夜空に泳ぐチョコレートグラミー (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2021年3月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784101027418

作品紹介・あらすじ

思いがけないきっかけでよみがえる一生に一度の恋、そして、ともには生きられなかったあの人のこと――。大胆な仕掛けを選考委員に絶賛されたR-18文学賞大賞受賞のデビュー作「カメルーンの青い魚」。すり鉢状の小さな街で、理不尽の中でも懸命に成長する少年少女を瑞々しく描いた表題作他3編を収録した、どんな場所でも生きると決めた人々の強さをしなやかに描き出す5編の連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • R3.11.20 読了。

     「どんな場所でも生きると決めた人々の強さをしなやかに描き出す5編の連作短編集。」…背表紙より。

     読み始めてすぐ、物語の世界に引き込まれた。魅了されていた。ここに出てくる人たちは生きている境遇も置かれた環境も決して良くはない。しかしどの短編も主人公が新たな1歩を踏み出す。その1歩に感動したし、勇気ももらえた。
     この短編集で特に好きな作品は「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」「海になる」ですね。「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」は中学生の男の子と女の子の山の展望台で見上げた広大な星々の瞬き、大きなおにぎりの味と二人の勇気のある決断と新たな1歩に感動した。「海になる」は衝撃的な冒頭からは、考えられない幸せなエンディングでした。
    二つの作品の共通点は、自分のありのままを話せる、さらけ出せる相手がいたことであり、そのことがうらやましいとも思った。
    とにかく、この2作品は私がうまく表現できないほど、素晴らしい作品でした。
     町田その子さんの別の作品も読んでみたい。

    ・「教わるもんじゃなくて、体で覚えてくもんだよ、そんなの。ひとから叩かれたら痛い。だけど同じことができる手のひらを、自分も持っている。こういう気付きの繰り返しだろ。」
    ・「だんだんと、自分が水槽の中でたゆたう魚になった錯覚に陥る。…(中略)この水槽の向こうにはもっとたくさんの水槽があるんだよね。水槽どころか、池も川も、海だってある。いちいち怖がっていたら、生きていけない。あたしたちはこの広い世界を泳がなきゃいけない。」 

    • megmilk999さん
      書評を拝読し、気になって読んでみました。読後、繰り返して思い出すのは、私も勇気がもらえたからだと思います。
      書評を拝読し、気になって読んでみました。読後、繰り返して思い出すのは、私も勇気がもらえたからだと思います。
      2022/02/18
    • 小花衣さん
      「教わるもんじゃなくて、体で覚えてくもんだよ、そんなの。ひとから叩かれたら痛い。だけど同じことができる手のひらを、自分も持っている。こういう...
      「教わるもんじゃなくて、体で覚えてくもんだよ、そんなの。ひとから叩かれたら痛い。だけど同じことができる手のひらを、自分も持っている。こういう気付きの繰り返しだろ。」
      この言葉に胸を打たれました!たしかに相手もそうだけど自分も攻撃できる手を持ってる。大切なのはそれをどう使うかなんだと気づかされました。
      2025/09/27
  • 読み終えて、読後感は凄く良かったです。
    解説にもありますが、物語の5作全ての冒頭
    の一文で物語に引き込まれていきます。
    それぞれの物語の人達が愛おしくてたまらなく
    なっていき自分の心も凄く優しい気持ちに
    なっていきました。
    読んでいくと、優しい色の中で
    本当に静かに悲しくて、儚くてという物語が
    心に響いてきました。
    沢山良かった言葉はあったけど、
    よくやった。頑張った
    いつまで背中を押せるかは分からない。
    だけど少しでも長く、寄り添えますように。
    頑張れ
    のところが私の中の祈りと重なり大好きです

  • 読み終わったら少し優しい気持ちになれる本。

    一つの街または夫婦などという狭いコミュニティでの生き辛さが書かれる。
    その中で頼れる人と出会い、懸命に泳ぐように生きる人々。自分も少しずつでも前を向いて生きようと励まされるようなお話たちだった。

