奉教人の死 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101025049

感想・レビュー・書評

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  • とてもチャレンジングな作家だったことを実感。関心の向く先も独特で面白かった。

  • 芥川の代表作と言えば、一般的には『羅生門』、『地獄変』、『河童』などが取り上げられることが多い。しかし、私は芥川の最高傑作は『奉教人の死』だと思う。著名な小説家のうちで、この作品を高く評価したのはノーベル賞作家の川端康成である。川端は、この作品を「多くの人に愛される美しい作品である」と評価している。この作品の魅力は、なんと言ってもその物語性である。また、『天草本平家物語』の文体に倣ったその文章は、芥川以外の誰も書くことができないものである。これは、芥川の実力のすべてを出し切った、だれもが感動するであろう傑作短編小説である。

  • 授業で読んだ。表題作の奉教人の死は素晴らしい作品だと感じたが、最後の女オチはちょっと…ね。やっぱり個人的に美少年が好き。

  • ★3.5「煙草と悪魔」「奉教人の死」「きりしとほろ上人伝」「神神の微笑」(再読)「報恩記」

    悪魔の描き方が好み。

  • 切支丹物11編。1話目『煙草と悪魔』に悪魔が出てきて話の展開がお伽話のようで読みやすかったです。
    悪魔は『おぎん』でも登場。日の当たるところには影ができるように神の存在するところには悪魔も必然的に存在するんですよね。
    『奉教人の死』や『報恩記』では尊い信仰心が描かれているようで、でも人間の儚さ愚かさがラストに心に残ってしまうような趣にさせられます。
    『おぎん』『おしの』の対比はかなり面白かったです。『おぎん』では自らの死を目前にして信仰を捨てた家族。『おしの』では子どもの命を救うために神父に会いに来たもののイエスの最期に失望し憤った母親は捨て台詞を放って去っていく。どちらもキリスト教から離れるのですが、後味はかなり違います。
    全体的に悪魔が蔓延っていて知らず知らずのうちに踊らされているような気持ちにさせられました。

  • 芥川龍之介の短編集。大学で読まされたんだけど面白かったので。

  • 芥川龍之介の、キリシタンの話をまとめた本。基本的には信心深い方が出てくるのですが、それ故の大きな葛藤や苦難、献身、棄教など、とてもスケールの大きな話が詰まっています。悪魔なども出てきてファンタジックな所も。実際の資料半分創作半分などを、わざと古語体にして実話の様にしたり、資料を混ぜ込んできたり、構成も凄く巧みだなぁと感心するばかり。物語調の物も多いので、日本、正義、誠実さ、など、幅広い事に関する寓話もとても深みがあった

  • 「奉教人の死」に涙しない人とは絶対親友にはなれないと思っています。

  • 近代日本文学の面白さのひとつが、東洋と西洋の文化のぶつかり合い、そこから発するところを知ること。
    鷗外や漱石もその文脈から読み解くと面白いし、そのスタンスは各々特徴がある。
    また、白樺派や社会主義者もキリスト教の影響を受けているが、宗教として定着したかは疑わしい。

    芥川龍之介のこの短編集は上記にある時代背景から、テーマを切支丹物とし描く。ただ、キリスト教の良し悪しきを問うものではなく、且つ一方的な視点から描いているものでもない。読者側の解釈が求められるので、それが面白い。

    芥川龍之介自身は、聖書を常に身近に置いていたようだ。彼にとってのキリスト教がどのような位置づけにあったのか、これはもう少し深掘りしてみたい。

  • このような話を芥川龍之介が書いていたとはこの歳になるまで知らなんだ。というかキリストと性という岩波新書を読んで知ったということだが、杜子春のようなエンディングにならなかったので残念だ。

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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