夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.17
  • (697)
  • (681)
  • (297)
  • (42)
  • (8)
本棚登録 : 8945
感想 : 606
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101027418

作品紹介・あらすじ

思いがけないきっかけでよみがえる一生に一度の恋、そして、ともには生きられなかったあの人のこと――。大胆な仕掛けを選考委員に絶賛されたR-18文学賞大賞受賞のデビュー作「カメルーンの青い魚」。すり鉢状の小さな街で、理不尽の中でも懸命に成長する少年少女を瑞々しく描いた表題作他3編を収録した、どんな場所でも生きると決めた人々の強さをしなやかに描き出す5編の連作短編集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • R3.11.20 読了。

     「どんな場所でも生きると決めた人々の強さをしなやかに描き出す5編の連作短編集。」…背表紙より。

     読み始めてすぐ、物語の世界に引き込まれた。魅了されていた。ここに出てくる人たちは生きている境遇も置かれた環境も決して良くはない。しかしどの短編も主人公が新たな1歩を踏み出す。その1歩に感動したし、勇気ももらえた。
     この短編集で特に好きな作品は「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」「海になる」ですね。「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」は中学生の男の子と女の子の山の展望台で見上げた広大な星々の瞬き、大きなおにぎりの味と二人の勇気のある決断と新たな1歩に感動した。「海になる」は衝撃的な冒頭からは、考えられない幸せなエンディングでした。
    二つの作品の共通点は、自分のありのままを話せる、さらけ出せる相手がいたことであり、そのことがうらやましいとも思った。
    とにかく、この2作品は私がうまく表現できないほど、素晴らしい作品でした。
     町田その子さんの別の作品も読んでみたい。

    ・「教わるもんじゃなくて、体で覚えてくもんだよ、そんなの。ひとから叩かれたら痛い。だけど同じことができる手のひらを、自分も持っている。こういう気付きの繰り返しだろ。」
    ・「だんだんと、自分が水槽の中でたゆたう魚になった錯覚に陥る。…(中略)この水槽の向こうにはもっとたくさんの水槽があるんだよね。水槽どころか、池も川も、海だってある。いちいち怖がっていたら、生きていけない。あたしたちはこの広い世界を泳がなきゃいけない。」 

    • megmilk999さん
      書評を拝読し、気になって読んでみました。読後、繰り返して思い出すのは、私も勇気がもらえたからだと思います。
      書評を拝読し、気になって読んでみました。読後、繰り返して思い出すのは、私も勇気がもらえたからだと思います。
      2022/02/18
  • 「波間に浮かぶイエロー」が衝撃的だった。重史の愛情の深さには感動する。
    どれだけ周りから嫌われても一人だけは自分のことを好きでいてくれる人がいる。
    これは確かに自分の拠り所になりそうな、力を与えてくれるパワーワードだ。

    どの短編もとても良かった。短編集で全ての編がとても良かったって言うのは記憶にないなあ。

  • 絶句した。
    凄い!
    読みやすくて、それこそ水槽の中のメダカのようにスイスイ泳いでいける感じなんだけど、読み進むたびに物語の奥行きが広がって、切なさが深まっていく。

    連作短編集。
    5編の短編全てが素晴らしくて愛おしい。

    2021年本屋大賞の「52ヘルツのクジラたち」よりも、僕ははるかに感動した。
    全ての人に読んでほしい本。

  • みんな息苦しさを抱えて、ひたむきにそれぞれの水槽の中の日常を生きているんだろうなあ、と思わせる5編の連作短編集。
    社会的弱者とされる登場人物達が、衰退気味の地方都市を舞台にストーリーが繋がっていく。
    5作とも、愛を探して自由を模索する人達を描いている。彼らは弱者であっても弱い者ではなく、水槽の中で泳ぎ続ける事で未来を描く。そこに、強さと魅力があると思う。そして、各作品に仕掛けが施されており、さらに心地よく感情を揺さぶります。
    どれも良作でしたが、「溺れるスイミー」に惹かれました。自身の欲求に揺れる女性が、その欲求のまま行動せず、踏み留まる。彼女の選択が正しくあってほしい。群れることのできない彼女の為に。

