写楽 閉じた国の幻(上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 992
レビュー : 94
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101033129

作品紹介・あらすじ

世界三大肖像画家、写楽。彼は江戸時代を生きた。たった10ヵ月だけ。その前も、その後も、彼が何者だったのか、誰も知らない。歴史すら、覚えていない。残ったのは、謎、謎、謎-。発見された肉筆画。埋もれていた日記。そして、浮かび上がる「真犯人」。元大学講師が突き止めた写楽の正体とは…。構想20年、美術史上最大の「迷宮事件」を解決へと導く、究極のミステリー小説。

感想・レビュー・書評

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  • 島田荘司の斜め屋敷の犯罪を初めて読んだときの衝撃、奇想天を動かすを読んでこれ以上の奇想なんてあり得ないと思った事実は変わりません。
    島田作品を先に読んでいたので、続く新本格ブームも目新しくもなかった。これほどの奇想には出会えませんでしたから。
    が、御手洗がなりをひそめ、石岡くんばかりががんばるずっこけ探偵みたいなものを連作されたあたりで島田作品から離れました。社会派にもなってほしくなかった。
    しかし写楽ということで、興味を惹かれて久しぶりに手にとりましたが、正直残念です。読まなければよかったなあ…(T_T)
    江戸編はまあよい。蔦重は好ましく、読み物として普通に面白かった。
    でも現代編のとっちらかりようはハンパないです。最初の事故、妻との確執、いりますか? 教授が美人である必要性ありますか? 事故のその後も、教授の思わせぶりな態度も、肝心の写楽説も、全部結果はなしですか?
    作家らしい妄想力で一つ作品をまとめることはもちろん上手に仕上げていますけど、所詮フィクションなんだったらそれでいいからちゃんと話を書ききってほしい。歴史書だったら物足りなさ過ぎる。どっちつかずなんです。
    島田氏はミステリー作家でいてくれればよかった。歴史に手を出すなら自分を信じ過ぎだと感じます
    ついでに解説の方、10年以上前に弘兼けんしさんが漫画の中で写楽=西欧人説で描かれてますが、きちんと面白かったし、漫画家さんが取り上げるくらいだからヨーロッパ人説が今回初めて!なんてあり得ないでしょ…。解説ならある程度責任ある発言してほしいです。
    一番腹立つのは写楽の絵を一枚も載せていない本の作りです。誰も言い出さなかったのか、真剣に理解しがたい。せめて奴江戸兵衛と、比較対象の歌麿絵一枚くらいは載せろよ!
    いくら文庫だからって、読者不在で本を作り過ぎじゃないですか? この内容で絵無しは「本」という存在として許し難いです。

  •  いやまさに島田荘司。謎の浮世絵師東洲斎写楽にまつわるミステリは前にも読んだことがあるけれど、こういう独創性というか破壊的な前人未踏の構想をどんどん押し切る腕力は、余人の追随するところではない。独擅場ということばはこの人のためにあるのだろう。それにしても「閉じた国の幻」とはよくぞつけたものだ。こういう事実はほとんどありえないとは思いつつ、ひょっとしたらとチラとでも読者に思わせたら大成功。まったくすごい筆力だ。
     全然関係ない六本木ヒルズの回転ドア事故を発端とした在野の浮世絵研究家佐藤貞三を主人公とする現代の話の中に、版元蔦屋重三郎を中心とした江戸時代の浮世絵作家たちの日常がタイムスリップしてはさまる。一方で後年の写楽の正体推理が進むにつれ、その実態はかくあろうという当時のありさまが種明かしのように進んでゆく。何でも取り締まろうというお上の政策に反逆する江戸っ子の心意気。それを代表する蔦屋のとんでもない企て、それこそが前代未聞の斬新絵師写楽誕生の鍵であった。無理は承知の上だけど話としてはよくできている。幻というか夢なんじゃないかなこれは。可能性はごく低いにしてもそんなことがあったらすごい。論文ならば穴だらけだろうけどミステリとしては最高だ。
     ただ、島田本人が後書きで述べているけれど、主題が大きすぎてしかも連載という制約のせいで、ひとつの完結した作品というにはかなり未整理な部分がある。終始あらわれる現代のキーパーソンの一人片桐教授の謎めいた言動。ひょっとしてどこかでどんでん返しがあるのでは、とつい勘繰ってしまう。前半部の回転ドア事故にしてもその後どっかへいってしまうので、片桐を引っ張り出すためと、佐藤の追い詰められた状況を作り出すためだけにしては、とってつけたような不自然感しか残らない。この後書きが著者の正直なところなのはよくわかるが、作家は作品で勝負すべきなのであって所詮は言い訳に過ぎない。島田ファンとしてはぜひ続篇を書いてすべてにケリをつけてほしいと思う。そのときまで5個目の★はお預けにしておこう。

  • 2020.5.1

  • 知らないことがたくさん。
    最初はどんよりしてて進まなかったけど途中から夢中になった。
    下巻も楽しみ。

  • 手元にスマホを用意して逐一浮世絵を検索しながら読んだ。便利な時代になったもんだ。
    物語の冒頭がいきなり本題とは関係のない(主人公の身の上だから関係なくもないが)話だったから面食らった。
    現代と江戸時代の章に分かれているのも面白いかも。後半が楽しみ。

  • 名前を聞いたこともあるし、絵も見たこともある。
    でも知っているようで知らない『東洲斎写楽』。
    そもそも写楽別人説が色々語られるほどの謎の人物で有名ってのも初めて知った。
    それ以外にも浮世絵で知っている有名どころ葛飾北斎や安藤広重、喜多川歌麿がある程度近い時代の人達で顔見知り的な存在であったことも。
    読んでる最中から『ゆっくり浮世絵を鑑賞してみようかな?』と興味が湧いてきた。

    物語はその写楽の謎が解き明かされていく流れだけど、まったく予備知識の無い私でも引き込まれていくほどしっかりとした作りの小説。結局は違ったけれど、初期に出てきた『写楽=平賀源内』説はすっかり信じてしまうほど。

    また作品は主人公のいる現代の話と、写楽が活躍した江戸時代を蔦谷重三郎を軸とした話を交互に進められる。その蔦谷をはじめ江戸時代の人々のやり取りがテンポの良い江戸っ子口調で、それに馴染みのない私でも活気の溢れるお江戸に混ざった気分になれる。
    この小説における写楽の正体もしっかり合点がいきました。私より浮世絵などに興味を持つ父に薦めてみたい一冊です。

  • 2018.6.9読了

  • (感想は下巻でまとめて)

  • 子どもを回転ドアの事故で失い、そのために家族も名誉も失った元大学講師が、幻の画家写楽の謎を負う。浮世絵には詳しくなく、写楽も名前や代表作くらいしか知らなかったが、何ともミステリアスな画家のようでかなり興味をそそられる。写楽=平賀源内説から、源内北斎隠密説まで出てきて怒濤の展開。これからどう話が展開していくのか、見つかった肉筆画のサインと片桐教授はどう絡んでくるのか?
    写楽の正体を推理しながら読むのも面白い。外国人説なんてどうだろうか。下巻も楽しみ。

  • レビューは下巻で

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著者プロフィール

1948年広島生まれ。武蔵野美術大学卒。『占星術殺人事件』での衝撃的なデビューから現在まで日本ミステリー界の旗手として傑作を多数刊行。同時に新人の発掘にも力を尽くしている。現在その読者は世界に広がる。

「2020年 『改訂完全版 毒を売る女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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