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本 ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784101024226
感想・レビュー・書評
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かつてクロワッサンに連載されていた、児童文学のふりをした大人の小説。主人公は昭和30年の山口県防府市で暮らす9歳の新子。作者の高樹のぶ子さんは昭和21年山口県生れとのことなので、まんま主人公と重なる。その影響もあってかディテールの描写が素晴らしく、高い解像度を持って当時の暮らしが蘇る(いや、知らないんですけどね)。お金持ちの友達の家の電気冷蔵庫に驚き(新子の家の冷蔵庫は上の棚に毎日氷屋が氷を運んできて入れてくれる)、子供部屋のベッドに驚き(ベッドなんて病院でしか見たことない)、本棚の『小公子』や『ハイジ』に驚く。多くの人々はまだまだ貧しく、貧富の差は激しい。昭和30年は西暦で言うと1955年。と言うことは第二次世界大戦後わずか10年しか経っていないのだ。しかし、どんな状況でも子供たちは成長する。そこに悲壮感や悲惨な感じはない。
キラキラとした子供時代を描いた本作は、成長する子供達の普遍性を掬い上げたような、万人に読んでいただきたい名作です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
印象的な場面や言葉が山ほどある。
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日本の「赤毛のアン」云々さえ書かなかったら、もっとあっさり読了出来たのだが、その一言が余計なばかりに、あれこれと比較されてしまうはめになっている。
ジブリなどが人気の出ないアニメ映画に作り上げそうな感じだね。 -
唱和30年の、田舎に住む9歳のお転婆娘・新子の日常と成長を描いた作品。
雰囲気としては「となりのトトロ」でしょうか。はっきり言って地味な作品です。なかなかこうした小説を楽しめるという人は、特に若い人には少ないのではないでしょうか。
ただ、子どもを描いた作品にありがちな、「甘ったるさ」はありません。新子が感じている世界はひたすらに無邪気できらきらしているのだけれど、世界の「残酷さ」といったらいいのでしょうか、容赦のなさも同時に描かれており、その対比に私は悲しさを感じます。
他者にやさしく、両目をいっぱいに広げて世界を見る新子が、いずれこうした世界の中で生きていかなくてはならないのかと思うと感傷的になってしまうのですが、それは私自身がそうした世界に立ち向かう勇気が足りていないからなのでしょうか。 -
映画では描かれていなかった新子ちゃんの日常。夏休みにぴったり。
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「当たり前」を知らなかった頃を思い出し、羨ましさを感じました。
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昭和三十年の周防にて暮らす九歳の少女・新子の瑞々しい短編集。
祖父の小太郎とはとある秘密を共有し、クラスメイトのシゲルや喜伊子、妹の光子といった子供達と賑やかに過ごしているが、戦後間もない情勢や大人達の苦々しい境遇が見え隠れする。 -
高樹のぶ子さんの文章に惹かれて読んだ。
遅まきながら大ファンに
世代が同じだから共感することが多すぎうれしすぎ
そして
アニメ映画になったことも全く知らなかった
「この世界の片隅に」の前作!?
ひえー
レンタルしなくっちゃ
≪ マイマイは 世界の不思議 確かめる ≫ -
ずっとむかし「ラジオ深夜便」読書コーナーで取り上げられたときから気になってた本( ´ ▽ ` )ノ
「ちびまる子ちゃん」や「おもひでぽろぽろ」みたいななつかしものだけど、本書のほうがずっと好き( ´ ▽ ` )ノ
アニメ化された「マイマイ新子と千年の魔法」も数年前に見た( ´ ▽ ` )ノ
そっちもよかった( ´ ▽ ` )ノ
時代的背景もあり、戦争や死が常に隣り合わせな子ども時代が描かれているけど、主人公のキャラクターもあって変に重苦しくなることはない( ´ ▽ ` )ノ
必要以上感傷に浸りすぎず、カラッとしてる( ´ ▽ ` )ノ
ふつうの子どもなんて、そんなもんだよね( ´ ▽ ` )ノ
自分の生まれる前の話ながら、(秘密基地・爆弾菓子・餅まき等々……)すべてが懐かしく愛おしい( ´ ▽ ` )ノ
新子ちゃんがとにかくかわいい( ´ ▽ ` )ノ
マイマイ、今でいうアホ毛ってやつだね( ´ ▽ ` )ノ
体言止め多用の文章、小学生の作文のようなぶった切った感じの叙述、ベタつかない心情描写( ´ ▽ ` )ノ
こりゃかなり読者を選ぶな、と思ってブクログレビューを見てみたら 案の定(>_<)
「赤毛のアン」ってより少女版「トム・ソーヤー」のつもりで読んだほうがいいような( ´ ▽ ` )ノ
監督の次作「この世界の片隅に」が大ヒットしたらから、「マイマイ新子と千年の魔法」も地上波放送するのかな?と思ったんだけど、けっきょく全国ネットではやんなかったな……(>_<)
あれ、末期ジブリなんか目じゃない傑作だから、ぜひ多くの人(とくに少年少女)に見てほしいんだけどなあ……(´ェ`)ン-…
本書じたいも、もっと売れてほしい……(´ェ`)ン-…
「アメトーーク読書芸人」で光浦靖子あたりが取り上げてくれればなあ( ´ ▽ ` )ノ
2019/01/06
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著者の子どもの頃のノスタルジアを新子ちゃんに託して綴った小説。髙樹のぶ子さんというとどこかとり澄ましたような格調高い作品を書く人というイメージがあるんだけど、そういう人も野山に遊び、ハンバーグに目を輝かせ、両親・祖父母・きょうだい・近所の友だちに囲まれて育ったんだろうなと。どことなく懐かしい日本の風景が、子どもならではの虚実ない交ぜの幻想的なシーンと相まって描かれる。
新子にとっての両親・祖父母を「お父さん」「お母さん」と書かずに、名前で書いているところに髙樹さんの芯のようなものを感じる。好ましい。
著者プロフィール
高樹のぶ子の作品