  • 生きづらさを抱えた人たちに光を当て、読んでいる私たちにも生きる希望を与えてくれる、そんな素敵な作品だった。
    「カメルーンの青い魚」は、この作者のデビュー作。最後の仕掛けが、私たちには見えなかった、サキコの満ち足りた幸せを味わわせて、余韻に浸らせてくれる。
    そして、表題作の「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」から「波間に浮かぶイエロー」「溺れるスイミー」「海になる」まで、読む人の期待を裏切らない素晴らしい構成で、すっかり感動の渦に巻き込まれてしまった。
    決して恵まれた境遇とはいえない人たちを、少しも重たくなく、こんなにもさらりと書いてしまえるなんて驚きです。
    人は誰でも孤独だけれど、もがきながらもいつだって自由に泳いでいたい。
    この物語を読んだら、どこまでも果てしなく強く生きていけるような気がします。

    • m.cafeさん
      教えてくださってありがとうございます♪
      教えてくださってありがとうございます♪
      2021/06/18
    • m.cafeさん
      ゆうママさん。
      週間ランキング、たぶんこれです^ ^
      ありがとうございます‼︎
      ゆうママさん。
      週間ランキング、たぶんこれです^ ^
      ありがとうございます‼︎
      2021/06/18
    • アールグレイさん
      m.cafeさん
      iPhoneなんですか?
      とにかく、見ることができて良かった!
      m.cafeさん
      iPhoneなんですか?
      とにかく、見ることができて良かった!
      2021/06/18
  • すっごい良かったー!
    『52ヘルツのクジラたち』の小魚短編バージョンという感じ。生きづらい人たちを魚になぞらえているところが、とてもお洒落で似ていると感じた。
    構成もまた素晴らしくて、一つ一つのストーリーが少しずつ繋がっている。
    切なくて辛い場面も多いのに読んでいてあたたかい気持ちになる話ばかり。
    読み終わってすぐもう一度読んだ。誰かに認めてもらうこと、誰かに好きだと言ってもらうこと。それが生きる力になるんだよね。

  • 先日、52ヘルツのクジラたちを読み、この作家さん素敵なお話を書くなぁ、、、
    別の作品も詠んでみたいなぁと思っていたところ、古本屋さんで見つけたので購入。

    読んでみると、短編集のようだ。

    「カメルーンの青い魚」
    両親を知らず、祖母に育てられたサキコという女性と、児童養護施設で育った乱暴者の「りゅうちゃん」の話。冒頭、サキコと啓太のお団子を食べるシーンから始まるのだが、物語はまさかの展開に!
    もう少しこの物語に浸りたいという思いのまま、この物語が幕を閉じてしまう。

    だから短編は嫌いなのよ。。。
    とガクっと落ち込みながら次の物語へ進む。


    「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」
    あれ!?この名前は!?この街は!?
    先程読んだ作品と緩やかに繋がっている!?
    お!?これは短編と言いながらも、繋がっていくパターンなのか!?

    祖母に育てられ、守られ、同級生からいじめの対象となっていた女の子が、見事にボス的地位の同級生をノックアウト!
    それを見ていた少年は、「よくやった」と彼女を褒める。その少年は、先程読んでいた話に出てきていた子だった。


    「波間に浮かぶイエロー」は、男から女に変る途中の飲食店経営者と、そこを訪れた妊婦の物語。この物語にも、1番最初のお話のサキコが登場する。

    「溺れるスイミー」は工場で働く女性とダンプを運転する男性の出会い。


    「海になる」は、夫のDVに悩む妻の物語。
    この物語も、先に読んだ物語へと繋がっていく。


    それぞれの話の中の登場人物は、それぞれの生き辛さを抱えている。
    生き辛い、切ない気持ちも、この作家さんにかかると何故か前向きな気持ちに変化する。

    優しい言葉遣いなのか、登場人物の強さなのか、この作家さんは素敵な物語を紡ぐ方だなぁと益々好きになった!
    他の作品も読んだみたい!

  • 先日、『コンビニ兄弟』を読んだけれども、この作家さんの本日はこちらのデビュー作の短編集なのだろうなと……。

    心象をえぐるような描写も素晴らしいし、現代もしっかり、映し出している。

    本屋大賞を受賞した作品も読みたいけれども、少しづつ、読み続けていきたいと思う。

    これからの活躍がとても楽しみな作家に出会えたことが幸せだなぁと思う。

  • 5編の連作短編集。

    凄い、冒頭からグイグイと引き込まれていく。
    カメルーンの青い魚〜
    さっちゃんと啓太の関係が、鈍いせいなのかわかるのがラスト近くになってからで、そうきたか〜と思った時点でやられてしまった。
    祖母に育てられたさっちゃんことサキコと児童養護施設育ちのりゅうちゃんとの切なくてもどかしい関係。
    このままで終わらせないでほしいと思うほど。

