なのだけれど、爽快感がある。読んでて気持ちが良い。これって、すごくないですか?

  • 【速読】どんな調子で書いてあったかな、というざっと読みでの確認です。

  • 戦慄が走る

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著者プロフィール

1906年、新潟生まれ。評論家、小説家。おもな著作に『風博士』『堕落論』『白痴』など。1955年没。

「2019年 『復員殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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