羅生門・鼻 (新潮文庫)

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レビュー : 324
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101025018

感想・レビュー・書評

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  • ​​先ごろ『妙な話』を読んで懐かしく思い出したので新潮文庫で読みなおしてみた。教科書で親しんでおり、夏目漱石と並んで古典中の古典であるから、全集などですべての作品を読もうと思いながらも、まだまだ幾作品か残している。

    この文庫に収められてる『羅生門』『鼻』『芋粥』『運』『袈裟と盛藤』『邪宗門』『好色』『俊寛』は読んでいるのだが、細部は忘れているものだし、それによく理解していなかったなあと気がつくのがおもしろい。

    例えば『邪宗門』という作品。
    これはまさしくファンタジー・エンタメではないか!ええええ、日本文学の始まりからあったんだ!
    平安王朝時代、ある貴族の若者が遭遇する青春活劇。恋のさやあてあり、荒くれどもとの知恵比べによる退治あり。妖怪変化を見破るの巻ありで、「(未完)」となっているのが惜しい。これこそ「つづき」をどなたかが書けばよろしいのに・・・。しかし、出典から引いた難しい熟語があまりにもおおいので、雰囲気を模写するのも大変ではあると思う。

    こういう古典は注釈を参考にしながら読むのも苦労である。わたしは注釈をあまり見ないで読んでみたが、というのは読書歴がながいので昔の単語もわかるのだ。全部わかったわけではない、特にこの出典からくるものがなかなか難物だ。昔の人はこのくらいの教養は当たり前だったのか。

    ま、学習ではないので気楽に読めばいいと思う。

  • 今昔物語が好きなので案外スラスラと読むことか出来ました。文豪のお話って難しいんだろうなって食わず嫌いはいけませんね。学校で習った『羅生門』は何十年経ってもやっぱり覚えていて、最後の1文は自分の中の不安を掻き立ててしまいます。今回読んだ中では『俊寛』面白かったです。俊寛のおおらかでお茶目な言動が微笑ましい。この人物にあっては『平家物語』や菊池寛などが描く『俊寛』とかいろいろな解釈で登場するみたいなので、どの『俊寛』が自分好みか比べてみるのも楽しいかも、なんて思いました。『邪宗門』は、これからどんどん面白くなっていくだろうなってとこで未完となってるので、とっても残念。登場人物も魅力的だし、平安の世に『切支丹物』ってロマンが広がります。芥川の壮大な空想物語、読みたかったなぁ。

  • 有名な「羅生門」や「鼻」、「芋粥」など全8篇収録。
    先述の3作品はどれも引き込まれる構成。メッセージも明瞭で、なんというか小説というより道徳の授業を受けているようです。
    ところで、解説を読んではじめて知ったのですが、「羅生門」はその結びの一文が「下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつゝあった」から「下人の行方は、誰も知らない」に書き換えられているとのこと。そのため、「鼻」や「芋粥」と異なり、メッセージが不明瞭に落ち着くとともに、より文学性を秘めていると感じました。本当、傑作だなと。

    その他の作品では、「好色」がなんだかコメディちっくに読めたのがよかったのですが、「邪宗門」は未完で終わって欲しくなかった…

  • 老婆の言い訳から己のこれから為そうということにある勇気を見出し、
    あっけなくそれを成し遂げてしまう様は、人間の強さなのか弱さなのか。
    言いようのない気持ちになるが、共感できるのが面白い。

  • 精緻な文書で語られる、今昔物語から引用したエピソード集。「羅生門」は黒沢監督の羅生門を見たのちなのであまりに違う内容に驚いた。
    また、なんといっても印象深いのは「好色」。作者の作品であり、優雅な文体でなければ吐き気をもようす内容でこちらも印象深い。また、「鼻」についてもあまりの展開に苦笑。その他どの作品にも味はあるが、この3作品のインパクトで印象が薄くなってしまいます。邪宗門はとても面白い人物設定と展開なだけに未完であることがとても悔やまれる。しかし、読んだ人がその先を夢想する楽しみはある。

  • 芥川龍之介の著書の中でも特に有名な作品である『羅生門』・『鼻』のほかに、『芋粥』『好色』といった8編が収録されています。『羅生門』は、荒れ果てた羅生門やその登場人物、文章など総じて見事に暗い内容となっており、物語の後の行方も気になるような作品です。『鼻』は、長い鼻をもつ僧侶がどうにかして短くしようと全力で頑張る姿をユーモラスに描き、夏目漱石にも絶賛された内容(『漱石書簡集』(岩波書店刊)より)となっています。
    (土木・環境工学系土木工学コース M1)

  • 小学校だったか、中学校だったか、
    国語の授業で羅生門を習ったなぁという記憶があったが、
    会社の方がお持ちだったので、一通り読んでみた。

    大人になって読んでみると、子供の頃に描いていた想像とは
    また違う世界が。

    邪宗門が個人的には一番面白いと思ったが、まさかの未完(^^;
    先が気になるのに・・・。

  • 作者 明治25年(1892年)3月1日生まれ
       昭和2年(1927年)7月 ヴェロナール及びジャールの致死量 自殺

    王朝物 平安時代に材料を得た歴史小説

    羅生門
     作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。

     下人の行方は、誰も知らない。


     禅智内供の鼻と云えば、池の尾で知らない者はない。

    芋粥
     元慶の末か、仁和の始にあった話であろう。

    「敦賀と申すと、あの越前の敦賀でござるかな。あの越前の―」



    袈裟と盛遠

    邪宗門
     魔利の教 魔利信乃法師 …(未完)

    好色
     平中(へいちゅう)

    俊寛

  • 「邪宗門」
    素敵な若殿様と美しいお姫様の恋物語かと思っていたら、あやしい宗教を広めようとする奇妙な男が出てきて、あやしい宗教対仏教の話が主になる。
    みんな奇妙な男を恐れ抵抗しないが老僧が戦いを挑む。しかしあっさりと負けてしまい、えー、と思っていたところに、われらの若殿様が、奇妙な男の対戦相手として名乗りを上げる。
    そして、若殿様があの男をどうやってやっつけてくれるのだろう、その後どうなるのだろう…、というところでなんと(未完)と書いてある。
    つまりこの作品は途中で終わってしまう(涙)。一番のお気に入りでした。

  • 『芋粥』が読みたくて購入。話自体は人を馬鹿にしたようなストーリーなのですが、なぜか少しほっこりしたような気持ちになれます。著者の文章力があってこそですね。

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著者プロフィール

小説家(1892-1927)。東京帝国大学文科大学英文学科卒業。創作に励むかたわら、大阪毎日新聞社入社。「鼻」「蜘蛛の糸」など数多くの短編小説の傑作を残した。1927年、服毒自殺。

「2019年 『羅生門・鼻・蜘蛛の糸 芥川龍之介短編集 Rashomon, The Nose, The Spider Thread and Other Stories』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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