    夜空に泳ぐチョコレートグラミーは、啓太を視点に展開する。
    啓太が、同級生の晴子に言った「教わるもんじゃなくて、体で覚えてくもんだよ、そんなの。ひとから叩かれたら痛い。だけど同じことができる手のひらを、自分も持ってる。こういう気付きの繰り返しだろ」
    「いつ気付くかなんて、個人差だよ。気付かないままでいることが問題なんだ。だから、晴子が気付いたと思うならそれでいいんじゃないかな」
    母親の受け売りだよ!と言うけれどこういう関係の親子って凄いし最高だと思った。

    波間に浮かぶイエローは、突然自死してしまった亡き恋人への想いを抱えている沙世。
    沙世の勤務先のオーナー芙美と突然やってきた環という女性との関係。
    オーナーの優しさや環の苦悩している様子など傷ついたものには、辛さだけではなく希望もあることを感じられた。

    溺れるスイミーは、ここではないどこかを求めてしまうが、最終的にどこかではなくここで生きようと踏みとどまることを選んだ唯子。
    あまりにも父親と同じことをしたくなかった意地なのか…。
    それだけではない気持ちもあったのではとも思う。

    海になるは、2話の晴子の行き先でもある祖母の妹のこれまでの人生。
    こんなにも苦しく辛い思いをして生きてきた道のりは、ひとことでは尽くしがたい。
    生きることに真正面に立ち向かったからの今だろう。

    どの短編も書き出しが素晴らしくて、見事なまでに引き込まれていく。
    生きるということは、楽ではないけれど心持ち楽に感じられる瞬間がある。
    それに乗っかって生きていくとどうにかなる…と思えた。

  • 波間に浮かぶイエロー、から一気に心を鷲掴みにされました。それぞれの事情、悩みを抱えた三人が気持ちを探り合い、閉ざされた心が解けてゆく。その関わり方がすごく自然で説得力がありました。人とは誤解、すれ違いもあり、分かり合えるのに時間はかかる。守り守られ、支え合うことの素晴らしさに触れ、しばらく余韻に浸っていました。
    ラスト、海になる、は何度も目頭が熱くなりました。
    この男は死神なんかじゃない、そう思ってました。やっぱり、と分かった瞬間から清音の言葉が胸に刺さって仕方なかった。私に問いかけられているようにも感じた。
    町を一つの水槽と捉え、生きることを泳ぐと表現する。
    私は、どういう水の中を泳いでいるのだろう。水槽、小さな町の。飛び出したいって思うこともある。しかし、何処へ行こうというのか。
    その場所に留まる人、飛び立つ人。生きていける場所は人それぞれ。居場所はどこであれ、いつかは自力で広い世界を泳がなきゃいけない。時に、マウスブルーダーという存在に守られ、生き辛さを抱えながらも。
    例え苦悩の連続でも、自分を信じ真面目に生きてゆけば、いつか報われる。この連作のように将来どこかで良いことがきっと待っている、そこに繋がるよ、そう信じたい。

    • kazekaoru21さん
      ありが亭めんべいさん、こちらこそフォローして頂きありがとうございます!真摯だなんて・・とんでもない、お恥ずかしいです。ありが亭めんべいさんの...
      ありが亭めんべいさん、こちらこそフォローして頂きありがとうございます!真摯だなんて・・とんでもない、お恥ずかしいです。ありが亭めんべいさんの本棚には読みたい本が沢山。こちらこそよろしくお願いいたします。
      2021/10/16
    • ありが亭めんべいさん
      わたしは性格ですがおちゃらけてしまうのでkazekaoru21さんのような真面目なコメントを読むと時に恥ずかしくなります♪ 宜しくお願いしま...
      わたしは性格ですがおちゃらけてしまうのでkazekaoru21さんのような真面目なコメントを読むと時に恥ずかしくなります♪ 宜しくお願いします。
      2021/10/16
    • kazekaoru21さん
      ほんとうはおちゃらけたいのですが、文章力(語彙力)不足でなかなかできません(汗、笑)。ありが亭めんべいさんのレビュー参考にさせてください!(...
      ほんとうはおちゃらけたいのですが、文章力(語彙力)不足でなかなかできません(汗、笑)。ありが亭めんべいさんのレビュー参考にさせてください!(*^-^*)
      2021/10/16
全606件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

町田そのこ

1980年生まれ。福岡県在住。「カメルーンの青い魚」で、第十五回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に『ぎょらん』『コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―』(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)がある。

「2021年 『星を掬う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
辻村 深月
朝井 リョウ
瀬尾まいこ
辻村 深月
寺地 はるな
伊坂 幸太郎
辻村 深月
伊吹 有喜
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×