邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき (新潮文庫)

  • 新潮社 (2023年3月29日発売)
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  • 本 ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101029627

作品紹介・あらすじ

20XX年平壌でクーデターが勃発、北朝鮮軍部はムスダンリからミサイル発射を企んでいた。米国は自国保護のためピンポイント爆撃へと動き出す。だがその標的近くで日本人拉致被害者6名が生存していることが発覚。日本政府は邦人奪還のため自衛隊特殊部隊の投入を決断するが……。海上自衛隊特別警備隊の創設者が、政府の動きや作戦行動を完全シミュレーション。驚愕のドキュメントノベル。

感想・レビュー・書評

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  • 北朝鮮の拉致された日本人を自衛隊が救出に行く。海上自衛隊特別警備隊の創設者という作者が書くストーリーはリアルな感じがして当然と言えば当然か、全く実際を知らない自分にはそれを評価することはできないが。
    純粋に小説として面白かったかと言えば、それほどでもない感じなのはリアルに過ぎるからだろう。自衛隊特殊部隊の任務遂行、国のトップで最高責任者の総理とその周りの頼りない政治家、こんな話を面白がるようでは行けないと自省すら起こるし、他の誰にも勧めない、もう一度読むことはない。自国を思う自分に少し自己嫌悪にすらなる小説はあまり嬉しくはないかな。

  • 自衛隊特殊部隊の創設に関わったという著者が放つドキュメントノベル。
    さすが臨場感に溢れ、迫力満点。
    北朝鮮でクーデターが起き、日本人拉致被害者が生存しているという情報を得、海自の特別警備隊が奪還に向かう。
    政治家や制服組の懸念にもかかわらず、警備隊らは奪還を強行する。
    事前情報とは異なる状況に、多大な犠牲を払うことになるが、その一連の出来事の背景にはアメリカのある陰謀があったとは。
    複層的に外交政治を絡ませ、単なる奪還劇に終わらせず、読み応えがある。
    「日本人は、一旦愛国心に火が付くと右も左もなくなる」という、ある人物の言葉は心に留めておかねば。
    また、「自衛官は、捕虜にならない。なれないんだよ。日本の軍隊はないと憲法で宣言しているよな。だから軍人は存在しない。軍人じゃない人間は捕虜になれない。ジュネーブ条約だの何だので規定してある捕虜の権利は一切認められない。それが自衛官だ」は、元自衛官の著者の体験から出た言葉だろう。自衛隊の特殊な立場を感じられずにいられない。

  • 実話ではないが、作者は自衛隊出身なので、かなりリアルに日本の自衛隊や海上保安庁について書かれていたのではないかと思う。
    ハラハラドキドキもしたが、軍隊ではないことが前提の自衛隊はいろいろな矛盾をはらんでいて物事を複雑にしているということがわかった。

  • 尖閣諸島上陸からスタートし、最後は北朝鮮拉致被害者の奪還へのフィクションではあるが、元自衛官だけあって生々しい描写とリアルある話であった。特に決断力のない国民世論だけを気にする政治家の様子がまさにリアル。そして綺麗事では済まない話の展開とエンディング。最後に奪還した邦人の話があまり詳しくなかったのが気になるところでは会ったがいつ起きてもおかしくないそんな話であった

  • 日本て『現場は超一流』『政治はニ流以下』です。

    いつも日本を守ってくれている自衛隊に感謝です。

    現実には本書のような『行動』が出来るのかは知識がありませんが、いまの日本て「外交」がサッパリなのでますます自衛隊への負担が増すばかりだと思いました。



  • 海自の特殊部隊である特別警備隊の第3小隊長、藤井3佐は隊長の久遠から「尖閣諸島の魚釣島に上陸した不法潜入者の処理」を命じられた。何者かに日本の国旗を中国国旗にすり替えられたのを海保が発見した為である。
    極秘裏に処理せよとの指示に基づき、藤井以下3名の隊員は任務を遂行する。
    その後、平壌での軍事パレードが爆破され、クーデターが推測される中、ムスダンリに拉致被害者6名が人間の盾とされ、米軍のピンポイント爆撃の情報がもたらされた。これに対し手代木官房長官の思惑により、葛田総理はこの拉致被害者の救出を決断し、陸自特殊作戦群及び海自特別警備隊を主力とした奪還作戦を立案した。
    日本の特殊部隊の高い能力と問題点を示し、平和ボケした政治家による無責任な政治決断、そして各国のウラの思惑が入り乱れる国際情勢を描いた近未来のシナリオである。

  • 全てではないが海上自衛隊特警隊の小隊長・藤井3佐に仮託した著者の思いは理解できる。魚釣島での事案をプロローグに、特殊部隊の運用が説明される。政府の思惑、自衛隊高級幹部や幕僚長の能力、現場で身体を張る自衛官の思いが複雑に絡み合う構成だ。しかし、伏線が張られ(問題提起され)ても、それを回収しないモヤモヤ感が残った。巻末のかわぐちかいじ氏と著者の対談も、なんだかかわぐち作品の宣伝のように感じてしまった。

  • 国のためならば、命を捨てても任務を果たそうとすることができる人がこの日本にはいる、そういう人たちが報われるための、行かせる側の覚悟が欲しいという、氏の「国のために死ねるか」から通底する思いが、本書でも綴られているのだと思う。

  • 何だかありそうな話で色々と考えさせられる作品でした。自衛隊の方々には常日ごろから頭が下がる思いです。

  • 元自衛隊特殊部隊の著者が書いたドキュメントノベル。弱腰の政治家を活写しながら、戦闘シーンも適確でとても楽しめた。

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著者プロフィール

伊藤祐靖(いとう・すけやす)
元海上自衛隊特別警備隊先任小隊長。昭和39(1964)年、東京都生まれ。日本体育大学卒業後、海上自衛隊入隊。防大指導官、「たちかぜ」砲術長等を歴任。イージス艦「みょうこう」航海長時に遭遇した能登沖不審船事件を契機に、自衛隊初の特殊部隊である特別警備隊の創隊に関わり、創隊以降7年間先任小隊長を務める。平成19(2007)年、退官。拠点を海外に移し、各国の警察、軍隊などで訓練指導を行う。著書に『国のために死ねるか』(文春新書)、『自衛隊失格』(新潮文庫)、『邦人奪還』(新潮社)などがある。

「2023年 『日本の特殊部隊をつくったふたりの“異端”自衛官 - 人は何のために戦うのか! -』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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