黒い雨 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101034065

感想・レビュー・書評

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  • 原爆
    原爆症

  • (1970.08.03読了)(1970.07.02購入)
    内容紹介
    一瞬の閃光に街は焼けくずれ、放射能の雨のなかを人々はさまよい歩く。原爆の広島――罪なき市民が負わねばならなかった未曾有の惨事を直視し、“黒い雨"にうたれただけで原爆病に蝕まれてゆく姪との忍苦と不安の日常を、無言のいたわりで包みながら、悲劇の実相を人間性の問題として鮮やかに描く。被爆という世紀の体験を、日常の暮らしの中に文学として定着させた記念碑的名作。

  • 本よりも今村昌平の映画の印象が残っていたのだが、改めて読んでみるとこれまた強烈な本、通勤時間に読んでいたのだが結構こたえる。
    戦争も被爆もただただ受け身でしかいられなかった庶民の悲哀を淡々と描いている。
    こういった材料を選択しているだけで既に作家の意思表明はなされている訳だから、このような構成・文体はその悲劇性をより効果的に高めている。
    それにしても確かNHKのドキュメンタリーで爆撃後直ぐに爆心地近くで人々の動きが見られると当時の米軍による空撮をある意味感動的に見せていた記憶があるが、実際はこの本に書かれているような「生かされた」人々の絶望的彷徨だったんだろうなと改めて感じる。

  • 被爆体験を日記風に描いている小説。
    当時の悲惨な様子がありありと描かれている。

  • 中学校の国語の教科書に抜粋が掲載されていて、その指導案を作るという課題が出されたため、何かの参考になればと思って一冊借りてきてみたもの。
    課題は読み終わる前に作成して提出し終わっていたのですが、途中で読むのを止めるのもな…。と思って最後まで読了。

    凝縮されていて、読むのにかなり時間がかかってしまいました。
    指導案を作るということで、高校時代に使っていた国語便覧を見てちょっとだけ調べたのですが、もともとは『姪の結婚』というタイトルで連載を始めたらしく、そのうち『黒い雨』とタイトルを改めたそうで。
    『姪の結婚』というタイトルにも表れているのですが、主人公の姪は被爆しているという噂から縁談がなかなかまとまらず、やっと上手くいきかけた縁談も同様の噂から破談になりそうになり、それを受けて主人公が相手方に自身や妻のシゲ子、姪の矢須子の体験から「被爆日記」を綴って渡そう、ということから始まります。
    その手記がこの作品のメインで、間に終戦後の日常や他者の手記のまとめなどが挟まれています。

    戦時中の様子や体験を詳細に客観的に綴っており、思っていたよりも文章は読みやすかったです。
    戦争小説はなかなか読んだことがないので、本当に勉強になりました。
    想像を絶する、というのが正直な感想。
    あまりにも淡々と当時の状況を語っていくので、途中で「ひとつの時代のほんの一部を切り取っただけのこの小説の中だけで、一体何人が死んで、いくつの死体が描かれているのだろう?」と思ったりもしました。
    たまに民衆の悲痛な本音がはっきり言葉として表れていて、やりきれない思いが起こりました。
    こんなこと、二度と起こってはいけない。そもそも起こってはいけないことだったのだ、という気持ちでいっぱいです。
    これを読んだ後だと、原発の問題とか、いろいろ考えることがありますね…。利用の仕方・目的が違うだけで、本質は同じなんだよなぁ、とか。

    戦時中の様子といえば、ジブリの『火垂るの墓』でくらいしか知らないし、それも気持ちの良い作品ではないので敬遠してここ何年かは見ていないので1940年代の情景というのはおぼろげにしか頭にありません。
    戦争を見たことがない私にとってはなかなか想像のしにくい描写も多く、それだけ平和に慣れているんだなぁということを強く思いました。
    日本人って、この間のアルジェリアの事件のような報道で、世の中には戦闘が絶えない場所がまだあるんだとはっと気づかされる、というようなことが多い気がします。今の日本自体だって、外を見ればいつでも危機にさらされているように思うのに。

    私もそうだったし、「井伏鱒二」や「黒い雨」というキーワードだけで難しそうだと敬遠しがちだと思うんです。確かに楽しい、面白い読み物ではない。
    だけどこの作品は若い人こそ読んでおくべき作品だと思った。
    台風や地震のような天災は不可抗力で、備えておくことしかできない、未然に防ぐ術というのはないと思うのだけど、戦争はいわゆる人災、いくらでも未然に防ぐことができると思うのです。
    こういう作品は読み継がれていく意味があり必要がある。
    決して忘れてはいけない記憶の断片。大きな災難は忘れた頃にやってくる。

    どんな国も武力に頼らない外交ができる世界になればいいなと思う。

  • 原作と読み比べるべきなのだろうが、出来ないんだな~。原子爆弾投下後の惨状がよく表現できていた。

  • 皮がむけ紫色にはれ上がる頬。蛆虫に食われてなくなってしまった耳たぶ。つぶれた家々の瓦の下から漂う腐臭。
    人類は、地上に天国は築くことは叶わないわりに、地獄をは爆弾一発で見事に現出させてしまえるほどの知恵を持っている。

  • 広島原爆投下の経験から書かれた名著。被曝の状態や今知っておかないといけない事が書かれている。

  • 広島の原爆投下~その後の話し。映画がスーちゃん。なんか何回も読んでしまう本。回虫の描写が忘れられない。

  • 戦争終結からしばらく後を、様々な悩みを抱え生きる被爆者達。
    8月6日前後の出来事が、彼らの日記として描かれています。
    日記の為、淡々とした語り口であるものの、その描写は凄まじく、原爆の恐ろしさを再認識させられました。
    及ばずながらも、当時の人々に思いを馳せる時間を作ってくれた、この作品に感謝します。

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著者プロフィール

本名・満寿二。一八九八年(明治三十一)、広島県に生まれる。早稲田大学、日本美術学校を中退。一九二九年(昭和四)「山椒魚」「屋根の上のサワン」で文壇に認められる。三八年(昭和十三)、「ジョン万次郎漂流記」により直木賞を受賞。「鯉」「さざなみ軍記」「多甚古村」「丹下氏邸」「本日休診」(読売文学賞)「遙拝隊長」「集金旅行」「漂民宇三郎」(芸術院賞)「武州鉢形城」「黒い雨」(野間文芸賞)などの小説の他、詩集や随筆・紀行も数多い。六六年(昭和四十一)、文化勲章受章。九三年(平成五)没。

「2018年 『太宰治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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