  • R-18文学賞大賞受賞のデビュー作「カメルーンの青い魚」を含む5編の短編連作集。

    これがデビュー作なのか と驚きです。
    完成度が高すぎ。
    解説でも書かれていたけれど、最初の一行で引き込まれてしまう。

    どれもこれもテーマは「生き方」。
    切ないけれど、生きていくしかない。
    読後感もすごく良くって、人に勧めたい一冊です。

    町田そのこさんの他の本もよまなきゃ。。

    • aoi-soraさん
      いるかさん、私もこの本読みたいと思ってます!
      「わたしの知る花」がすごく良かったから、もっと町田さんの作品を読みたいあなぁ、と思う^⁠_⁠^
      いるかさん、私もこの本読みたいと思ってます!
      「わたしの知る花」がすごく良かったから、もっと町田さんの作品を読みたいあなぁ、と思う^⁠_⁠^
      2024/10/02
    • いるかさん
      aoi-soraさん

      おはようございます。
      この本もすごく良かったですよ~
      っていうか、デビュー作なんて、本当にすごいと思いました...
      aoi-soraさん

      おはようございます。
      この本もすごく良かったですよ~
      っていうか、デビュー作なんて、本当にすごいと思いました。
      ぜひぜひ読んで、感想を聞かせてください。。
      2024/10/02
  • 「波間に浮かぶイエロー」が衝撃的だった。重史の愛情の深さには感動する。
    どれだけ周りから嫌われても一人だけは自分のことを好きでいてくれる人がいる。
    これは確かに自分の拠り所になりそうな、力を与えてくれるパワーワードだ。

    どの短編もとても良かった。短編集で全ての編がとても良かったって言うのは記憶にないなあ。

  •  こんなに素敵な文章を書く人だったなんて、知らなかった!町田その子さん!
     晴子の母はおばあちゃんに追い出され、父はそんな晴子に関心なく、愛人と結婚するのにハンディになるとさえ思っていた。孤児同然の晴子を守ってくれたのはおばあちゃん。おばあちゃんは、昔晴子の母を鎌を持って追いかけ、「お前なんか出て行け」と追い出した人。殺人未遂だったと町では噂になり、いつも校門の前で、晴子を待ち、晴子をいじめる子供には怒鳴りつけていた恐ろしいおばあちゃんだった。だけど本当は恐ろしい人ではなかった。
    「おばあちゃんは、私は晴子のチョコレートグラミーになってあげるからね」って言ったの。
    チョコレートグラミーはマウスブルーダーという魚のこと。親が口の中で稚魚を育てて外的から守る魚だ。でも、いつかは親の口から出て自分一人で泳いでいかなければならない。
    いじめられっ子の晴子をクラスでたった一人守ってくれたのはシングルマザーに育てられている啓太。
     啓太と晴子が夜の展望公園から見た町は山に囲まれすり鉢状で、金魚鉢みたい。そして二人は夜空を泳ぐ魚になったみたいだった。寄り添い合って生きられればよかっただろうけど、晴子のおばあちゃんは認知症になり施設に預けられ、晴子は遠いところにいるおばあちゃんの妹に預けられる。
    「この水槽の向こうにはもっとたくさんの水槽があるんだね。水槽どころか、池も川も、海だってある、いちいち怖がってたら生きていけない。あたしたちはこの広い世界を泳がなきゃいけない」
    遠い国から捕獲されて水槽の中で生きている熱帯魚は、生きているだけで息苦しいのかもしれない。けれど、水がなければ生きていけない。

