不連続殺人事件 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 139
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101024035

作品紹介・あらすじ

探偵小説を愛し、戦争中は仲間と犯人当てゲームに興じた安吾。本作は著者初の本格探偵小説にして、日本ミステリ史に輝く名作である。その独創的なトリックは、江戸川乱歩ら専門作家をも驚嘆せしめた。山奥の洋館で起こる殺人事件。乱倫と狂態の中に残された「心理の足跡」を見抜き、あなたは犯人を推理できるか? 自らの原稿料を賭けた「読者への挑戦状」を網羅。感涙の短篇「アンゴウ」特別収録。

感想・レビュー・書評

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  • 角川からも文庫が出ていたけれど去年新潮文庫から出た新しいほうを。こちら昭和22年からの連載当時に、安吾自身が真犯人を当てた読者に懸賞金を出すという豪華企画があったそうで、太っ腹だなあ。連載当時の「読者への挑戦状」も各話ごとに収録されている。楽しそう。

    それにしても登場人物がとにかく多い。しかも人間関係が複雑で、情報量の多さをどう処理するかが読者としては大変。できるだけ一気読みしないと、誰が誰のなんだったか関係をすぐ忘れてしまう(それは私がおばちゃんだから)

    語り手は作家の矢代。探偵役は、矢代の弟子である巨勢博士。矢代は友人で詩人の歌川一馬の邸宅に招待され妻の京子と訪問するが、この京子は、一馬の父親で大金持ちの歌川多門の元・愛人。一馬の現在の妻・あやかは、画家の土居光一の元妻、一馬の妹・珠緒は奔放で、嫌われ者で下品な作家の望月王仁ともデキている。一馬の元妻で女流作家の宇津木秋子は現在は作家の三宅木兵衛と再婚。

    さらに屋敷には、歌川多門の妹夫妻とその娘でブサイクな千草、多門が使用人に手をつけて産ませた美貌の娘・加代子も同居、この加代子は腹違いの兄・一馬に恋している。さらに屋敷には弁護士の神山夫妻、お抱え医者の海老塚、愛想のない看護婦・諸井琴路らがが我が物顔で出入り、料理人や使用人も数人。そこへ一馬らの友人である他の作家や女優やら大勢がやってきて、三十数人が集まったところで殺人事件勃発。

    登場人物を覚えるだけでせいいっぱいだった私は誰が犯人かはほとんどわからなかった。というか、犯人と動機の目星はついても、実行手順について整理して説明するのはちょっと面倒という感じ。しかし読者に謎解き懸賞をかけてるだけあって、ちゃんと書かれている内容から推理すれば正解にたどりつけるようになっているので、突然読者の知らない登場人物や情報が後だしで出てくるようなことがなく、とても良心的。おかげで自分で犯人を当てるまでの熱意はなくともゲーム感覚で楽しめて気持ち良く読み終えられました。

    余談ですが1977年に映画化されたとき、土居光一は内田裕也だったんですね。妙な説得力。見てみたい。

    ※収録
    不連続殺人事件/アンゴウ/対談:戸川安宣・北村薫

    • 淳水堂さん
      こんばんは!
      こら昔読みましたが、無茶苦茶で面白かったですよね。
      登場人物たちがワケアリ過ぎて、殺人が事件におもえないくらいというか(笑...
      こんばんは!
      こら昔読みましたが、無茶苦茶で面白かったですよね。
      登場人物たちがワケアリ過ぎて、殺人が事件におもえないくらいというか(笑)
      2019/04/08
    • yamaitsuさん
      淳水堂さん、こんにちは(^^)
      そうなんですよね、登場人物の多さと、そのキャラの濃さ、関係性の複雑さに気を取られて、事件が頭に入って来ない...
      淳水堂さん、こんにちは(^^)
      そうなんですよね、登場人物の多さと、そのキャラの濃さ、関係性の複雑さに気を取られて、事件が頭に入って来ないという…^_^;

