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本 ・本 (276ページ) / ISBN・EAN: 9784101030043
感想・レビュー・書評
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読み終わった他の本に比べて、後味が悪いというかスッキリしない話の割合が多かった気がする。登場人物が破滅的というか。若い頃に書かれたものが多いようなので、その影響も出ているのかな。
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高校生の時に授業で「城之崎にて」を読んで苦手だなぁと思った。
最近チラホラ断片的に読んで、今ならイケるかも?と読んでみたけど、相変わらず志賀直哉は私に冷たかった。ページから目を背けたくなるほど痛そうなのはだめだなぁ。
それでも、予測不能の展開や心情描写はおもしろかった。 -
「快楽原則」の人。文体においても、行動においても。そしてひたすら「見る」人。視点人物の「見る」という動作がしゃんと肉体に結びついている。見続けると目が疲れるという当たり前のことを書ける作家。ヌーヴォー・ロマンの連中とは決定的に違う点。
ロマネスクな作品の方が出来がよい。「菜の花と娘」「剃刀」「正義派」「范の犯罪」。家族物は偽善者ぶりが発揮されてつまらない。「濁った頭」は糞。 -
志賀直哉著『清兵衛と瓢箪 ; 網走まで 57刷改版』(新潮社)
1968.9発行
1999.9改版発行
2020.9.10読了
志賀直哉(1883-1971)の初期作品を収める。志賀直哉は人道主義・理想主義を旗印とする白樺派として知られているが、自分は少なくともこの短編集から人道主義的要素を見出せなかった。むしろ作者のエゴイズムが前面に押し出されていて、読む者に強烈な印象を与える。エゴイズムへの挑戦とその挫折が全編を貫く彼の系譜だと感じた。自我肯定と社会倫理がうまく調和すれば「出来事」のような心地よい一体感も出てこようが、どちらかというと志賀直哉はエゴが最も尖鋭化する性欲やロマンティック・ラブをテーマにした短編を多く書いているようだ。濃淡はあるが、「網走まで」のように青春の一コマで済むようなものもあれば、「彼と六つ上の女」のように溺れることもある。我執も度が過ぎれば憎しみに変質するだろう。行きすぎれば破滅願望へと転落し、果ては監獄か瘋癲院か。若い頃の志賀直哉はどうもそういう気質があったように思われる。
志賀直哉の初期作品は後年の「城の崎にて」に代表されるような簡潔でリアリズムに徹した文体となっていない。ところどころくどい文章も散見される。だが、作者の鋭敏な観察眼によって人間の底深い部分が抉り出されて明々と解剖台に晒されているのは事実だ。己の感情をまるで私屍を晒すような大胆さで写実している。現実の流れる時間の中では摑み損ねてしまうような一瞬一瞬の感情の変化・推移を見事に小説世界に閉じ込めてしまっている。細に入って観察し、それを大胆に表す。これが後年の完成された文体の秘訣か知らん。
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000136-I1130282271215086208 -
かなり良い
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志賀直哉の初期の作品集。
1番初めの小説が「暗夜行路」だと思ってたけど、違った。
胸糞悪いものも、あった(剃刀や濁った頭、児を盗む話)。
反対に、好きなものは「菜の花と小娘、網走まで。」
「清兵衛と瓢箪」では、おい周りの者々、清兵衛くんにもっと理解を示さんか、という感想を抱いた。 -
志賀直哉初期の短編集。時代は明治から大正にかけて。
教科書に出てくるような作家なので、敬遠しがちだったが、読んでみるととても面白い。
表題作の2つもこんな話だったのねと面白く読めた。
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志賀直哉の作品





