- 新潮社 (1987年4月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784101034089
みんなの感想まとめ
地域の歴史や文化を穏やかな視点で描いた随想録は、著者の自然体の語り口が心地よく、読者を引き込む魅力があります。地元荻窪を舞台に、関東大震災や戦時下の出来事、文士たちとの交流を通じて、著者の若き日々や老...
感想・レビュー・書評
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<b>ご近所文豪の穏やかで優しい目線の随想録</b>
地元民として、荻窪から見た近代史、郷土史としても大変興味深かった。
著者の押しつけがましくない自然体の語り口も心地よい。
関東大震災の避難生活(早稲田球場、中央線線路避難)、
戦時下の徴用船の騒動などの若かりし頃の活動的なエピソードから、
先輩格としての文士らとの交流・支援と続き、
戦後、地元に回帰するも何やら死を想起させるエピソードが増えて、
やがて、特段意識していないと言いながらも老境の身を穏やかな荻窪の地で想うところで終わっている。
その他
・時系列の記述がやや奔放で不親切。回想の入れ子構造が多用。
・地理的描写も地元関係者でないと付いていくのが至難の技。
・意外と太宰との交流の記述は少ない。触れたくなかったのかもしれない。
・「荻窪」以外の記述も意外と多い。転居前は当然として、阿佐ヶ谷将棋会の比重が大きい。
しかし、当時の文学窶れの人は、ダメ人間なのに特権階級意識が高そうで、面倒くさそうである。
よくサークルクラッシャーしないものだが、著者のような存在が大きいのかもしれない。
・二二六事件は、著者は花火のような銃声を聞いているだけなのだが、以降伝聞→資料と進めていくところが無理なくさすがである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
太宰のイメージ変わった。関東大震災時のデマ、井伏鱒二をしても惑わされるか…。
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中学時代、大学時代、そして今。
住み慣れた杉並区の、よく知る土地のいまとは異なる姿にも、
昔の人々の生活の違いにも、興味深く読めた。
土地勘の無い方でも、なんかのんびりした時代の雰囲気を楽しめるはず。 -
タイトルから荻窪周辺の話だけかと思いきや、学生時代に関東大震災にあったときの話(早稲田界隈)や、マレーへ従軍したときの話(海音寺潮五郎や小栗虫太郎が出てくる……!)なども入っていて、自伝に近いエッセイですね。
たまに話の時代が前後したりして、そこが逆に思いつくまま自由に語ってる感じで、近所のおじさんの面白話みたいな。
本当に色んな文士達が出てきて、井伏さんの交友関係の広さ、慕われっぷりが感じられて面白かった。(太宰治が可愛いんだ……) -
杉並区立郷土資料館に開高健展を見に行って、そこで井伏鱒二が主催していた阿佐ヶ谷将棋会のことが触れられている展示があった。
本書ではその会のことが書かれているほか、昭和2年から住んでいる昔の荻窪あたりの風景がたくさん描かれていて、大の大人が将棋したり、釣りをしたり、酒盛りしたり、読んでいて心楽しい。
関東大震災前までは荻窪で品川の船の汽笛や府中の祭囃子が聞こえたという話から始まり、ホンマかいなという内容も多いし、「盛りこぼし」とは〜みたいな細部のどうでもよい情報や、周囲の文学窶れした青年たちの話も良い。周りの人はたくさん死ぬし、大工の棟梁にお金を持ち逃げされるなど酷いことも多いのだけど、大らかにのんびり構えている距離感がよい。
資料的価値と文章の落ち着きが退屈さと紙一重になっていて、読み進めるのにだいぶん時間がかかった。 -
"自伝的長編"の文字に、最近読んだ室生犀星『杏っ子』のような小説的期待を持って読んだところだいぶ調子が違った。
荻窪まわりの土地の気風と文士たちの交流を滔々と書いている。
関東大震災と戦争に関わる部分は読めて良かった。 -
回想記、に近いなと思った。自分も住み慣れた町の回想記。
普段歩く道のかつての記憶、まだ再開発の波に呑まれていない商店街、現実と過去を重ねて読むことができる楽しさは住んでいるからこそだなあ。
太宰治、イタいというか青い初登場だった -
戦前・戦中・戦後(1921-58年頃)、井伏鱒二自身とその周辺の出来事についての随想。年季も入り(出版時83歳)、滋味にあふれる。回想記、交遊録、鎮魂歌として読めるが、でも荻窪や阿佐ヶ谷が舞台、風土記という呼び名が一番しっくりくる。
17の章からなる。読みどころは作家たちの人間模様を描いた「文学青年窶れ」、「阿佐ヶ谷将棋会」、「続・阿佐ヶ谷将棋会」。頻繁に飲みに出かけ、将棋をし、釣りをしている。仕事のほうはいつしているのか、少し心配になる。
個人的には、「二・二六事件の頃」、「病気入院」、「荻窪(三毛猫のこと)」がおもしろかった。「病気入院」では、発熱時に体験した幻覚の描写が印象的。
ある劇作家の恋愛の話のなかで、相手の女優が「望月雄子(仮名)」として出てくる。仮名になっていないところが可笑しい。 -
戦争の足音がなんとなく聞こえてきている中でも、日常生活はある。その足が急に目の前に現れる。徴兵されたり、それを見送ったり。
大変な事が多い時代の中で、人付き合い、仲間との交流がとても良い。 -
昔荻窪に住んでいた時に買ったけど結局読まなかった本を30年近く経ってから読んだ。井伏鱒二の文章はなんとなくおおらかさと洒落た味わいがあって「黒い雨」を読んで以来好きだ。昭和初期の荻窪あたりの今からは想像がつかないような田舎びた感じや、戦争に向かう時期の緊張、その中でしたたかに生きる街の人々や今よりは生きる余裕もあったように見える文人たちの姿が飾らない雰囲気で馴染みのある地名の中で描かれる。荻窪タウンセブンの建設前のワクワク感のようなものも書かれていて身近なところもあって嬉しい。1993年に亡くなったということは実は私が荻窪に住んでいた時と重なっていた部分があったのかもしれない。
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この小説は著者自身が言ってますが、著者の住んでいる周りの事柄など周辺の起きた事を日記調にまとめたものです。それなので、当時の「荻窪」周辺の事が解ります。
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何よりも小山清のことに触れられているのが嬉しい。本当に井伏さんはたくさんの弟子に慕われた、面倒見のいい兄貴分だったんだろうなぁ。一度お目にかかりたかった。
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「胴村」という記述を久世光彦のエッセイ以下ではじめて目にした。クビになって胴ばかりの退役軍人が住む町のこと。
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東京暮らしを懐かしむため・・には時代が違いすぎだけどもやはり懐かしい。
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荻窪を知る人なら面白いかも。
とりとめもない私的日記な感じで、私にはちょっとつらかった。 -
最後の最後に七賢人会を作る井伏さんがキュート。
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