蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101025032

感想・レビュー・書評

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  • どれも面白くて楽しく読めた。
    芥川ってこんなに読みやすかったんだ。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    地獄に落ちた男が、やっとのことでつかんだ一条の救いの糸。ところが自分だけが助かりたいというエゴイズムのために、またもや地獄に落ちる「蜘蛛の糸」。
    大金持ちになることに愛想がつき、平凡な人間として自然のなかで生きる幸福をみつけた「杜子春」。
    魔法使いが神の裁きを受ける神秘的な「アグニの神」。
    少年少女のために書かれた、健康で明るく、人間性豊かな作品集。

  • 芥川龍之介の少年少女向けに書かれた短編集とあるが、読んでみてとても面白かった。何よりも読みやすい。「蜘蛛の糸」は有名な作品なので知っていたが、「杜子春」「トロッコ」「蜜柑」は、特に良かったです。「杜子春」は子供の頃読んだきりで大人になってから読むと別の面白さがある。「トロッコ」は少年の目から見た冒険心や心細さがうまく表現していて、「蜜柑」は汽車に乗り合わせた田舎の少女の行動に、男の心情が変化する様が心地いいです。2023年7月15日読了。

  • 短編集なのでさらっと読める。
    生き方だったり道徳的な話が多く中高生にいいかもしれない!

  • 2009.4.7

  • ラジオ深夜便文芸館 朗読
    蜘蛛の糸 犬と笛

  • 2017/10/15

  • 何だこれ。
    山もオチもない。
    さらっとしすぎ。

    って思って読んだら、これは年少者のための作品だったみたい。
    童話的なもの。

    たぶん今の子供はこんなんじゃ喜ばないと思う。
    ワンピースとかすごいから。

    一番面白かったのは、あの有名な猿蟹合戦の後日談的な物語。
    タイトルはずばり「猿蟹合戦」。
    猿を殺したあと、蟹は死刑に、臼や蜂たちは無期懲役になったそうですよ。

  • ・羅生門
    人の心の容易い善悪の移り変わりを
    表した作品。
    芥川作品にこういった心の動きは
    多く見られる気がする。

    ・鼻
    人間は無い物ねだり
    隣の芝生は青い

    ・煙草と悪魔
    とんちのような話。
    自分の意図した結果のようでも
    全ては悪魔の策略の手の中にあるのかもしれない。

    ・戯作三昧
    滝沢馬琴が主人公。
    童心への回帰、趣味道楽を愛好し楽しむ心こそ
    文学作品、その他あらゆる芸術作品の原点かなと思った。

    ・蜘蛛の糸
    独占欲は我が身を滅ぼす。

    ・蜜柑
    こういった文学は個人的に好かん。
    つまらん。

    ・魔術
    欲の少ない人間も目の前にぶら下がった
    人参を追いかけてしまうもの。

    ・杜子春
    個人的に一番関心深かった。
    莫大な財を成そうとも、地獄の沙汰へおちようとも
    最後に信ずれるものは母の愛情と知った。
    芥川の内を垣間見た。
    その後、芥川の母が龍之介の生没後すぐに
    狂人と化した事実を知った…
    ただ杜子春は我が子に読み聞かせてあげたい。

    ・トロッコ
    芸人又吉が文学の道を歩むきっかけを
    作った作品。
    確かに妄想からなる過度な期待から
    裏切られたように感じることや、
    他のことが気になり
    心ここに在らずになるような経験も
    あるにはある。
    が、そんなにも心打たれるか?と思った。
    正直別に好かん。

    ・雛
    日本昔ばなし。
    幻想だろうが物理的なものであろうが
    見たとゆう事実には間違いない
    とゆう点には納得。

    ・白
    ハッピーエンドでよかったね。

    ・少年
    窮地の底に立たされた時
    母の愛を無意識と求める
    って話
    マザコンやね。


    携帯で読んだ河童が
    なかなか関心深かった。
    精神的に狂気じみていきながらも
    社会を風刺した
    芥川の強い芯の部分に惹かれた。

  • 蜘蛛の糸は、釈迦はある日の朝、極楽[10]を散歩中に蓮池を通して下の地獄を覗き見た。罪人どもが苦しんでいる中にカンダタ(犍陀多)という男を見つけた。カンダタは殺人や放火もした泥棒であったが、過去に一度だけ善行を成したことがあった。それは林で小さな蜘蛛を踏み殺しかけて止め、命を助けたことだ。それを思い出した釈迦は、彼を地獄から救い出してやろうと、一本の蜘蛛の糸をカンダタめがけて下ろした。
    暗い地獄で天から垂れて来た蜘蛛の糸を見たカンダタは「この糸を登れば地獄から出られる」と考え、糸につかまって昇り始めた。ところが途中で疲れてふと下を見下ろすと、数多の罪人達が自分の下から続いてくる。このままでは重みで糸が切れてしまうと思ったカンダタは、下に向かって「この糸は俺のものだ。下りろ。」と喚いた。すると蜘蛛の糸がカンダタの真上の部分で切れ、カンダタは再び地獄の底に堕ちてしまった。
    無慈悲に自分だけ助かろうとし、結局元の地獄へ堕ちてしまったカンダタを浅ましく思ったのか、それを見ていた釈迦は悲しそうな顔をして蓮池から立ち去った。

