河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 174
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101025063

感想・レビュー・書評

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  • 歯車がホラーチックで面白かった。

  • 1大導寺信輔の半生
    恵まれぬ貧しい境遇の信輔の話。
    幼少から大学くらい迄でプツンと切れて終わる話。
    読書について、本について書かれている箇所は、
    今の自分には共鳴できて、読んで良かったと思う話だった。

    2玄鶴山房
    病に伏す舅の玄鶴とその妻。
    娘のお鈴と婿夫婦。玄鶴の妾と息子。
    玄鶴の世話係の看護婦。
    死を扱った作品。特に感想はなし。

    3蜃気楼
    夜の海の情景が良かった。
    鎌倉の由比ガ浜を思い出す。
    マッチの光が映し出す普段見えない情景。
    これも幻想的な話。

    4河童
    登山途中で河童の国に迷い込む男の御伽噺。
    そこには河童のマツグ著「阿呆の言葉」という「侏儒の言葉」そっくりの本があったりする。
    河童たちにとっての常識云々もそうだが、「人間は河童より進化していない論」「雄の河童を追い回す雌の河童の話」等々、面白い逸話が沢山溢れている。
    最後は夢落ちに近い結末だが、予想通りの結末。
    そんな事よりも河童の国も描写はとても面白い。

    5或阿呆の一生
    あまり好きではない。
    こういうテイストの作品なら歯車の方が断然好き。

    6歯車
    芥川作品の中でも最高傑作だと思う。
    幻想的で素晴らしい作品。
    現実と夢を交互に行き来している様な感覚。
    不思議とファンタジー小説のように感じる。
    死の匂いがする大人のファンタジー。
    何度も読みたくなる傑作短編小説。

  • 2018/12/27

  • i文庫で読んだ。よくわからなかった。やっぱ紙の方がまだ読みやすいかなぁ。

  • 表題をベースにした皮肉と狂気と苦悩の小舞台を見て原作も購入。
    読む力が衰えているように感じるのはまぁ良いとして
    河童も好きだったけど歯車の方が気になった。
    色々読み方はあるのだろうけど、精神が衰弱した主人公は「何か嫌な感じがするもの」に追い詰められていく。黄いろいもの。モオル。ブラックアンドホワイト。エエア・シップ。嫌なものってのは逃げても逃げてもどこかで必ずその影をちらつかせるんだ。そうやって光のない、濃く深くなる一方の闇の中を進みいき詰まっていく様を描いているような。いやしんどい、身につまされるような、なんとも「食らう」小説だった。

  • 幻覚、幻聴、タイムスリップ、過敏性、あらゆる病的体験が網羅されている印象があります。最初に読んだのは高校生のときだったけれど40年ぶりくらいに読み直してみて記憶にあったのは「1行のボオドレエル・・・」の部分だけだった。

  • 河童は高校生の時に読んでいますが、今読むと、わりと素直な気持ちで読めました。
    高校の時には、風刺や比喩、現代社会への批判などに目が行きましたが、今読むと、不思議にそういうことは目につきませんでした。
    単純に楽しめました。
    或阿呆の一生と歯車は、なんとも不思議な小説です。
    特に筋もなく、淡々と書き連ね、思考が中断されたり、かき回されたりします。
    これぞ芥川という感じでしょうか。

  • 死後に発表された作品も含む、芥川晩年の短編が詰まった一冊。前半はそこまででもないが「ある阿呆の一生」からの3話は不穏な空気が漂っている。太宰治の作品かと疑ってしまうほど。

    自分が一番好きな短編は「河童」と断言できる。それほど面白い。一見するとユートピアなのかディストピアなのか分からない異世界を描写することで、当時の日本の社外風刺が透けて見えるのが面白い。
    ブラックなネタが満載でありつつ、芥川の素朴な雰囲気も残っており、非常に読み応えがある話。

  • 晩年の作品集で、全体的にかなり「重い」作品ばかりになっています。『歯車』『或阿呆の一生』辺りは、芥川龍之介そのものの人生を知った上で読まないと理解できないネタが織り込まれてたりしますし。
    『河童』は、彼の人生をそれほど細かく知らない時に読んだ当時の感想は「河童の国で人間が暮らす話だけど、宮沢賢治っぽいファンタジーにはならなかったな。頭の良い人が書くと衒学的、小難しい暗喩やニヒルな視線で物事を捉えてるなあ」といった感じだったのですが、芥川に詳しくなった後に読むと、この作品にもだいぶ彼のリアル事件のアレコレが反映されてて深読みする余地がかなりあり、「重い」作品なのだなあという印象に変わりますね。

  • この世とあの世の狭間をうつらうつらと漂っているような感じでした。自分を生んだあと発狂してしまった母親、そのことが芥川に深く暗い影響を与えているように思いました。「唯ぼんやりとした不安」のなか、薬物自殺をした芥川です。最期に彼の目には何がうつっていたのでしょうか。数え切れないほどの半透明の歯車でしょうか。最期に聴こえた音は何でしょうか。「le diable est mort」かもしれないと想像してしまいました。

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著者プロフィール

小説家(1892-1927)。東京帝国大学文科大学英文学科卒業。創作に励むかたわら、大阪毎日新聞社入社。「鼻」「蜘蛛の糸」など数多くの短編小説の傑作を残した。1927年、服毒自殺。

「2019年 『羅生門・鼻・蜘蛛の糸 芥川龍之介短編集 Rashomon, The Nose, The Spider Thread and Other Stories』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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