不連続殺人事件 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 711
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101024035

感想・レビュー・書評

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  • 2冊目『不連続殺人事件』(坂口安吾 著、2018年9月、新潮社) 1947年から48年にかけて雑誌「日本小説」に掲載された、名作と名高いミステリーの古典。ストーリーテリングよりも犯人当てゲームとしての側面を強く押し出した一作。犯人と殺害方法をピタリと当てた読者に、著者自らが実費で賞金をプレゼントするという趣向には、豪放磊落な安吾らしさを感じずにはいられない。 同時収録されている短編「アンゴウ」は、感涙必至の超名作。 「十八カラットのダイヤかなんか差上げたいが、ないからダメです。」

  • 何かの解説で出てきたので興味湧き読んでみました。時代の背景もわからず文体も難しく読みにくかったが、最後の推理は見事で、なるほどと納得。登場人物の奇妙な人ばかりというのトリックの1つ。参考にした人は多いんだろうな。この時代、こんな人ばかりじゃないよね。。

  • 登場人物が多いし、過去の人間関係が複雑すぎて
    何度も何度も最初のページに戻って読み返さないといけないので読んでいて疲れた。

  • 昔ながらの文学青年たちのつどい、というか時代背景を考えると作者たちの近くのコミュニティがこんな感じだったのかなーと思うと生々しくて良い。
    トリックは凝ったものではなく犯人もおよそ想像ついてましたが、出てくる人々皆怪しい(読者に聖域を作らせない)状況をギリギリまで引っ張るのがさすが。

  • 何ていうか…、登場人物のクセが強すぎて。
    この時代の人がみんなこんなわけじゃないよね?この時代の作家とかが、みんなこんなわけじゃないよね?
    ちょっとのことで、激怒しすぎで怖いわ。
    ちょっとケガするくらいの暴行は、傷害致死とかで捕まらないの?

  • 安吾の推理小説、はじめはその奇妙キテレツな人物の見本市を面白く読んだが、次第に登場人物と事件の関係におっつかなくなり、飽きてしまった。やっぱり、推理小説は苦手だな。会話などは相変わらず安吾で面白いんだが。しかし、海老塚の発狂シーンは白眉だった。

  • 本屋さんに置いてある小冊子「カドフェス2021」に掲載されていた本。著名な作家である著者がミステリーを書いていたことに興味がわいて手に取ってみる。
    人里離れた山奥の邸宅に、性格の変わった文化人の男女が集まり、次々と殺人事件が起きていく。本作が発表された時代なのか、登場人物の歪んだ性格の描写のためか、今では差別用語の連発に驚く。
    「木の枝は森に隠せ」の言葉のように、犯人たちは目的の殺人を達成する前にカモフラージュとなるように犯罪に手を染めていく。殺人の動機や実際にとった犯罪行動に突っ込みどころがあるかも知れないが、探偵役の巨勢博士が犯人を炙り出す最後の独白で、犯人同士の大喧嘩に違和感を感じ疑問を膨らませた点はなるほどと合点した。
    第2回探偵作家クラブ賞受賞作。昭和22年9月から翌8月まで雑誌「日本小説」に連載。

  • 初坂口安吾でした。
    独特でレトロな文章ですね。
    そして登場人物多すぎ&癖がすごい
    坂口安吾の周りの作家や芸術家はこんな人ばかりだったのかな?と想像してしまいます(笑)

    犯人は特に驚きはなかったけど
    終わり方も独特だわー

    1番面白かったのは巻末の安吾年表の17歳
    「父親の自伝を読み、そのスケールの小ささを知って軽蔑の念を抱くようになる」
    この一文が笑えました



  • 「不連続殺人事件」は昭和二十二年~二十三年に雑誌連載された作品。
    登場人物が多く、関係が入り組んでいて、前半は読みにくかった。登場人物の人間関係はおどろおどろしいが、謎解きゲームの感覚で淡々と読み進められた。所々に挿入されている「読者への挑戦状」という著者のメッセージも、遊び心満載で面白い趣向だと思う。読んでいて、種明かしされるまで犯人は分からなかったし不自然なオチじゃなかった。そういう意味で良くできたミステリーなんだろうな。ただ、特に感動する話じゃなかったな。
    巻末に収録されている短篇「アンゴウ」の方が感動的かも。

  •  1947(昭和22)年から1948(昭和23)年に連載された、坂口安吾の本格推理小説。
     学生の頃、安吾の初期小説やエッセイにはまっていたのだが、ちくま文庫の坂口安吾全集が絶版になってしまったため、より後年の著作は読んでいない。
     坂口安吾はミステリを読むのが大好きで、犯人当て推理なんぞも楽しんでいたそうだ。そんなミステリ好きが書いた、本当にミステリらしいミステリとなっている。
     冒頭の1章が長く、ここに大量の登場人物が次々に登場して辟易させられる。そして、その人物たちの無軌道な性の乱脈ぶりや、互いに攻撃し合う猛々しさに驚く。なんだか凄まじい世界を描いている。安吾、暴れているなあ。
     私のメモリー回路のキャパを遙かに上回る大量の人物たちとその人間関係に幾らか混乱させられたが、途中から次々と殺されてゆく。ここでは何と8人もの殺人が起きている。そのへんもちょっと事件が多すぎる嫌いがあり、最後の解決編は、果たしてこれで全部解決したのだったかな?と、心配になった。
     読んで面白い小説ではあるし、安吾がこんなのを書いたということ自体も面白いと言えるだろう。

著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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