一汁一菜でよいという提案 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1698
感想 : 94
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101033815

作品紹介・あらすじ

日常の食事は、ご飯と具だくさんの味噌汁で充分。あれば漬物を添えましょう。無理のない生活のリズムを作り、心身ともに健康であるために「一汁一菜」という生き方をはじめてみませんか――。料理研究家・土井善晴による根源的かつ画期的な提言は、家庭料理に革命をもたらした。一汁一菜の実践法を紹介しながら、食文化の変遷、日本人の心について考察する。著者撮影の食卓風景も数多く掲載。

感想・レビュー・書評

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  • 家庭料理は特別なものでなくていい。
    変化の少ない、あまり変わらないところに家族の安心があるから。

    土井善晴先生の優しく美しい文章が沁み渡ります…。
    秋が深まりつつある季節柄ということもあり、本書を読んでいると、温かいお味噌汁と炊きたてのご飯のイメージが頭をちらつきます。はあ…お腹空いた…。(笑)

    ほっとできる味、ってありますよね。
    仕事でヘトヘトになり家に帰ってきたときなどに、自分をほっと安心させてくれる温かいもの。
    私は別に料理は上手ではないですが、どんなに疲れ果てたりイライラしている日でも、作ったご飯を食べていると段々と気持ちが落ち着いてくるということがあります。

    土井先生曰く、
    料理が上手か下手か、器用か不器用か、要領が良いか悪いかは関係なくて、
    「一生懸命生活すること」がいちばん大切なことなのです。
    そして、無理のない生活のリズムを実践し、心の落ち着く場所を作る。


    一生懸命頑張っているあなたに。

    毎日お疲れさま。


    そんな優しい言葉をかけてもらった気持ちになりました。

  • #一汁一菜でよいという提案
    #土井義晴 #新潮文庫
    読みたいなーと思っていたのが文庫化したので即買い。本当に一汁一菜が良いと思いました。日本という土地で生きていくための工夫が詰まったものが和食。家庭料理は毎日美味しいものじゃなくていい。情報社会と共に食事も派手になった現代を見直したい!

  • ご飯は一汁一菜でよい。毎日繰り返される 献立との戦い。本を見ながら、携帯を見ながら、奮闘した日に限って、撃沈する。「ああ~」のため息連発。味噌汁の中に、様々な野菜や魚、肉などを入れて、白いご飯で 特別では無いけれど、それなりにおいしくて、バランスの取れたご飯なんです。日々の経験から、味噌汁に入れた野菜の味で、味噌汁の味は、同じ味噌を使っても変わります。季節感も伝わります。それにプラス焼き魚や煮物があれば、十分。味噌や具材をいろいろ試してみたくなる、そして毎日、味噌汁が飲みたくなるそんな魔法の本でした。

  • Youtubeでこの本の存在を知る。
    読む前に一汁一菜でいいのかぁ、と勝手に内容を想像し一汁一菜を実践。
    提案自体とても素晴らしい!何つくろう〜って思うことから解放される心理的自由は結構大きく、無駄なもの買わなくて済むし、食べたいものがあれば食べればいい。そして何より旬の野菜をたくさん食べられる。味噌汁を毎食食べる食塩取りすぎだけ気になるところ。

    読前に勝手に妄想した内容から大きく外れるところはなかった。

    2023.2.13

  • 自分が料理をよく作るようになってから、どうにかこの料理というものを、自分のライフスタイルに合わせられないかということを考え始めていた時に手にとった。はやはり人知を越えたお天道様は見てるな。

    具体的には、ごはんと具沢山味噌汁と香の物を基本スタイルにしよう。それが和食だよねと。それが家庭料理で、ケの料理だよね。という哲学の話。

    うちでは毎日味噌汁を食べます。だからすごくこのスタイルに合うなと。あとは飽食の時代。家でご飯を食べられることが普通のことになっていて、残すことが普通になっている、肉が食べれることが普通になっている。その価値観にも横串を入れておきたいなと思った。家庭内の価値観を変えるのはすごく難しいが、自分持続可能の為にも進めていく所存。