    キリスト説話にも同様の逸話あり。
    唐王朝の洛陽の都。西門の下に杜子春という若者が一人佇んでいた。彼は金持ちの息子だったが、親の遺産で遊び暮らして散財し、今は乞食同然になっていた。
    そんな彼を哀れんだ片眼すがめ(斜視)の不思議な老人が、「この場所を掘る様に」と杜子春に言い含める。その場所からは荷車一輌分の黄金が掘り出され、たちまち杜子春は大富豪になる。しかし財産を浪費するうちに、3年後には一文無しになってしまうが、杜子春はまた西門の下で老人に出会っては黄金を掘り出し、再び大金持ちになっても遊び暮らして蕩尽する。
    3度目、西門の下に来た杜子春の心境には変化があった。金持ちの自分は周囲からちやほやされるが、一文無しになれば手を返したように冷たくあしらわれる。人間というものに愛想を尽かした杜子春は老人が仙人であることを見破り、仙術を教えてほしいと懇願する。そこで老人は自分が鉄冠子(小説『三国志演義』などに登場する左慈の号)という仙人であることを明かし、自分の住むという峨眉山へ連れて行く。
    峨眉山の頂上に一人残された杜子春は試練を受ける。鉄冠子が帰ってくるまで、何があっても口をきいてはならないのというのだ。虎や大蛇に襲われても、彼の姿を怪しんだ神に突き殺されても、地獄に落ちて責め苦を加えられても、杜子春は一言も発しなかった。怒った閻魔大王は、畜生道に落ちた杜子春の両親を連れて来させると、彼の前で鬼たちにめった打ちにさせる。無言を貫いていた杜子春だったが、苦しみながらも杜子春を思う母親の心を知り、耐え切れずに「お母さん!」と一声叫んでしまった。
    叫ぶと同時に杜子春は現実に戻される。洛陽の門の下、春の日暮れ、すべては仙人が見せていた幻だった。これからは人間らしい暮らしをすると言う杜子春に、仙人は泰山の麓にある一軒の家と畑を与えて去っていった。
    原作との相違点[編集]
    原作の『杜子春伝』では、杜子春に大金を与えるのは仙人ではなく道士である。杜子春は地獄に落ちた後、女に生まれ変わって誕生するが、やはり全く物を言わず、結婚して子を産んでも喜びの声一つ発しなかったため、怒った夫が赤ん坊を叩き殺し、そこで妻(杜子春)が悲鳴を上げたところで現実に戻り、道士は声を出さなかったら仙薬が完成し、道士と杜子春は仙人になれたのに、と言って突き放す。芥川は、親が地獄の責め苦を受ける場面に変えて「あの時もし声を出さなかったら、お前を殺していた」と仙人に言わせ、より人間味にあふれた話へ変えるとともに、児童向けの教育的な物語にアレンジしている。
    このほかに、有名な短編が収録されている。

  • お釈迦さまが天国から地獄を見下ろすところから始まります。主人公のカンダタは生前大泥棒で様々な悪行を行なってきました。ただ一度だけ蜘蛛を助けたことでお釈迦さまから情けをかけられることとなります。お釈迦さまから地獄に一本の蜘蛛の糸が垂らされ、カンダタはそれを登って脱出を試みます。しかしふと下を覗くと他の亡者たちも後をついてきています。
    カンダタは蜘蛛の糸を自分だけのものとして、他の亡者たちに来るなと喚きます。
    それを聞いたお釈迦さまは蜘蛛の糸を切ってしまい、カンダタは再び地獄に戻ることになってしまうというお話しです。
    他を顧みず自分のことだけを優先すると、結局は自分に返ってくるという教訓であると感じました。ただ自分も同じ境遇であったとしたら、同じことをしてしまうのではないかとこわくなりました。カンダタは盗みを働かないと生きていけないほどの環境だったため、罪を重ねていたのだろうと思います。命を大事にする考えを持っており、根っからの悪者ではないことから、お釈迦さまも最後のチャンスを与えたのではないかと思いました。
    人間の欲深さを知りながら、良心を試したお釈迦さまは凄いなとも感じました。

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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