      犯人分かってしまえば、いたってシンプルな事件なのに…
      2019/04/09
  • 犯人当てゲームに特化した話。
    派手なトリックとか探偵の大活躍とか期待してると、あれ?とか思うかもしれないけど、作者が『ミステリはヒントを読者にも見える形で正々堂々と書いてちゃんと犯人をあてられるようにしてある論理的なのが一番良い』みたいな考え方の人なのでそういうところを目指した作品としてはすごく面白いと思う。
    些細なこととかあれは何か関係してたのかな…みたいなとこが全部ちゃんと考えられて書かれてたってことが最後わかるのですごいなぁと。
    犯人を知ってる状態でもう一回読みたくなる。

    最初は登場人物の多さと、やたらと入り乱れた関係性についていけなくてなかなかノれなかったけど、それに慣れてきて事件が起き始めたあたりからはテンポもよくなって読みやすかった。

    この新潮社版には登場人物表がついてたのが本当にありがたかった。これがなければさらに覚えにくかったと思う。
    安吾から読者への挑戦状も載ってて面白かった。

    他に『アンゴウ』と、戸川さんと北村さんの対談が載ってるのも良い。

  • 坂口安吾が推理小説を書いていたことなどつゆ知らず。「乱歩も清張も驚いた」という帯につられて購入。トリックを使ったミステリーではなく、何がなぜ起きているのかが全然分からないまま物語が進んでいく。登場人物の発言や行動の中にヒントがあり、そこから事件を解決していくというスタイルは独創的で面白かった。時代的なものもあるから仕方がないとは思うが、女性や障害者への差別表現が多々有り、この時代に生きていなくて本当に良かったとも思った。

  • 突飛な展開もあっと驚くトリックもないのに、こんなに読ませるってさすが……

  • 「不連続殺人事件」は昭和二十二年~二十三年に雑誌連載された作品。
    登場人物が多く、関係が入り組んでいて、前半は読みにくかった。登場人物の人間関係はおどろおどろしいが、謎解きゲームの感覚で淡々と読み進められた。所々に挿入されている「読者への挑戦状」という著者のメッセージも、遊び心満載で面白い趣向だと思う。読んでいて、種明かしされるまで犯人は分からなかったし不自然なオチじゃなかった。そういう意味で良くできたミステリーなんだろうな。ただ、特に感動する話じゃなかったな。
    巻末に収録されている短篇「アンゴウ」の方が感動的かも。

  • 読了。
    坂口安吾が初めて書いた推理小説。江戸川乱歩などに絶賛された本書ではあるが、とにかく文章が読み辛い…。当時としては軽妙洒脱な語り口だったのかもしれないが、現代人からすると全くリアリティの無いやりとりであり、それ故に登場人物に感情移入することが全く出来ない。しかも、(トリックの要諦なので仕方ないけど)登場人物が多すぎて、登場人物一覧とかないと途中で訳が分からなくなる。個人的には犯人も「あー、やっぱり」って感じでイマサンでした。。。

  • 正統派ミステリを久々に味わった気がする。安吾さん初読みでした。読みやすい。

  • 安吾は堕落論と桜の木の下しか読んだことなかったんで、推理小説書いてんのか〜!と今頃知りました。
    しかしブンガクしてない!(笑)
    というか、古い推理小説てなんか文体、登場人物がやたらデカダンで変なしゃべり方するの多いよね?(ざっくりしたイメージ)
    最初はどうも読みづらかったけど、進むうちにおもしろくなってきました。

  • すっかりだまされてしまった。推理小説慣れしていないので勘弁してもらいたい。面白かったが登場人物が多いので関係性を図に書きながら読まないと伏線を見落としてしまうかもしれないですね。古典的名作というが書きっぷりは確かに昭和だけれどこの内容はワタシ的には新しい。坂口安吾ってあの桜の森の満開の下の人だよね。

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著者プロフィール

新潟市生まれ。1919(大正8)年県立新潟中学校に入学。1922年、東京の私立豊山中学校に編入。1926年東洋大学大学部印度哲学倫理学科に入学。アテネ・フランセに通い、ヴォルテールなどを愛読。1930(昭和5)年同校卒業後、同人誌「言葉」を創刊。1931年に「青い馬」に発表した短編「風博士」が牧野信一に激賞され、新進作家として認められる。歴史小説や推理小説も執筆し、文芸や時代風俗から古代歴史まで広範に材を採る随筆など、多彩な活動をした。

「2018年 『狂人遺書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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