新しい十五匹のネズミのフライ ジョン・H・ワトソンの冒険 (新潮文庫)
- 新潮社 (2020年1月29日発売)


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本 ・本 (672ページ) / ISBN・EAN: 9784101033150
作品紹介・あらすじ
大銀行の地下金庫から、トンネルを掘って金貨を盗み出そうとした「赤毛組合」事件。ホームズの名推理で一件落着に見えたのだが、裏にはどんでん返しの計画が潜んでいた! 事件後、薬物を乱用するホームズは頼りにならず、途方に暮れるワトソンには大事件が降りかかる。堅牢な刑務所から囚人はなぜ消えたのか、「新しい十五匹のネズミのフライ」の謎とは。巨匠が贈るパスティーシュの傑作。
感想・レビュー・書評
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ホームズ好きとして
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Amazonの書評などを見ると「かつてのキレがなく冗長」とか結構厳しい評価も多いようですが、いや、これはそんな目くじら立てずに、巨匠の名人芸を肩ひじ張らずに楽しみ堪能すれば良い作品かと。実際、長いのにダレずに読ませる筆力はさすが。まあ確かに、同氏のホームズ・パスティーシュものとしては『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』の方が上だとは思いますが、楽しいから良いじゃないですか。
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ホームズのパスティーシュと呼ばれる分野の一作。
ワトソンを主人公として、ホームズの短編に新たな解釈を加えている。
ホームズもののマニアからするとよくできた作品、という評価なのかもしれないが、それはマニアが蓄積したホームズの年代記や色々な矛盾をうまく解釈しているから。
個人的にはホームズは一通り読んだことがある程度で、この作品には他の島田作品と同様に大きなどんでん返しを期待していたので、物足りない感じ。
ミステリーというより、ワトソンの冒険物といった方がいい。 -
島田荘司さんまだまだ元気だな~。このタイトルだけでうれしくなっちゃうけど、中身がまたホームズもののパスティーシュときては読まないわけにはいかない。インド戦線から満身創痍で帰国したワトソンがホームズと出会って共同生活を始めるところから物語は始まる。赤毛の質屋が相談に訪れて、赤毛組合の始まり始まり。もちろん本作をパロディ化してひっくり返し、こんどは悪漢たちの不可思議脱獄譚へとつながってゆく。当のホームズは麻薬中毒で暴れて監禁されてしまったため、ワトソンが孤軍奮闘の活躍。薄幸の義姉とのロマンスもまじえて、最後は復活したホームズが表題の謎言葉を解明して幕となる。と書くとなんとも支離滅裂だが、まさに支離滅裂。抱腹絶倒間違いなし。謎解き自体は大したことないが、ワトソンと編集者や警部とのやりとりとか、幻のまだらの紐の大騒ぎとか、これが笑わずにいられようか。
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児童向け作品では曖昧にされることもあるが、ホームズは阿片吸引者であった。前々から阿片吸引者が名探偵となること疑問を抱いていた。島田荘司『新しい十五匹のネズミのフライ ジョン・H・ワトソンの冒険』(新潮文庫、2020年)の紹介文には「薬物を乱用するホームズは頼りにならず」とある。これが依存性薬物使用者の正しい実態描写だろう。
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大銀行の地下金庫から、トンネルを掘って金貨を盗み出そうとした「赤毛組合」事件。ホームズの名推理で一件落着に見えたのだが、裏にはどんでん返しの計画が潜んでいた!事件後、薬物を乱用するホームズは頼りにならず、途方に暮れるワトソンには大事件が降りかかる。堅牢な刑務所から囚人はなぜ消えたのか、「新しい十五匹のネズミのフライ」の謎とは。巨匠が贈るパスティーシュの傑作。
著者プロフィール
島田荘司の作品





