白痴 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 266
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101024011

感想・レビュー・書評

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  • 代表作「白痴」の他7編。

    キチガイ男に嫁に行った白痴の女。
    その女が突然主人公の押入れに現れる。
    旦那に見つかる事を恐れつつ、それでもなお女を隠し続け、戦争の空襲に襲われながらも、女を背負って逃げる。

    「この人は何がしたいのだ?」と読んでいて思わされたが、なんとなく「自分だけの女」が欲しくなる男の気持ちも分かる気がする。

    しかも自立した女じゃなくて、自分がいなければ生活そのものが成り立たない位、自分に頼りきりになる女。

    これは男性特有の欲求なのか、戦争中という時代背景のなせる技なのか分からないけれど、空襲を生き延びた二人の今後が気になる。

    他の作品はどれも身持ちの悪い女の話ばかり。
    「デカダン派」って良く分からないけれど、頭の悪い人たちばかりね。

  • 論理的で冷静な文体の筆頭と崇めていたが、雑で荒れて飛躍省略説明不足が頻出し、読むスピードを度々遅らせられた。主人公の混乱と狂気を文体でも現す、くらいのことは朝飯前の先生なので、この深読みもあながち誤っていないかもしれない。

  • 初めての坂口安吾。想像していた以上に読み易かったです。
    戦時中の様子がサラッと表現されていました。
    「堕落論」もぜひ読んでみようかと。

  • 戦中・戦後の退廃した世の中をすこぶる美しく描いている。モノクロの映画のように、淡々と。ゆったりと。堕落した生活から、何をみるのか。何を感ずるのか。

  • 堕落と退廃の匂いのする情景。表題作の「白痴」は、生きることの限界を克明に描いた作品。いよいよ空襲が近づいて、逃げないと死ぬそんな時、練り歯磨きだの石鹸だのに気をとられている。そういうあべこべな描写が迫真に迫っている。
    焼けた町を逃げ延びた男は、逃げ切ってなにもかも失う。何もかも。文字通り、寝床や歯磨き粉ばかりでなく感情までも根こそぎに。
    紙屑を捨てるのさえ捨てる気力がいる、が、それすらない。と思うほどに。

    戦争に巻き込まれ何もかも失ってしまう、だから戦争は酷いものだと読めばいいのか、いや、違う。
    戦争ではなく、人間なのだ。描かれているのは。
    絶望し、夜が明けないうちに物語は終わる。しかし男は「歩き出そう」と考えている。その一歩を、そのはるかな夜明けを読者に想像させる安吾の表現力が素晴らしい。

  • 面白かった。人間の本質について。

  • 一文一文がとにかく迫力があってかっこいい。痺れる。
    戦争についての記述からみても、人物の感性からみても、一般とはかけ離れていたのだとわかる。

    一家に一冊ほしい。買おう。


    しかし「母の上京」では声が出た。

    「ナアさん。お恨みは致しません。運命ですわねえ。あたくし、こうして、おそばに坐っているだけで、しあわせですのよ。」
    この本に出てくる誰よりも貞淑で美しい女性です。

  • 戦後という時代背景を考慮すると、もうこういう作品を書ける作家は、日本には二度と現れないであろうと考えられる、それくらいには「リアリティ」がある作品集。戦争と男と女を、これでもかというくらい丸裸にした、刺激的な本でした。

  • ニヒリズムについて興味をもった。
    いずこへが一番気に入った。
    考える気力がないので次の本を探しに行く。

  •  表題作『白痴』は大して面白くなかったですが、それ以降の収録作、後半に行くに従ってどんどん面白くなります。『いずこへ』はまあまあ、『白痴』はそうでもない、あと全部面白い。出てくる「女」のモデルは三千代夫人。
     個人的にものすごく好きなところは『青鬼の褌を洗う女』の墨田川(エッちゃん)のくだり。あ、そう書いてて気付いたけど、もしかしたらエッちゃんって安吾本人がモデルなんだろうか。相撲好きだし…。
     エッちゃんのくだりもそうだけど、安吾は小説中で急にエッセイが始まる、挿入されてるところが面白いです。

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著者プロフィール

1906年、新潟生まれ。評論家、小説家。おもな著作に『風博士』『堕落論』『白痴』など。1955年没。

「2019年 『復員殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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