鏡じかけの夢 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2021年5月28日発売)
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本 ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784101029412

作品紹介・あらすじ

その鏡は、磨く者の願いを叶えるという。会いたい、羨ましい、妬ましい、もっと欲しい、憎い……。願えば願うほど、心に秘めた黒い欲望は醜く膨れ上がり、全てを呑み込む。看護婦の羨望。鏡研ぎ師の嫉妬。踊り子と富豪の禁忌の愛。戦争孤児と奇術師の絆。ヴェネツィアの双子姉妹の過ち――。鏡に魅入られた人々が陥る、束の間の甘美な愉悦と残酷な結末を描いた、五つの物語。解説・飯豊まりえ。

感想・レビュー・書評

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  • ヴェネツィア産の磨けば願いが叶う鏡とそれに関わって人達の話5つ!

    鏡って怖いな〜特に夜に見ると。
    ピエロとかも怖いけど。
    ここで、出て来る鏡は、かなり怖そう。

    磨けば叶うと半分疑いながらも、実践してしまう人達。
    でも、ホントは、鏡やなく、そこに映ってる自分自身が…
    自己暗示みたいになって、信じてしまうんかな?
    かなり追い込まれた状態で、鏡に遭うから。自分が、毎日、寝癖直す為に見てるような状態やないからな。

    しかし、上手く作られてる!
    鏡に魅せられて、崩れていく人達。5つの物語、それぞれの人達と鏡。
    人は、物語毎に変わっていくけど、鏡は同じ。
    時代が流れても生き残っているのは鏡だけ…
    やっぱり、この鏡には何かあると思わずにはいられない!

    この作者さんのは、読み易いし、面白いので、いつも一気読み!(^-^)v




    さて、『スワン』読も!

    • ultraman719さん
      ユッキー愛が半端ない〜w
      ユッキー愛が半端ない〜w
      2024/02/28
    • yukimisakeさん
      次はゆーきさんの元へ~(全裸)
      Ⅰ( ~ᐕ)~( ~ᐕ)~( ~ᐕ)~( ~ᐕ)~
      鏡の間で捕まえて♡(ライ麦畑でのノリで)...
      次はゆーきさんの元へ~(全裸)
      Ⅰ( ~ᐕ)~( ~ᐕ)~( ~ᐕ)~( ~ᐕ)~
      鏡の間で捕まえて♡(ライ麦畑でのノリで)
      あ、24時じゃ無かった!笑

      ITめっっちゃ怖いですよね!旧バージョンのやつ!
      2024/02/29
    • ultraman719さん
      全裸で、捕まえられる方が怖いって!
      全裸で、捕まえられる方が怖いって!
      2024/02/29
  • 人間の飽くなき欲望が皮肉的に描かれています。
    また、古い鏡のように少し怪しいものに惹かれる気持ちは、分かる気がします。

    「二回も騙される奴があるか。」

  • 人の願いを叶えると言われる世にも美しく恐ろしい魔力を秘めた鏡。
    この一枚の鏡が場所や時代を流浪し、関わる人々の運命を狂わせていく5編の物語だ。

    主人公は純粋で健気な人たちで、日々の暮らしを誠実に送っているはずだった。
    しかし鏡と出会うことにより、秘めていた欲望と心の闇をあらわにしていく。

    増すばかりの欲望がやがて破滅へと向かっていく過程が恐ろしくもあるのだが、おぞましい情念がどこに行き着くのか、好奇心に駆り立てられ一気に読み耽けてしまった。
    さらに恐ろしい執念とは裏腹に上品で美しい文体が物語の時代背景と共に妖しさを増し、耽美な世界に引き込まれた。
    以前『満願』を読んだ時も思ったが、
    人の秘められた狂気はなぜこんなにも魅力を放つのか。
    背徳感と怖いもの見たさのツボにハマってしまった読後感だった。

  • 優美な独特の世界観に引き込まれた。
    磨けば願いを叶えてくれるという鏡を前にして、人間の欲望は果てしない。
    なんでも叶えてくれるとしたら、私なら何をどう願うだろう。
    考えるだけで恐ろしくなってしまった。

  • 磨く者の願いを叶える美しい鏡
    願いはどんどん醜く膨れ上がっていく
    鏡に願いをこめる者達の運命とは
    時代と場所をかえて描かれる

    人の醜い欲深さと恐怖を感じる
    後味は非常に悪い
    好き嫌いが分かれる小説
    醜さもあるのだけれど美しさも感じる
    不思議な感覚に陥る

    この小説を色に例えると
    紫と黒

  • 「泣きぼくろの鏡」、「ナルキッソスの鏡」、「スタアの鏡」、「奇術師の鏡」、「双生児の鏡」の5篇が入った短編集。それぞれ独立したお話なのかと思っていたら、登場人物こそ違うものの、いずれも同じ鏡がからむ物語だった。

    面白かった。すぐに引き込まれた。読みやすいし先も気になる展開だしで、あっという間に読み終えてしまった。

    場所も時代も登場人物も違うし、語り口も違うのだけれど、共通するのは何かを願う気持ちの強さ。それが鏡にどう反射されるのか、果たしてどこまでが鏡の力なのか。ざわざわした気持ちで読み進めると、ダークで思いがけない結末を迎えるものだから、余韻がすごい。

    どれも面白かったなーーー。哀しいんだけどね。

  • 「磨けば望みが叶う」鏡にまつわる短編集。この鏡に関わったことで、やっぱり欲が出るのか‥結局は不幸な結末を迎える‥人間模様の描き方が素晴らしいと思います。

  • 4.3
    →短編集なのですが、どの話にも同じ鏡が関わっていて、その鏡を巡って様々な事件が起こるお話です。
    どの話も、どういう展開になるのか全く読めず、すごく楽しんで読むことが出来ました!今回もとても面白かったです。
    おすすめです‪☺︎‬

  • 不思議な鏡にまつわる短編集。どれも面白くて読み応えがありました。
    最初は純粋な気持ちでいた主人公たちが次第に鏡に魅せられて醜い欲望を曝け出す様がとても良かったです。イヤミスが好きな方おすすめです。

  • 飯豊まりえさんの解説と被りますが、最初から最後まで安定の面白さです。鏡に宿る不思議な力…読めばわかるこの微妙かつ絶妙な「不思議さ」の感覚を是非味わってほしいです。全話◎なのですが、敢えて1番を選ぶとしたら最後の“双生児の鏡”ですね。ありがちとも意外とも感じられますが、なんとも言えないイヤな後味です。

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著者プロフィール

兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ロヨラ・メリーマウント大学院で映画・TV製作の修士号を取得。2008年、短編「雪の花」で第3回「Yahoo!JAPAN文学賞」を受賞、翌年、同作を含む短編集『雪の花』で作家デビューを果たした。ダークミステリー『暗黒女子』は話題となり、映画化もされた。他の作品に『絶対正義』『サイレンス』『ジゼル』『眠れる美女』『婚活中毒』『灼熱』などがある。

「2021年 『息子のボーイフレンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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