  • 帯の土井先生の笑顔に惹かれて購入。

    和とか情緒とか一生懸命とか、日本人の血に訴えるところが多い本でしたが、それをするする〜っと受け入れられたことが嬉しいです。
    両親に感謝です。

    縄文時代まで遡られたときは戸惑いましたが、興味も持てたし、なるほどとも思いました。

    一汁一菜、ハレとケという概念、お膳の使い方 に、特に感銘を受けました。
    メリハリ、ケジメを好むほうですが、まさか料理にも活かせたとは。
    さっそく取り入れます。

    というか失礼にも、土井先生の教養の深さに惚れ惚れしました。
    (岡潔の情緒に、ここでまた出会うとは!)

    ひさしぶりに、一生ものの本に出会えて幸せです。

  • 一人暮らしをしています。ご飯とお味噌汁が好きなので毎日食べたいけど、お味噌汁が日持ちしないのでなかなか手を出せないでいます。どうにかならんかな。お味噌が万能だということを知らなかったので、これからは積極的に使っていきたいです。
    いい食器やお盆を揃えて、四季を感じられる旬のものをもっと取り入れたいと思いました。食を整えることの大切さと魅力を知って、余裕のある生活がしたくなりました。いつか誰かにごはんを作って、おいしいって言ってもらいたい!!

  • 日常の食事はご飯と具だくさんの味噌汁で充分。具材の変化で四季の彩を。家庭料理はおいしくなくてもいい。大胆な提案に驚きつつどこかホッとした。一汁一菜という食の型だけでなくそこに宿る生き方を、日本の食文化の変遷を踏まえ考察した哲学書のようだった。


  • だいすき土井先生。
    少し前の情熱大陸もよかったなあ。めちゃめちゃラフにお味噌汁つくるの。



    一汁一菜。ご飯と、お味噌汁と、漬物。
    ご飯とお味噌汁だけでも十分。

    「普通においしい」
    脳が喜ぶおいしさではなく、身体がよろこぶおいしさ。
    暮らしの安心につながる静かな味。

    味噌汁は何を入れてもおいしくなるんです、と笑う土井先生。
    そうなの。不思議なの。何でだろうね。
    お豆腐だけでもおいしい。具をこれでもかとたくさんいれても、おいしい。

    冷蔵庫にあるものを適当に切って、お出汁に入れて、お味噌をとく。
    やる気がなければお野菜を手でちぎってお椀に入れて、お味噌をいれて、熱湯をそそげばできあがり。

    “人間の暮らしでいちばん大切なことは、「一生懸命生活すること」です。”(p99)

    華美でなくていい。無理をしなくてもいい。素朴で地味でもいい。純粋でありたい。

    食事は生きること、だから、頑張らなくてもいい。でも大事にしたい。



    最近すきだなと思ったお味噌汁の話。

    カボチャの煮崩れたお味噌汁。いりこ出汁で。
    トマトとニラのお味噌汁。豚肉があるとよい。

    あと白菜のお味噌汁。そぎ切りにした白菜。

    粕汁も冬のうちに1度はいただきたい。鮭とこんにゃくを入れる。

    卵を落としたお味噌汁もすき。できれば翌朝、昨晩の残りのお味噌汁で。くたくたになったキャベツの。

  • 土井氏の日本の家庭料理に対する思いに胸が熱くなってきます。一汁一菜でよいという提案に、日本人の知恵や文化、暮らしを、丁寧な説明と深い研究や経験を語って下さる事で納得していきます。自分の持つ料理への思いや暮らしについて、安心して嬉しくなりました。

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著者プロフィール

土井善晴(どい よしはる)
料理研究家。「おいしいもの研究所」代表。
東京大学先端科学研究センター客員研究員、十文字学園女子大学招聘教授、甲子園大学客員教授、学習院女子大学講師。
1957年大阪府生まれ。芦屋大学卒業後、スイス・フランスでフランス料理、味

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