黒い雨 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.62
  • (186)
  • (218)
  • (421)
  • (36)
  • (8)
本棚登録 : 2538
レビュー : 255
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101034065

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 65年目の原爆の日を迎え読んでいます。
    やっと三分の一を読み終えました
    読むのがつらくなる場面も多いです。

    しかし、私達が後世に伝えていかないとね。
    唯一の被爆国であり、被爆都市ヒロシマに生きている私としては

  • 言葉はあれだが、「被害者面」をしないところにこの作品の魅力があるように思う。原爆投下を扱った作品にありがちな「書きすぎ」がしばしば読み手を白けさせるのに対して、本作はあくまで中立的な眼を通してこの大事件を写実する。といって無味乾燥な事実の羅列とも違う。爆撃で大やけどを負った岩竹博が白桃を食べて命を長らえさせるエピソードの熱っぽい瑞々しさが今も頭から離れない。

  • 戦時体制ではあるが、市井の人々の日常が、原爆投下という非日常の極致に曝され傷つけられていく様子を小説の形で描いた精緻なルポルタージュ。この作品の優れている所は、原爆投下(8/6)から終戦迄の十日弱の記録の中に、後で解った常識や感覚を織り込まず、何が起きたのかこれからどうなるかの大局を掴めない異常事態における一市民及び家庭人の原爆記録を綴っているところにあると思う。哀しみや怒りの感情、思想や政治的な主張が簡潔なだけに描写は生々しく再現される。悲劇を客観として捉えて、判断は読者に委ねられる。読者は受け止め判断しなければならない。日本人としての義務がある。
    作品は重松氏の日誌の他に、岩竹軍医の手記に依っているが、極限状態から夫を救い出し蘇生させた妻の献身に感動させられる。
    あと作品への要求としては、被爆状況と重松達の移動状況が分かる地図が欲しい。

  • 再読。『この世界の片隅に』の戦時中のご飯のくだりが好きでなんとなくこちらのお話の奥さんのメモを思い出して読み返してた。この淡々とした語り口いいなあ。元になってる『重松日記』も前に買って積んであるので読みたいね

  • 井伏鱒二が、被爆者・重松静馬の『重松日記』と被爆軍医・岩竹博の『岩竹手記』を基に、原爆の悲惨さを描いた作品。1965年に雑誌「新潮」に連載され、1966年に単行本として刊行された。
    主人公は、原爆投下時に広島に住んでいた、閑間重松・シゲ子夫妻と姪で養女の矢須子の一家三人で、重松は、その瞬間に広島市内の鉄道駅に居て被爆し、かなりの傷を受けたが、シゲ子は自宅にいて無事、また、矢須子は社用で爆心地から遠く出張していたため直接の被災はなかった。
    作品は、終戦から数年後、三人が広島県東部の山間の村で比較的落ち着いた生活を送っている時期を舞台に描かれるが、縁談が持ち上がった矢須子が原爆投下時は市内で勤労奉仕をしており被爆したと噂を流されたため、その誤解を解消するために、重松が被爆日記を書くこととなり、その詳細な被爆日記が間断なく挿入されることによって、被爆当時のことが克明に綴られていく。
    重松は、矢須子は直接の被災がなかったことを明らかにするために被爆日記を書き綴るのだが、当の矢須子は、原爆投下後、夫婦の安否を確かめるために広島市に向かう途中で黒い雨を浴び、また、再会した重松らと広島市内を逃げ回る際にも残留放射能を浴びたことにより、小説の後半で原爆症を発病し、縁談は結局破談となってしまう。そして、作品は、終戦日である8月15日までの日記を清書し終えた重松が、空にかかる虹に矢須子の回復を祈る場面で終わる。
    原爆を扱った代表的な作品のひとつとして、長く読み継がれるべきものと思う。

  • 「志村〜後ろ後ろ」の世界である。
    よかれと思っての記述が、被爆のしるしという悲劇を
    柔らかく描く

  • 2018.03.16

  • 今更ながら戦争は悲しい終末にしかならない、何人がこの本を読んできたのだろうか、積み重ねてきた人数が平和につながると思う

  • 戦争と核使用の是非を考えるうえで、読むに値する一冊。
    広島に原爆が落とされた日前後に、主人公の閑間重松とその妻シズ子、姪で養女の矢須子が見たり、聞いたりしたことが、日記の清書をする行為の中で、淡々と描かれている。私は神戸市民であり、阪神淡路大震災の時にビルが無惨なまでに崩れ落ちている姿を見てショックを受けた経験や、不自由な生活を強いられた経験を持っているので、被爆後のまちの様子を描写した箇所をより生々しく感じ取ることができたように思う。
    原爆投下という大惨事に遭遇した広島の人々が、兎にも角にも日々精一杯生き抜いていく姿が描写されており、人間の持つ生命力の強さを感じさせてくれる。原爆投下直後は、落とされたものがどういう性質のものか知らされていなかったため、近親者の安全確認などのために動き回ったことでより被害を深刻化させ、それがこの物語の登場人物にも暗い影を落とす。
    当時の広島に住む人の生活や暮らしぶりが描かれている箇所は、興味深い内容だ。特に、当時の食糧事情、食事内容が描かれている箇所は興味を引いた。また、岩竹医師の闘病に関する手記も印象深い。「必ず、生きる」という気持ちが大事なのだ。

  • 怖かった。
    蛆虫や蠅の描写、爆弾投下前、投下後。数千度の焔に焼けた人、物。
    本の中に広島城の屋根の部分が爆風で飛ぶ描写があった。何トンもある屋根なのに、一瞬で吹き飛んだ。
    爆弾の火傷、衝撃。さらに黒い雨。
    全てを焼き尽くした。これが自然災害でないのが恐ろしいことだと思う。

    本文中に、戦争の不安がありありと描写されている。
    例えば、日本人全員死ぬのではないか?とか、男性は去勢させられるのではないか?とか。

    それくらい戦争は、国を無くしかねないものだったし、負けるのが本当に恐ろしかったのだと、この本を読んで感じた。

    この本の話がまだ約70年前の話だとは。。今はスマートフォンで、書き連ねているけれど、本当に恐ろしいことだ。

    映画も見てみたいと思う。原爆を作ったオッペンハイマーの本も読もうと思う。

著者プロフィール

本名・満寿二。一八九八年(明治三十一)、広島県に生まれる。早稲田大学、日本美術学校を中退。一九二九年(昭和四)「山椒魚」「屋根の上のサワン」で文壇に認められる。三八年(昭和十三)、「ジョン万次郎漂流記」により直木賞を受賞。「鯉」「さざなみ軍記」「多甚古村」「丹下氏邸」「本日休診」(読売文学賞)「遙拝隊長」「集金旅行」「漂民宇三郎」(芸術院賞)「武州鉢形城」「黒い雨」(野間文芸賞)などの小説の他、詩集や随筆・紀行も数多い。六六年(昭和四十一)、文化勲章受章。九三年(平成五)没。

「2018年 『太宰治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

黒い雨 (新潮文庫)のその他の作品

黒い雨(新潮文庫) Kindle版 黒い雨(新潮文庫) 井伏鱒二
黒い雨 単行本 黒い雨 井伏鱒二
黒い雨 単行本 黒い雨 井伏鱒二

井伏鱒二の作品

ツイートする