「私」を受け容れて生きる 父と母の娘 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2021年7月28日発売)
4.43
  • (3)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 45
感想 : 5
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (376ページ) / ISBN・EAN: 9784101030715

作品紹介・あらすじ

それでも、人生は生きるに値する。彫刻家・舟越保武の長女に生まれ、高村光太郎に「千枝子」と名付けられる。大学を卒業後、絵本の編集者となり、皇后美智子様の講演録『橋をかける』を出版。だが、華々しい成功の陰には、幾多の悲しみがあった。夫の突然死、息子の難病と障害、そして移住した岩手での震災……。どんな困難に遭っても、運命から逃げずに歩み続ける、強くしなやかな自伝エッセイ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 彫刻家を父に持ちクリスチャンとして本や芸術に寄り添う著者。

    特にドイツの子供達が絵本を必要としている、その活動の意図もさることながら、かつては敵国だったくにからの協力拒否に対し『二度と戦争のない世界の為にドイツの子供達に絵本が必要なのだ』と伝え賛同してもらう。

    言葉や働きかけ、目的は一緒でも受け側の気持ちが動く話し方は著者でなければなし得なかったのではと思う。
    とてもステキな話だ。

    美智子皇后との出会いも著者に大きな励みを与えたのだろう。

  • 児童書というキーワードで探してたどり着いた本。末盛さんの家族に起こった様々な困難な出来事に、末盛さんが、希望を失わずに立ち向かっていく人生を描いたエッセイ
    私が特に印象に残った箇所は、子どもが、困難に出会った時にどんな気持ちでそれを乗り越えたのかというところだった。
    1つ目
    様々な困難の1つの、
    息子たちがまだ6歳と8?9歳という時に夫の末盛氏が突然死で亡くなってしまうという事件。6歳の次男は、「僕のパパなのに」と言って泣き、長男はゲンコツを握りしめてそのゲンコツで涙を拭っていたとのこと。次男は、テレビのディレクターをしていた父親の最後の仕事で出来上がった番組を見ようと集まった人の前で「絶対に見ない」とトイレに隠れたという。そして、兄弟2人で、「ママは僕たちが寝た後、パパと電話で話をしているんだよな、絶対そうだよな」と話し合っていたとのこと。また、数ヶ月後に、長男がポツリと「あの朝、パパが気持ちが悪いと言った時に、病院に運んでいれば、助かったかもしれない」と。
    などなど、子供達の言葉が本当に切ない。
    けれど、千枝子さんは、その後も、「新しい人生を美しく幸福なものにするために、」その時々に自分に与えられた使命を果たして、前向きに生きていく。
    2つ目
    岩手の津波被害にあった地区に絵本の読み聞かせに行った際、絵本を読みはじめても俯いたまま顔を上げられなかった2歳くらいの女の子の話。お母さんが震災後、何日間か、離れ離れになってしまって会えていなかったと。
    子どもには、それはそれは辛い日々だっただろう。
    3つ目
    盛岡少年刑務所に立っている「高村光太郎」の石碑の言葉。「心はいつでも新しく」
    何があったとしても、心は自分のもの。新しくしとけばいいってことなのだと思う。

  • おにクル

  • ふむ

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50268672

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1941年彫刻家の父・舟越保武、母・道子の長女として東京に生まれる。彫刻家・詩人の高村光太郎により「千枝子」と名付けられる。 4歳から10歳まで父の郷里・盛岡で過ごす。慶応義塾大学卒業後、絵本の出版社に入社。8年間、主に海外への版権販売を担当する。「夢であいましょう」などの音楽番組で知られる NHKディレクターと結婚、2児の母となるが、夫の突然死のあと、ジー・シー・プレスで絵本出版を手がける。最初に出した本のうちの1冊『あさ One morning』がボローニャ国際児童図書展グランプリを受賞、ニューヨーク・タイムズ年間最優秀絵本に選ばれる。その他、M.B.ゴフスタインなど国内外の絵本を出版。1988年、 すえもりブックスを立ち上げ、独立。まど・みちおの詩を美智子さまが選・英訳された『どうぶつたち THE ANIMALS』やご講演をまとめた『橋をかける―子供時代の読書の思い出』など、話題作を次々に出版。1995年、古くからの友人と再婚。2002年から2006年まで国際児童図書評議会(IBBY)の国際理事をつとめ、2014年には名誉会員に選ばれる。2010年、岩手県に移住。2011年から10年間、「3.11 絵本プロジェクトいわて」の代表を務めた。2023年、市原湖畔美術館で「末盛千枝子と舟越家の人々―絵本が生まれるとき―」展開催。
主な著書に『人生に大切なことはすべて絵本から教わった1、2』(現代企画室)、『ことばのともしび』(新教出版社)、 『小さな幸せをひとつひとつ数える』(PHP研究所)、 『「私」を受け容れて生きる』(新潮社)、『根っこと翼・皇后美智子さまという存在の輝き』(新潮社)などがある。

「2023年 『出会いの痕跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

末盛千枝子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×