奉教人の死 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101025049

感想・レビュー・書評

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  • 芥川龍之介の短編集。大学で読まされたんだけど面白かったので。

  • 「蜜柑・尾生の信」で芥川の魅力がわからなかったので、別の短編集「奉教人の死(11編収録)」に挑戦。
    芥川の帝国大学での専攻は英文なので、欧米の文学を理解するには聖書の知識は不可欠という流れでキリスト教を題材にした一連の小説を書いたのでしょう。ここでは、解説の小川国夫氏が指摘していますが、「古文書の創作」がポイントのようで、わざわざ古文書の出典まで説明しながら、その元となる文献自体が芥川の創作というから手が込んでいます。つまり、ノンフィクションを装いながらフィクションを書くことで、より内容に真実味を帯びさせる工夫ですが、残念ながら一般読者には宝の持ち腐れ的な隠し味で終わっています。そして、難解さは「蜜柑」以上です。
    立て続けに芥川作品を読んで、面白い発見をしました。
    「蜜柑・尾生の信」岩波文庫では竜之介ですが、新潮文庫の本書では龍之介が採用されています。有名作家なのだから、漢字くらいは統一しておいてほしいものです。

  • 芥川龍之介には切支丹物(キリスト教もの)と呼ばれる一連の作品があるが、概ね20の短編のうち11編がここに収録されている。とくに表題作『奉教人の死』は、読むごとに「ろおれんぞ」の「しめおん」に対する心理も仄かに垣間見え、荒々しくも美しい炎、そして意外な結末など、実に完成度が高くて秀逸です。

  •  芥川 竜之介に興味がある人、切支丹物はいかが。『奉教人の死』は、なんとなく展開が予想つくんだけど、描き方に号泣です。
    (YA担当/なこ)令和元年12月の特集「ぐっとくる短編」

  • 1.煙草と悪魔
    面白い話。悪魔の言動が好きです。
    暇が興じて鍬を片手に熱心に煙草畑を栽培をする、元来怠け者の悪魔。
    悪魔と人とのやり取りが面白い煙草伝来の話。
    「私にした約束でも、約束は、約束ですよ。私が名を云へないものを指して、あなたは、誓つたでせう。忘れてはいけません。」
    私が名を云えない物を指して~というのがとても面白い。

    2.さまよえる猶太人
    切支丹物、ユダヤの話。
    全く興味が湧かなかった。

    3.奉教人の死
    長崎にある教会を追放されたキリシタンの話。
    芥川は「西方の人」でキリスト教其の物に関する記述を書いていたが、キリスト教自体に興味がない人間にとってはどう解釈すればよいか困難だった。
    また本書の中にはかなり難解な切支丹物が複数話収録されている。
    数ある芥川の切支丹物の中でも「奉教人の死」は読み物としてとても解りやすい。

    4.るしへる
    「るしへる」という名の悪魔との問答。
    悪魔との問答はかなり面白いですが、何せ文章が難しい。
    話しの前半は殆ど分からず、悪魔との問答は大体が理解出来ました。
    「わが常に「いんへるの」に堕さんと思う魂は、同じくまた、わが常に「いんへるの」に堕すまじと思う魂なり。汝、われら悪魔がこの悲しき運命を知るや否や。」
    この一文に関して、他の作品でも芥川は同じ事を言っていた覚えがある。
    「西方の人」か「河童」かどの作品かは忘れてしまいましたが。

    5.きりしとほろ上人伝
    最も強い時の権力者に奉仕しようと生きる巨人の話。
    人間の権力者から悪魔、最終的にキリスト教。
    これも切支丹物に入るが、物語性が強い。

    6.黒衣聖母
    呪われたマリア像の話。
    災い転じて福となすの逆、福を転じて災いとなす。
    つまり結末は祖母の死を待ち子供も死す。
    救いのないホラーテイストの芥川切支丹。

    7.神神の微笑
    よく解らない話。短編ですがあまり覚えていない。

    8.報恩記
    京で有名な盗人に恩を返す話。
    命の恩人の両親に大金を用意した盗人に、息子が身代わりになり打ち首となる。

    9.おぎん
    芥川の切支丹作品。「奉教人」よりもこういった作品の方が好きです。
    同収録の「おしの」もそうですが、こういった多角的な視点からキリスト教を素材とした芥川の切支丹作品はとても面白いです。

    切支丹として育ての親諸共、死罪に処されるおぎん。
    寸でのところでおぎんは「教えを捨てる」と言い死罪を免れる。
    理由は自らの身の保身ではない。殉死すれば自らは天国に行く事になるが、それではインフェルノ(地獄)にいる生みの両親に会えない。それは耐えられない。
    そういって磔になっている育ての両親にも教えを捨てるように促すおぎん。「皆で悪魔にさらわれよう!」と。
    そんなラストシーンは圧巻の迫力ある描写。
    「お父様! いんへるのへ参りましょう。お母様も、わたしも、あちらのお父様やお母様も、――みんな悪魔にさらわれましょう。」
    孫七はとうとう堕落した。

    10.おしの
    切支丹物。おぎん同様に好きな作品。
    病魔に蝕まれた息子を見舞って欲しいと神父に嘆願しにきた妻が神父の説法を聞かされる話。
    暗い教会の中で、夫の武士道とキリストの生き様を比較し、キリストを心底軽蔑し激しく憎悪する妻の描写は全く持って素晴らしい。

    有名なキリストの最後。天を仰いで「エリ、エリ、ラマサバクタニ(わが神、わが神、何ぞ我を捨て給うや?)」
    この最後を聞いた妻が、
    「天主ともあろうに、たとい磔木にかけられたにせよ、かごとがましい声を出すとは見下みさげ果てたやつでございます。」
    短い作品ですが何度も読んでしまいます。
    妻の怒りと憎しみに満ちた言葉の痛快さに、やはり芥川文学の偉大さを再認識します。
    そんな言葉の一つ一つをとても美しいと感じてしまう。それが芥川の文才。

    11.糸女覚え書
    古文でほぼ読解は出来ません。
    「るしへる」よりも難解で何となく察する事すら出来ません。

  • 煙草と悪魔◆さまよえる猶太人◆奉教人の死◆るしへる◆きりしとほろ上人伝◆黒衣聖母◆神神の微笑◆報恩記◆おぎん◆おしの◆糸女覚え書

    著者:芥川龍之介()1892-1927、中央区、小説家)
    解説:小川国夫(1927-2008、藤枝市、小説家)
    注解:神田由美子(1951-)

  • 素直に感動。話が短くて教科書に載りそうだけど特定の宗教は載せにくいのかな。

  • 報恩記

  • 元ネタがあるときの芥川龍之介は流石の名文。

  • 江戸時代のキリスト教徒にまつわる寓話が収められた作品集。かなり、伝承からの引用が多く、どこまでが芥川の筆によるオリジナルの文章なのかが分かり辛い。個人的には可もなく不可もない童話集といった趣を感じた。

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著者プロフィール

小説家(1892-1927)。東京帝国大学文科大学英文学科卒業。創作に励むかたわら、大阪毎日新聞社入社。「鼻」「蜘蛛の糸」など数多くの短編小説の傑作を残した。1927年、服毒自殺。

「2020年 『羅生門・鼻・蜘蛛の糸 芥川龍之介短編集 Rashomon, The Nose, The Spider Thread and Other Stories』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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