     カメルーンの青い魚ことアフリカン・ランプアイ、チョコレートグラミーことマウスブルーダー、ブルーリボンことハナヒゲウツボ、スイミー。この小説は5章からなるというか、5編の短編からなっていて、それぞれの中に前の短編に出ていた登場人物が再登場する。初めの4編全てに共通するのは海の生き物のイメージ。そして最後は「海」。
     山に囲まれた金魚鉢のような街で、行き辛いけれど、もがきながら生きている登場人物たち。たった一人の大切な人を待ちながら、たった一人の大切な人との約束を守りながら、たった一人の大切な人の生きた証を探しながら。
     海のイメージは空のイメージに通じる。そして、海のイメージは母親の胎内の「羊水」のイメージにも通じる。
     生まれてからネグレクトに苦しむ子でも、誰でも初めは羊水の中で守られていた。だけど、月が満ちれば、みんな羊水から出て、広い海へ出ていかねばならない。喘ぎながら泳いでいかねばならない。
     この小説を読んでいると、どうにもならない愛しさと悲しさを思い出し、鼻の奥がツンとなった。そして、誰かに包み包まれた感覚を思い出してお腹の中があったかくなった。
     優しく、官能的で、美しく、悲しく、強い小説だった。

  • 人間は脆くて弱い生き物だと思う
    だけど同時に強さを持っている
    私たちには生きていく力があるんだ


    【カメルーンの青い魚】
    【夜空に泳ぐチョコレートグラミー】
    【波間に浮かぶイエロー】
    【溺れるスイミー】
    【海になる】

    5編が収録された連作短編集


    どの話の登場人物たちも苦しさや辛さを抱えながら生きている。
    でも誰かに打ち明けることで気持ちが楽になり、前に進む勇気が出る。

    「溜まっていた重石を吐き出すように、半年ほど前からの話をした。どんどん楽になっていく心に、俺は誰かに聞いて欲しかったんだなと思う」
     ──【夜空に浮かぶチョコレートグラミー】

    私たちは一人じゃない
    きっと分かり合える誰かがいる




    私が好きなのは【溺れるスイミー】
    小さな町の菓子工場で働く唯子。
    唯子の父は〝離れたくなる衝動をどうしようもできない〟人だった。
    何度も何度もふらりと消えては、なかなか帰ってこない。
    唯子もまた父と同じ衝動に駆られるのだ。


    「俺と一緒に行こう、唯。このトラックに乗って、移動して暮らすんだ。お互いが息ができる場所を探そう」

    宇崎くんに誘われた唯子。
    「私、行く。行きたい」
    言葉にすると心臓が弾けそうなくらい高まった。

    なのに、なのに…
    唯子は踏みとどまる決心をする。
    「楽な場所を求めて彷徨うことよりも、あの町での呼吸の仕方を覚えなきゃいけない」


    もう読んでいて苦しくて、苦しくて、涙が止まらなかった。
    唯子が自分で選んだ未来。
    どうか、どうか、幸せが待っていますように…


    あぁ〜
    すごく良かった
    きっと繰り返し読む事になるだろう一冊

    • shintak5555さん
      だって自分やつ備忘録になってないんですもん!
      やっぱ真面目に備忘目的のレビューをしっかり書こうと決意した今日この頃!
      だって自分やつ備忘録になってないんですもん!
      やっぱ真面目に備忘目的のレビューをしっかり書こうと決意した今日この頃!
      2025/10/10
    • aoi-soraさん
      シンタロウさん
      備忘録、大切ですね
      私ももっと頑張って感想書かなきゃ
      相関図とか?
      面倒くさいからやらないけど(^_^;)
      シンタロウさん
      備忘録、大切ですね
      私ももっと頑張って感想書かなきゃ
      相関図とか?
      面倒くさいからやらないけど(^_^;)
      2025/10/10
    • shintak5555さん
      (・_・)
      (・_・)
      2025/10/10
  • 初めての町田そのこさん。ものすごくよかったです。新聞で見たのですが、町田さんは自分の好きな作品を全文写して独学で学んでいたとありました。
    それでいてこれだけの完成度の高い作品に驚きです。

    本作は圧倒的な優しさで包まれる連作短編集です。
    人生という大きな海を泳いでいく登場人物たち。それぞれが繋がり支えあって生きています。離別、ネグレクト、近親者の死、性的マイノリティ、放浪癖、DVなど生きづらさも様々です。彼ら彼女らのやり取りの温かさが生きることの肯定や癒しを読むものに与えてくれます。魚になって温かな水のなかを泳いでいるような心地よい空間のとりこになってしまいます。

