黒い雨 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101034065

感想・レビュー・書評

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  •  広島人には、生涯に二度と得られないような、強烈かつ独特な読書体験ができるはず。

     地方の人が、東京とその近辺を舞台にした作品を読んで「大宮だの鬼怒川だのって、位置知ってて当たり前みたいに言われてもなあ……」と感じる悔しさというか、疎外感というか。
     そのストレスを、広島の地理を知る人だけが、この作品で一気に解消できる。

     原爆投下の当日に、主人公が千田町→鷹野橋→紙屋町→相生橋→寺町→福島町→三滝……と移動しつつ、その惨状を語るシーンはマジで必読。

     ちなみに今村昌平監督の映画版では、この移動ルートはわかりません。

  • 原爆が落とされた広島の悲惨な光景、人々の苦しみ、諦めが、日記という体裁で淡々と書かれています。だからこそ、戦争経験者の話を聞いているように、確かな現実として胸に迫ってきました。

  • 原爆と原爆症の娘を描く。名作。

  • 原子爆弾が投下された広島の姿を描いた作品。
    作品名の「黒い雨」の意味も読めば分かる。

    目を伏せてしまいたい部分が多いが、日本人として知っておくべきことなのだと思う。

    戦争は2度と起こしてはいけないし、それに加担してもいけない。ただ、他の国では今まさにこの瞬間に戦いが起こっている。

    そのためにできることは、日本が戦争をしないことであり、加担しないことでもある気がする。

  • 初めて読んだ井伏鱒二。
    いま話題(?)の放射能をテーマにした小説。有名すぎるので内容や鱒二の主張などは今さら書かなくていいと思う。私自身、高校生のうちに教養として読んでおくか、という安直な考えで読みました。

  • 超読みにくくて、一ヶ月以上かかってやっと読めた。怪我の描写がリアルで怖かったもう読まないです

  • 原爆ものはノンフィクションや資料系をたくさん読んでいたので、フィクションを読んでも……と、今まで読まずにおりました。が、ノンフィクションで読んだことのある人の姿もちら見えして、おや、と引き込まれてしまいました。
    ノンフィクションほど描写はきつくなく、程よく逃げ場のあるのが救いかも。悲惨な事実には変わりないのですが。もっと早く読んでおけば良かった、ちょっと悔しく思った一冊です。

  • 娘の夏休みの宿題に付き合って再読した。お盆休みには原爆ドームにも訪れた。中学校の修学旅行以来なので、35年ぶりだ。資料館でたくさんの映像資料に触れていたということが大きいと思うが、前回読んだときよりも衝撃は大きかった。その中でも特に印象に残ったくだりを引用する。たぶん、広島に原爆が落ちた当日のことだと思う。日記の体裁をとって書き綴られているが、とにかく1日が長い。実際にこれを手書きで日記として書いているとしたら、いったい何時間かかっていることだろう。それはともかく、満員電車の中での話。「・・・三十前後の端麗な顔つきの婦人が担いでいる白い布包みだが、どうも荷物らしくは思われない。そっと手で触ってみると、人間の耳を撫でる手応えを受けた。布包みのなかは子供らしいが、こんな負んぶの仕方はない。この人混みのなかでは窒息するにきまっている。言語道断である。『失礼ですが、奥さん』と僕は婦人に、ひそひそ声で云った。『お子供さんですか』『そうです』と婦人も、あるか無しかの声で云った。『死んでいるのです』僕はぎくりとした。『そうでしたか。押したりして、申し訳ないことをしました』『いいえ、混みますから、お互いさまです』婦人は布包みを肩で揺すりあげ、俯いたかと思うと発作を起こしたように泣きだした。・・・」爆発の衝撃で子供は壁に叩きつけられて亡くなった。実家の墓地に埋めてやろうと思って電車に乗ったところだったようだ。日本ではもちろん、世界中で読み継がれるべき本と思った。

  • 広島原爆のお話。
    思っていたよりも読みやすかった。
    被爆して蛆虫が湧き臭気を放つ死体がそこらじゅうに
    転がっている風景を想像するだけで怖ろしかった。
    声高らかに反戦を叫ぶのではなくて、淡々とした記録形式で描かれるので、
    よりやるせない気持ちになった。

    もともと原爆症だった重松を追い越すように元気だった矢須子が衰弱し、
    戦争の被害者なのに差別を受けなければならない逆転に胸が痛む。
    しかし、もし自分が結婚相手にするとしたらやはり健康な人を選びたいだろう。
    そしてこれも差別になってしまうのかと考えてしまった。

  • 原爆から生きた人を初めて感じた。広島に行く前に流し読みだけど読めて良かった。もう一回ちゃんと読む。

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著者プロフィール

本名・満寿二。一八九八年(明治三十一)、広島県に生まれる。早稲田大学、日本美術学校を中退。一九二九年(昭和四)「山椒魚」「屋根の上のサワン」で文壇に認められる。三八年(昭和十三)、「ジョン万次郎漂流記」により直木賞を受賞。「鯉」「さざなみ軍記」「多甚古村」「丹下氏邸」「本日休診」(読売文学賞)「遙拝隊長」「集金旅行」「漂民宇三郎」(芸術院賞)「武州鉢形城」「黒い雨」(野間文芸賞)などの小説の他、詩集や随筆・紀行も数多い。六六年(昭和四十一)、文化勲章受章。九三年(平成五)没。

「2018年 『太宰治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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