地獄変・偸盗 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2022
レビュー : 175
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101025025

感想・レビュー・書評

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  • 「偸盗」
    「羅生門」の続編ということで、読みたくなったので購入。(今更だけど)
    いやぁ、描写がすごい。面白い。

    沙金の生々しさ(色艶があって、肥っていて、美しい女って想像が出来ないけど……)に、やられる太郎・次郎兄弟。
    でも、太郎は沙金の心が持っていかれることに嫉妬を感じ、次郎は沙金が他人の身体と触れ合うことに嫉妬を感じる。ここって、ちょっと考える。
    それぞれの拠り所が心か、身体か、ということか。

    クライマックスのスピード感が半端ないし、阿漕の聖性が最後には沙金に勝る所も、好き。

    「竜」
    三月三日に猿沢池に行きたくなりました。

    「薮の中」
    超有名作。
    でも、三者三様というところ以外、忘れかけていたので、改めて読んでみた。
    結局、皆が男を殺したことになっている。
    男でさえも。
    誰もが自分ではない、と言い張るよりも、誰もが自分と言い切ることの罪を考える。

    「六の宮の姫君」
    意外にこの話が一番キツかった。
    母も父もいず、自分を見初めた男でさえ、単なる庇護者以上の愛を感じることが出来ない。
    抱かれることの喜びもなく。
    そうして、生きることに疲れてしまう姫君の生とは、一体何だったんだろう。
    最期、念仏を唱えることも出来ず彷徨う姫君を、誰が嘲ることが出来るんだろう。
    あまりに、「あり得る」結末で、怖かったし……そこに思い至る芥川も怖い。

    「地獄変」は言わずもがな。
    ちくま文庫版でレビューを書いたので省略。

  • (1999.08.14読了)(1998.09.04購入)
    (あ-1-2)
    収録作品
    ・「楡盗」
    ・「地獄変」
    ・「竜」
    ・「往生絵巻」
    ・「薮の中」
    ・「六の宮の姫君」
    「これらの諸篇は、すべて『今昔物語』もしくは『宇治拾遺物語』の説話集に出典をあおいでいる。」(213頁)
    『今昔物語』からの作品:「楡盗」、「往生絵巻」、「薮の中」、「六の宮の姫君」
    『宇治拾遺物語』からの作品:「地獄変」、「竜」

  • 地獄変に関して、物語の大すじ以外、古典的描写に僕は少し退屈だが、映像化できれば楽しいだろう。偸盗はよい。野党の汚い世界だが、随所に挟む空模様で、景色の限られた古来日本の風景に広がりを持たせている。全肯定はできないが、気持ちのつながりより、血のつながりを感じた。

  • ■ 偸盗
    芥川龍之介は駄作と言うが,私は結構好きだった.メロドラマというけれど,恋愛なんて良くも悪くもそんなもんだろう.
    沙金と阿漕の対比が良い.美人の悪魔とブスの天使と言ったところか.
    阿漕に子供が産まれたシーンは,この小説の救いだった.全体的に血なまぐさいけど,このシーンだけちょっと心が潤う.

    ■ 地獄変
    良秀が最後に自害するシーンで救われた.ああ,この人も普通だったんだというか.

  • 偸盗/地獄変/竜(りゅう)/往生絵巻/藪の中/六の宮の姫君

    「偸盗」は人間味があって面白い。「地獄変」も、淡々とした印象は変わらないが、最初に読んだ時よりはじわじわくる恐ろしさも感じたかなぁ。「の宮の姫君」は深い話だと思う。あと保胤様!こんなところでも名前をお見かけするとは!最初に読んだ時気付かなかったのかな私。

    *2008.5 *2017.2

  • 芥川、読んだことなかったが、
    なるほど、面白い。

  • 地獄変。
    その地獄絵図が目に浮かぶ迫力。

    偸盗。
    きらびやかで美しい京の都も、こんな荒んだ景色が広がっていたのか。
    黄ばんだ景色、埃っぽい空気、生ぐさくよどんだ臭い。10代の頃読んだ時とはまた違い、それらが生々しく迫ってきた。

  • 芥川の所謂 王朝ものは苦手意識があったけれど、表題の2作が飛び抜けて面白く、他にも佳作が収録されており楽しめた。表題の「偸盗」は自信の外見にコンプレックスのある兄と、美しい容姿を持った弟が二人して悪女に思いを寄せる物語。想いの人が他人に心を許すことに憤りを感じる兄と、他人に身体を許すことに憤りを感じる弟の対比が面白い。
    「地獄変」は一貫して執念やおどろおどろしさを感じる、古き良き(悪き??)日本の平安時代らしさが良く表れている。

  • 『今昔物語集』、『宇治拾遺物語』中の説話に題材を取った王朝ものの短編集ですが、やっぱり「地獄変」の印象が強いですね。よくこんな物語を思いつくものだと。凄惨な話で直視に堪えないはずなのに美が感じられてしまう文章力に脱帽です。あと「六の宮の姫君」もよかったです。ちょっと男が勝手すぎますけど。

  • 「倫盗、地獄変、竜、往生絵巻、藪の中、六の宮の姫君」の6篇からなる短編小説。

    「竜」が一番楽しく、読めた。
    「藪の中」のように、誰かの視点に立つことで見えてくる物事が変わってくることを上手く示している。
    誰かの正しさは絶対ではなく、好き嫌いや相対的な基準で決めているのだろう。

    時代を一歩二歩先に進んでいた類まれなる天才だと思う。

著者プロフィール

小説家(1892-1927)。東京帝国大学文科大学英文学科卒業。創作に励むかたわら、大阪毎日新聞社入社。「鼻」「蜘蛛の糸」など数多くの短編小説の傑作を残した。1927年、服毒自殺。

「2020年 『羅生門・鼻・蜘蛛の糸 芥川龍之介短編集 Rashomon, The Nose, The Spider Thread and Other Stories』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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