    短編の全てに共感してしまったのですが、私の場合は放浪癖です。「ここではない何処か」を求めてさ迷う宇崎と唯子。自分のことを誰ひとり知らない街を彷徨します。私も知らない街を歩くと解放感で爽快な気持ちになったことを思い出しました。こうした一人旅も悪くはない。
    ただ、宇崎や唯子ほどになると、癖(へき)としか言いようがなくなる。きっと自分をリセットし続けているのではないでしょうか。

    一人ひとりの登場人物が、優しい。それはたくさんの悲しみを知っているからこそ見せる本当の優しさだと思います。だから、作中のやり取りに心が温まります。読後感がとてもよいです。
    すいびょうさん、素敵な本の紹介ありがとうございました。


    • あゆみりんさん
      こんばんはっ。
      私もこの本、大好きです。
      一行目で笑いました、あっという間に引き込まれました。
      少年少女が現実を受け止めて、前を向いて進んで...
      こんばんはっ。
      私もこの本、大好きです。
      一行目で笑いました、あっという間に引き込まれました。
      少年少女が現実を受け止めて、前を向いて進んでいく時、グッときました。
      2023/02/11
    • ちゃたさん
      あゆみりんさん、こんばんは。

      コメントありがとうございます(^o^)一行目すごいですよね。正に名文。どの短編も弱さや悩みを抱えながらも進む...
      あゆみりんさん、こんばんは。

      コメントありがとうございます(^o^)一行目すごいですよね。正に名文。どの短編も弱さや悩みを抱えながらも進む登場人物に終始、共感、感動でした。
      2023/02/12
  • いつも立ち寄る本屋さんで見かけたPOPと、町田さん直筆の色紙に促されて購入した『宙ごはん』で1ラウンド(初めて読んだ町田さんの作品)KO、次に読んだ『52ヘルツのクジラたち』で(勿論、良い意味で)立ち戻れないダメージを受けました。
    そこで、町田さんの作品を全て読むと決め、先ずはデビュー作からと思い、本書を購入しました。
    (今では、全作品を購入して読了。町田さんの作品に益々惚れ込んでしまいました。新作の発表が待ち遠しいですね)
    一方、『宙ごはん』、『52ヘルツのクジラたち』と比べるのは酷かなという懸念も正直ありましたが、読み進めるうちにその心配はあっと言う間に払拭され、収録されている5作品全て(というより、一つの長編を読んだ感じが強い)に魅了されました。(町田さん、疑ってごめんなさい)
    先の2作品とは違った満足感と恍惚感に浸る事が出来、改めて町田さんの才能と作品にかける情熱に、畏敬の念を抱きました。
    その中でも『カメルーンの青い魚』と『波間に浮かぶイエロー』は、ミステリー好きである私のお気に入りの作品で、特に『波間に浮かぶイエロー』のある一文は、以前読んで見事に騙された『アクロイド殺害事件』と『ホッグ連続殺人』のある一文(真相が判明した後に読み返すと、両作者の仕掛けに感服)を思い出させました。
    また、別の作品ですが『うつくしが丘の不幸の家』を読むと、明らかにミステリーを意識されて書かれていることもあり、その方面のポテンシャルにも恵まれていらっしゃるのは間違いないと感じました。
    以上を踏まえて、次の2作品を彷彿とさせてくれる(出来れば凌駕する)町田そのこ節のミステリーを発表して欲しいですね。
    『天使が消えていく』夏樹静子さん
    『天使の傷痕』西村京太郎さん
    この2作品は、ミステリーとして優れているのは勿論ですが、それ以上に私の記憶にあるのは「母親の我が子への愛情」が描かれていることです。
    2作品共に読んだのは20年以上も前ですが、最終ページの母親の言葉は鮮明に覚えています。
    今でも折に触れて何度もそのページを読み返すことがありますが、その都度目頭が熱くなり、また、初読当時の自分に戻ることが出来ます。
    「わたしの天使ちゃん!」天使が消えていく
    「あの子のために」天使の傷痕
    町田さん、出版社の皆さん、宜しくお願いします。

  • みんな息苦しさを抱えて、ひたむきにそれぞれの水槽の中の日常を生きているんだろうなあ、と思わせる5編の連作短編集。
    社会的弱者とされる登場人物達が、衰退気味の地方都市を舞台にストーリーが繋がっていく。
    5作とも、愛を探して自由を模索する人達を描いている。彼らは弱者であっても弱い者ではなく、水槽の中で泳ぎ続ける事で未来を描く。そこに、強さと魅力があると思う。そして、各作品に仕掛けが施されており、さらに心地よく感情を揺さぶります。
    どれも良作でしたが、「溺れるスイミー」に惹かれました。自身の欲求に揺れる女性が、その欲求のまま行動せず、踏み留まる。彼女の選択が正しくあってほしい。群れることのできない彼女の為に。

  • 絶句した。
    凄い!
    読みやすくて、それこそ水槽の中のメダカのようにスイスイ泳いでいける感じなんだけど、読み進むたびに物語の奥行きが広がって、切なさが深まっていく。

    連作短編集。
    5編の短編全てが素晴らしくて愛おしい。

    2021年本屋大賞の「52ヘルツのクジラたち」よりも、僕ははるかに感動した。
    全ての人に読んでほしい本。

  • 5編の連作短編。
    どちらかというと短編があまり得意ではないのですが、
    この作品は夫から
    読んで感想を聞かせてほしい
    と言われ、今回手にとりました。

    解説にもあるように
    冒頭や終わり方が素晴らしい作品もあり、
    ところどころ涙を流しながら読んでもいたのですが‥‥‥

    読み終わった後の1年後、2年後、そのまた先まで繰り返し思い出す
    そんな心に響く作品を求めすぎているのか、
    4作品目までは、どうも深くまではささらず。
    瞬間的に私の中を通り過ぎていく作品なのかなぁと感じていました。

    しかし、最後の5作品目「海になる」で
    さまざまな感情、思いが溢れてしまい
    この先もずっと
    私の心の中に留まるであろう作品となりました。
    女性には辛い描写もありますが、
    「海になる」美しい作品でした。


    最終的な評価は
    ☆3.6の4になりました。


  • 初読の作家だが、非常に良かった。
    特別な感情、環境を持った者たちが、優しさを持ち寄りながら、変わろうと今を飛び出す者、今と戦おうとする者に別れて、未来を追い求めていく。
    登場人物がリンクする連作短編なのだが、どうしても「溺れるスイミー」の人物リンクが、わからなかった。読み返してみて、なるほど!スッキリ!の人物がちゃんといましたよ!

  • とても良かったです。5話の連作短編です。それぞれの話しがちょっとした所や人物で繋がっていて短編としても楽しめますが、一冊を通しての物語としても楽しめます。人は人の数だけ様々な状況があり、人との関わりで悩みや辛い状況は生まれる。ただ、その解決への糸口も人との関わりがとても重要ということ。せつないシーンも数多くありますが、その苦難を乗り越えていく過程や感情が丁寧に描かれていてとても良い作品だと感じました。そして町田さん作品は読みやすいです。魚に例える表現も新鮮で楽しめましたし勉強になりました。

  • 生きづらさを抱えた人たちに光を当て、読んでいる私たちにも生きる希望を与えてくれる、そんな素敵な作品だった。
    「カメルーンの青い魚」は、この作者のデビュー作。最後の仕掛けが、私たちには見えなかった、サキコの満ち足りた幸せを味わわせて、余韻に浸らせてくれる。
    そして、表題作の「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」から「波間に浮かぶイエロー」「溺れるスイミー」「海になる」まで、読む人の期待を裏切らない素晴らしい構成で、すっかり感動の渦に巻き込まれてしまった。
    決して恵まれた境遇とはいえない人たちを、こんなにもさらりと書いてしまえるなんて驚きです。
    人は誰でも孤独だけれど、もがきながらもいつだって自由に泳いでいたい。
    この物語を読んだら、どこまでも果てしなく強く生きていけるような気がします。

    • m.cafeさん
      教えてくださってありがとうございます♪
      教えてくださってありがとうございます♪
      2021/06/18
    • m.cafeさん
      ゆうママさん。
      週間ランキング、たぶんこれです^ ^
      ありがとうございます‼︎
      ゆうママさん。
      週間ランキング、たぶんこれです^ ^
      ありがとうございます‼︎
      2021/06/18
    • アールグレイさん
      m.cafeさん
      iPhoneなんですか?
      とにかく、見ることができて良かった!
      m.cafeさん
      iPhoneなんですか?
      とにかく、見ることができて良かった!
      2021/06/18
  • 町田そのこさんの初読みは『コンビニ兄弟』で、他の作品も読みたくなって選んだ本作品がデビュー作でした。
    出だしの一文にこだわっているなと思ったら、町田そのこさん自身が「絶対に大事だ」と語っていました。

    "国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。"
    "吾輩は猫である。名前はまだ無い。"

    のどちらかが、書き出しの認知度第一位でしょうが、どの作家さんも書き出しをどうするかで推敲を繰り返していると思います。
    本作品では出だしの一行のインパクトが強く「どういうこと?」と思わせられ、先へ先へと読み進まされてしまいました。

    「カメルーンの青い魚」
    大きなみたらし団子にかぶりついたら、差し歯がとれた。しかも、二本。
    → これがデビュー作の書き出しかと思っていると、すぐに差し歯になった理由が語られ物語に引きずり込まれる。

    「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」
    夏休みに入るちょっと前、近松晴子が孵化した。
    → 「孵化した?」魚に「近松晴子」と名前を付けたの?と思ったが、晴子は人間で、それまで抑えていた感情を爆発させる行動を「孵化」と言っていたことがわかる。

    評価の高い本作品ですが、共感できない登場人物も多く終始重苦しい雰囲気です。

    ドロドロした大人の世界が描かれている中で、不憫な生活環境で生きている子供たちの凛々しい立ち振る舞いに救いを見出していました。

    5作品の全てに、これまで自分が接したことがないような人ばかり出てきて、そんな人たちが何処かで繋がっている。

    自分勝手な男どもが何人も登場して嫌になる。
    特に中学の教員で生活指導の主任でもある夫の酷い暴力や言動は、パワハラやセクハラを越えて犯罪の域に達している。
    小説とはいえ、殺されそうになっても逃げださずにいつまでも夫のそばにいる女の姿も理解できない。

    「どんな場所でも強く生きると決めた人々の強さをしなやかに描き出す」の「強さ」が「我慢強さ」に感じられて素直に共感できなかった。

    『コンビニ兄弟』は続編が出たら読みたいのですが、町田そのこさんの他作品は自分とは合わないような気がしてきました。
    ブクログのフォロワーさん達のほとんどが絶賛しているので、私の感覚がズレていることに間違いありません。
    残念ながらちょっと馴染めなかったというのが正直な感想です。

  • すっごい良かったー!
    『52ヘルツのクジラたち』の小魚短編バージョンという感じ。生きづらい人たちを魚になぞらえているところが、とてもお洒落で似ていると感じた。
    構成もまた素晴らしくて、一つ一つのストーリーが少しずつ繋がっている。
    切なくて辛い場面も多いのに読んでいてあたたかい気持ちになる話ばかり。
    読み終わってすぐもう一度読んだ。誰かに認めてもらうこと、誰かに好きだと言ってもらうこと。それが生きる力になるんだよね。

  • 冒頭からグッと心を掴まれ、その先の展開が気になって読む手が止まりませんでした。
    リアリティに満ちていて目を覆いたくなるような描写もありましたが、現実を突きつけられた気がしました。

    さまざまな登場人物は、水槽を泳ぐ魚として描かれています。
    自分の居場所を求めて、今いる場所に留まる魚、旅立っていく魚、戻ってくる魚、死を選ぶ魚。
    それぞれが、水槽しか知らない魚たちです。

    彼らは悲しみも苦しみも循環し昇華してくれる“海"の存在を知りません。
    しかし、人との出会いによってその海の存在を知り、それぞれの幸せを見つけにいく物語で、「自分の居場所」「幸せ」「大切な人」「約束」「生きる」について深く考えさせられました。

    各短編小説が絶妙に絡み合う構成もとても素敵でした。

    「大切な人」がどこか遠くに離れてしまったとしても、その人は心の中で生き続けます。
    自分が離れる側になったとしても、誰かにとってそうであるのかもしれません。

    もし別れが訪れると分かっているのなら、後悔する前に「大切な人」であることを、言葉だけでなく態度でもきちんと伝えたいと思いました。
    その人の心に残ろうと別れを選ぶくらいなら、そばにいられる道を選びたい。
    それでも一緒にいられないのなら、「あなたは大切な人です」と伝えておきたい。
    ーーそんな思いを抱きました。

  • 先日、52ヘルツのクジラたちを読み、この作家さん素敵なお話を書くなぁ、、、
    別の作品も詠んでみたいなぁと思っていたところ、古本屋さんで見つけたので購入。

    読んでみると、短編集のようだ。

    「カメルーンの青い魚」
    両親を知らず、祖母に育てられたサキコという女性と、児童養護施設で育った乱暴者の「りゅうちゃん」の話。冒頭、サキコと啓太のお団子を食べるシーンから始まるのだが、物語はまさかの展開に!
    もう少しこの物語に浸りたいという思いのまま、この物語が幕を閉じてしまう。

    だから短編は嫌いなのよ。。。
    とガクっと落ち込みながら次の物語へ進む。


    「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」
    あれ!?この名前は!?この街は!?
    先程読んだ作品と緩やかに繋がっている!?
    お!?これは短編と言いながらも、繋がっていくパターンなのか!?

    祖母に育てられ、守られ、同級生からいじめの対象となっていた女の子が、見事にボス的地位の同級生をノックアウト!
    それを見ていた少年は、「よくやった」と彼女を褒める。その少年は、先程読んでいた話に出てきていた子だった。


    「波間に浮かぶイエロー」は、男から女に変る途中の飲食店経営者と、そこを訪れた妊婦の物語。この物語にも、1番最初のお話のサキコが登場する。

    「溺れるスイミー」は工場で働く女性とダンプを運転する男性の出会い。


    「海になる」は、夫のDVに悩む妻の物語。
    この物語も、先に読んだ物語へと繋がっていく。


    それぞれの話の中の登場人物は、それぞれの生き辛さを抱えている。
    生き辛い、切ない気持ちも、この作家さんにかかると何故か前向きな気持ちに変化する。

    優しい言葉遣いなのか、登場人物の強さなのか、この作家さんは素敵な物語を紡ぐ方だなぁと益々好きになった!
    他の作品も読んだみたい!

  • 町田そのこさんの作品は初

    いきなり、団子に刺さった2本の差し歯の絵面が頭から離れなくなる(笑)

    短編集だけど、それぞれがそう感じさせない力強さと深さがあり、人と人がつながっている
    登場人物はみんな様々な境遇の中、必死にもがいて生きていて、一生懸命自分の居場所を探していた
    1人ではどうしようもなくて、周りの温かい人に助けてもらったり、助けたり
    そして優しく包んでくれる人生という名の海へ飛び出す

    こういうのを読むと、普段何気なく接している人でも、知らない所では想像出来ない環境の中で必死にもがいて生きているのかもしれない、と思う

    チョコレートグラミーってお菓子かと思っていたけれど、お魚だった
    調べたら、興味があるものをツンツンと触って確かめるグラミータッチと呼ばれるアクションが特徴的で可愛らしい熱帯魚
    口内で卵を孵化させ、ある程度稚魚が大きくなるまで口内で保護するって
    作中にも「マウスブルーディング」と出てきますね

    違う作品も読んでみたい

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著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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